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数学1 方程式不等式「二次不等式」の問題11 解説
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解説
方針・初手
不等式を満たす $x$ が指定された区間全体にわたるという「すべての $x$ について成り立つ不等式(絶対不等式)」の問題である。 方針としては、不等式を $f(x) \leqq 0$ の形に整理し、関数 $y = f(x)$ の区間における最大値が $0$ 以下になる条件を求めるのが最も簡潔である。 本問の場合、$f(x)$ は下に凸の2次関数となるため、閉区間における最大値は必ず区間の端点のどちらかでとるという性質を利用する。 また、定数 $a$ を分離して曲線の上下関係に帰着させる方針(定数分離)も有効であるため、別解として示す。
解法1
与えられた不等式 $x^2 - ax - a \leqq x$ を整理すると、
$$ x^2 - (a+1)x - a \leqq 0 $$
となる。ここで、$f(x) = x^2 - (a+1)x - a$ とおく。
問題の条件は、「$0 \leqq x \leqq 2$ を満たすすべての $x$ に対して $f(x) \leqq 0$ が成り立つ」ことである。
$y = f(x)$ のグラフは $x^2$ の係数が正であるため、下に凸の放物線である。 下に凸の関数において、閉区間 $0 \leqq x \leqq 2$ における $f(x)$ の最大値は、必ず区間の両端点である $x = 0$ または $x = 2$ のいずれかでとる。
したがって、区間内のすべての $x$ に対して $f(x) \leqq 0$ となるための必要十分条件は、両端点での値がともに $0$ 以下になること、すなわち、
$$ f(0) \leqq 0 \quad \text{かつ} \quad f(2) \leqq 0 $$
が成り立つことである。
$f(0)$ と $f(2)$ をそれぞれ計算すると、
$$ \begin{aligned} f(0) &= -a \\ f(2) &= 2^2 - (a+1) \cdot 2 - a \\ &= 4 - 2a - 2 - a \\ &= -3a + 2 \end{aligned} $$
となる。これらがともに $0$ 以下となればよいので、
$$ -a \leqq 0 \iff a \geqq 0 $$
かつ
$$ -3a + 2 \leqq 0 \iff 3a \geqq 2 \iff a \geqq \frac{2}{3} $$
これらを同時に満たす $a$ の範囲を求めて、
$$ a \geqq \frac{2}{3} $$
解法2
与えられた不等式を変形して、$a$ について整理すると、
$$ x^2 - x \leqq a(x+1) $$
となる。ここで、$0 \leqq x \leqq 2$ の範囲においては常に $x+1 > 0$ であるから、両辺を $x+1$ で割ることができ、不等号の向きは変わらない。
$$ a \geqq \frac{x^2 - x}{x+1} $$
これが $0 \leqq x \leqq 2$ を満たすすべての $x$ に対して成り立つような $a$ の値の範囲を求めればよい。 これはすなわち、$a$ が関数 $g(x) = \frac{x^2 - x}{x+1}$ の $0 \leqq x \leqq 2$ における最大値以上であればよいということである。
$g(x)$ を微分するために、分子を分母で割って式を変形する。
$$ \begin{aligned} g(x) &= \frac{(x+1)(x-2) + 2}{x+1} \\ &= x - 2 + \frac{2}{x+1} \end{aligned} $$
$g(x)$ を $x$ で微分すると、
$$ \begin{aligned} g'(x) &= 1 - \frac{2}{(x+1)^2} \\ &= \frac{(x+1)^2 - 2}{(x+1)^2} \\ &= \frac{x^2 + 2x - 1}{(x+1)^2} \end{aligned} $$
$g'(x) = 0$ となる $x$ の値を求めると、分子が $0$ になるので、$x^2 + 2x - 1 = 0$ より $x = -1 \pm \sqrt{2}$ となる。 $0 \leqq x \leqq 2$ の範囲に含まれるのは $x = \sqrt{2} - 1$ である。
$0 \leqq x < \sqrt{2} - 1$ において $g'(x) < 0$ であるから $g(x)$ は単調に減少し、$\sqrt{2} - 1 < x \leqq 2$ において $g'(x) > 0$ であるから $g(x)$ は単調に増加する。
したがって、$0 \leqq x \leqq 2$ における $g(x)$ の最大値の候補は区間の両端点における値 $g(0)$ と $g(2)$ である。
$$ \begin{aligned} g(0) &= \frac{0^2 - 0}{0+1} = 0 \\ g(2) &= \frac{2^2 - 2}{2+1} = \frac{2}{3} \end{aligned} $$
これらを比較すると $g(0) < g(2)$ であるため、$0 \leqq x \leqq 2$ における $g(x)$ の最大値は $\frac{2}{3}$ である。
以上より、求める $a$ の値の範囲は、
$$ a \geqq \frac{2}{3} $$
解説
「すべての $x$ に対して成り立つ」条件を求める絶対不等式の典型問題である。
解法1のように「区間内の最大値が $0$ 以下」と言い換えるアプローチが基本となる。このとき、関数が「下に凸の2次関数」であることを利用すれば、頂点の位置で場合分けをする必要がなく、単に「両端点の値が $0$ 以下」であることを確認するだけで済む。この性質に気づけると計算量が大幅に減り、ミスを防ぐことができる。
解法2の「定数分離」も強力な手法である。文字定数 $a$ が1次式で括れる場合は、定数とそれ以外の関数に分離してグラフの上下関係として視覚的に捉えやすくなる。ただし本問の場合は、分離後の関数が分数関数となるため、増減を調べるために数学IIIの商の微分法が必要になる。受験生の選択科目や学習状況に合わせて、両方の解法を引き出しとして持っておくとよい。
答え
$$ a \geqq \frac{2}{3} $$