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数学1 方程式不等式「二次方程式」の問題11 解説
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解説
方針・初手
2次方程式の2つの解を $\alpha, \beta$ とおき、解と係数の関係を用いて $m, n$ との間に成り立つ等式を導く。変数が4つになるが、「すべて自然数である」という強力な条件を利用し、対称性を設定したうえで不等式を作って範囲を絞り込む方針が有効である。
解法1
方程式 $x^2 - mnx + m + n = 0$ の2つの整数解を $\alpha, \beta$ とおく。 解と係数の関係から、以下の等式が成り立つ。
$$\alpha + \beta = mn$$
$$\alpha \beta = m + n$$
$m, n$ は自然数であるから、$mn \geqq 1$ かつ $m+n \geqq 2$ である。 したがって、$\alpha + \beta > 0$ かつ $\alpha \beta > 0$ となり、$\alpha, \beta$ はともに正の整数(自然数)であることがわかる。 ここで、$m$ と $n$、および $\alpha$ と $\beta$ についてそれぞれ対称性があるため、$m \leqq n$ かつ $\alpha \leqq \beta$ としても一般性を失わない。
$m \leqq n$ であるから、$m + n \leqq 2n$ が成り立つ。 これに $\alpha \beta = m + n$ を代入すると、以下の不等式を得る。
$$\alpha \beta \leqq 2n$$
ここで、$\alpha + \beta = mn$ より $n = \frac{\alpha + \beta}{m}$ であるから、これを上の不等式に代入する。
$$\alpha \beta \leqq \frac{2(\alpha + \beta)}{m}$$
両辺に $m$ を掛け、左辺に移項して整理する。
$$m \alpha \beta - 2\alpha - 2\beta \leqq 0$$
両辺に $m$ を掛け、因数分解しやすい形に変形する。
$$m^2 \alpha \beta - 2m\alpha - 2m\beta \leqq 0$$
$$(m\alpha - 2)(m\beta - 2) \leqq 4$$
ここから、$m$ の値によって場合分けを行う。
**(i)** $m=1$ のとき 不等式は $(\alpha - 2)(\beta - 2) \leqq 4$ となる。 $\alpha \geqq 1$ より $\alpha - 2 \geqq -1$ である。
$\alpha=1$ のとき、$-(\beta - 2) \leqq 4$ より $\beta \geqq -2$ となる。しかし、解と係数の関係 $\alpha+\beta=n$, $\alpha\beta=1+n$ に代入すると、$1+\beta=n$ かつ $\beta=1+n$ となり、$1=0$ となるため不適である。
$\alpha=2$ のとき、$0 \leqq 4$ となり不等式は常に成立する。解と係数の関係に代入すると、$2+\beta=n$ かつ $2\beta=1+n$ となる。これを解いて $\beta=3, n=5$ を得る。(これは $\alpha \leqq \beta, m \leqq n$ を満たす)
$\alpha \geqq 3$ のとき、$\alpha \leqq \beta$ より $\beta \geqq 3$ であり、$(\alpha - 2)(\beta - 2) \geqq 1 \cdot 1 = 1$ となる。 $(\alpha - 2)(\beta - 2)$ の値としてあり得る $1, 2, 3, 4$ のいずれかになる組を調べる。 $\alpha=3$ のとき、$1 \cdot (\beta - 2) \leqq 4$ より $3 \leqq \beta \leqq 6$ であるが、$\beta=3, 4, 5, 6$ のいずれの場合も解と係数の関係から得られる $n$ の関係式($3+\beta=n$ かつ $3\beta=1+n$)を満たさず不適である。 $\alpha \geqq 4$ のとき、候補となるのは $\alpha=4, \beta=4$ のみだが、これも不適である。
**(ii)** $m=2$ のとき 不等式は $(2\alpha - 2)(2\beta - 2) \leqq 4$ となり、両辺を $4$ で割ると以下になる。
$$(\alpha - 1)(\beta - 1) \leqq 1$$
$\alpha, \beta$ は自然数であり $\alpha \leqq \beta$ であるから、$(\alpha - 1)(\beta - 1)$ の値は $0$ または $1$ である。
$(\alpha - 1)(\beta - 1) = 0$ のとき、$\alpha=1$ である。解と係数の関係に代入すると、$1+\beta=2n$ かつ $\beta=2+n$ となる。これを解いて $n=3, \beta=5$ を得る。(これは $m \leqq n$ を満たす)
$(\alpha - 1)(\beta - 1) = 1$ のとき、$\alpha - 1 = 1$ かつ $\beta - 1 = 1$ より $\alpha=2, \beta=2$ である。解と係数の関係に代入すると、$4=2n$ かつ $4=2+n$ となり、$n=2$ を得る。(これは $m \leqq n$ を満たす)
**(iii)** $m \geqq 3$ のとき $\alpha=1$ と仮定すると、解と係数の関係から $1+\beta=mn$ かつ $\beta=m+n$ となる。これを整理すると $mn - m - n + 1 = 2$ より $(m-1)(n-1)=2$ となる。$m \leqq n$ より $m-1=1$ すなわち $m=2$ となるが、これは $m \geqq 3$ に矛盾する。 したがって $\alpha \geqq 2$ である。
$\alpha \geqq 2$ かつ $m \geqq 3$ のとき、$m\alpha - 2 \geqq 3 \cdot 2 - 2 = 4$ であり、$\alpha \leqq \beta$ より $m\beta - 2 \geqq 4$ となる。 ゆえに $(m\alpha - 2)(m\beta - 2) \geqq 16$ となり、$(m\alpha - 2)(m\beta - 2) \leqq 4$ を満たす自然数 $\alpha, \beta$ は存在しない。
以上より、$(m, n)$ の組とそのときの $\alpha, \beta$ の値は、対称性を除くと以下の3通りである。
・$m=1, n=5$ のとき($\alpha=2, \beta=3$) 方程式は $x^2 - 5x + 6 = 0$
・$m=2, n=3$ のとき($\alpha=1, \beta=5$) 方程式は $x^2 - 6x + 5 = 0$
・$m=2, n=2$ のとき($\alpha=2, \beta=2$) 方程式は $x^2 - 4x + 4 = 0$
求めるものは条件を満たす「2次方程式の個数」であるため、上記の3個が答えとなる。
解法2
2次方程式 $x^2 - mnx + m + n = 0$ が整数解をもつための必要条件として、判別式 $D$ が非負の平方数となることに着目する。 $m, n$ は対称であるから、$m \leqq n$ としても一般性を失わない。
$$D = (mn)^2 - 4(m+n)$$
**(i)** $m=1$ のとき $D = n^2 - 4n - 4$ となる。これが非負整数 $k$ を用いて $k^2$ と表せるとする。
$$n^2 - 4n - 4 = k^2$$
$$(n-2)^2 - 8 = k^2$$
$$(n-2-k)(n-2+k) = 8$$
$n \geqq 1, k \geqq 0$ より $n-2-k \leqq n-2+k$ であり、和が $2n-4$ で偶数であるから2つの因数の偶奇は一致する。 掛けて $8$ になる偶数の組は $2 \times 4$ のみであるから、 $n-2-k=2$ かつ $n-2+k=4$ となる。これを解いて $n=5, k=1$ を得る。 このとき方程式は $x^2 - 5x + 6 = 0$ となり、2つの解は $x=2, 3$ で条件を満たす。
**(ii)** $m=2$ のとき $D = 4n^2 - 4n - 8$ となる。これが非負整数 $k$ を用いて $k^2$ と表せるとする。 $4n^2 - 4n - 8 = k^2$ より $k$ は偶数であるから、$k=2l$($l$ は非負整数)とおく。
$$4n^2 - 4n - 8 = 4l^2$$
$$n^2 - n - 2 = l^2$$
$$4n^2 - 4n - 8 = 4l^2$$
$$(2n-1)^2 - 9 = 4l^2$$
$$(2n-1-2l)(2n-1+2l) = 9$$
$l \geqq 0$ より $2n-1-2l \leqq 2n-1+2l$ であり、掛けて $9$ となる整数の組 $(2n-1-2l, 2n-1+2l)$ は $(1, 9), (3, 3), (-9, -1), (-3, -3)$ のいずれかである。 $n \geqq m = 2$ を考慮すると、 $(1, 9)$ のとき $n=3, l=2$。方程式は $x^2 - 6x + 5 = 0$ で、解は $x=1, 5$ となり条件を満たす。 $(3, 3)$ のとき $n=2, l=0$。方程式は $x^2 - 4x + 4 = 0$ で、解は $x=2$(重解)となり条件を満たす。 負の組からは自然数 $n \geqq 2$ は得られない。
**(iii)** $m \geqq 3$ のとき $D = m^2n^2 - 4m - 4n$ と $(mn-1)^2$ の大小を比較する。
$$D - (mn-1)^2 = m^2n^2 - 4m - 4n - (m^2n^2 - 2mn + 1)$$
$$= 2mn - 4m - 4n - 1$$
$$= 2(m-2)(n-2) - 9$$
$D = (mn)^2 - 4(m+n) < (mn)^2$ であるから、もし $(m-2)(n-2) \geqq 5$ であれば $D > (mn-1)^2$ となり、$(mn-1)^2 < D < (mn)^2$ が成立する。このとき $D$ は連続する平方数の間に存在することになり、平方数にならず不適である。 よって、$D$ が平方数になるためには $(m-2)(n-2) \leqq 4$ であることが必要である。 $3 \leqq m \leqq n$ の下でこれを満たす $(m, n)$ の組は、$(3, 3), (3, 4), (3, 5), (3, 6), (4, 4)$ のみである。 これらについて $D$ を計算すると順に $57, 116, 193, 288, 224$ となり、いずれも平方数とならない。 よって $m \geqq 3$ で条件を満たすものはない。
以上より、条件を満たす方程式は3個である。
解説
整数問題における「文字が多い場合は対称性を利用して不等式で絞り込む」という定石を用いる典型的な問題である。積と和の関係が与えられているため、「積 $\geqq$ 和の定数倍」という形を作り出すことで効率よく上限を見つけることができる。 また、最後に答えるべきは「自然数の組 $(m, n)$ の個数」ではなく「条件を満たす2次方程式の個数」である点に注意が必要である。$(m, n) = (1, 5)$ と $(5, 1)$ は異なる組であるが、出来上がる方程式は同一となるため、重複して数えないようにしなければならない。
答え
3個