基礎問題集
数学1 方程式不等式「二次方程式の解の存在範囲」の問題29 解説
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解説
方針・初手
2次方程式の実数解の配置、および複素数解の実部に関する条件を求める問題である。 (1)と(2)は、2次関数 $y = f(x)$ のグラフと $x$ 軸との交点の位置関係を、「判別式」「軸の位置」「端点における関数値の符号」から調べる定石を用いる。 (3)は、方程式が実数解をもつ場合と虚数解をもつ場合とで解の実部が変わるため、判別式の符号によって場合分けを行い、それぞれの領域の和集合を求める。
解法1
**(1)**
$f(x) = x^2 + ax + b$ とする。 これを平方完成すると、
$$ f(x) = \left(x + \frac{a}{2}\right)^2 - \frac{a^2}{4} + b $$
となる。 2次方程式 $f(x) = 0$ が異なる2つの正の解をもつための必要十分条件は、放物線 $y = f(x)$ が $x > 0$ の範囲で $x$ 軸と異なる2点を共有することである。 したがって、判別式を $D$ とすると、以下の3つの条件が同時に成り立つことである。
1. $x$ 軸と異なる2点で交わるので、 $D = a^2 - 4b > 0$ 2. 軸が $x > 0$ の部分にあるので、 $-\frac{a}{2} > 0$ 3. $y$ 軸との交点の $y$ 座標が正なので、 $f(0) = b > 0$
これらを整理して、求める必要十分条件は、
$$ a < 0 \text{ かつ } b > 0 \text{ かつ } a^2 - 4b > 0 $$
である。
**(2)**
2次方程式 $f(x) = 0$ が異なる2つの実数解をもち、それらが共に $-1$ より大きく $0$ より小さくなるための条件は、放物線 $y = f(x)$ が $-1 < x < 0$ の範囲で $x$ 軸と異なる2点を共有することである。 したがって、以下の4つの条件が同時に成り立つことである。
1. $D = a^2 - 4b > 0$ 2. 軸について、 $-1 < -\frac{a}{2} < 0$ 3. 端点について、 $f(-1) = 1 - a + b > 0$ 4. 端点について、 $f(0) = b > 0$
各不等式を解くと、以下のようになる。
$$ \begin{cases} b < \frac{1}{4}a^2 \\ 0 < a < 2 \\ b > a - 1 \\ b > 0 \end{cases} $$
点 $(a, b)$ の存在する範囲は、上式をすべて満たす領域である。
**(3)**
2次方程式 $f(x) = 0$ の判別式 $D = a^2 - 4b$ の符号により場合分けを行う。
**(i)** $D \ge 0$ すなわち $b \le \frac{1}{4}a^2$ のとき
方程式は実数解をもつ(重解を含む)。 実数解の実部は解そのものであるため、条件は「2つの実数解が共に $-1 < x < 0$ の範囲にあること」となる。 (2)の条件において、重解を許容するため判別式の条件を $D \ge 0$ とし、他は同じ条件となる。
$$ \begin{cases} b \le \frac{1}{4}a^2 \\ 0 < a < 2 \\ b > a - 1 \\ b > 0 \end{cases} $$
**(ii)** $D < 0$ すなわち $b > \frac{1}{4}a^2$ のとき
方程式は互いに共役な2つの虚数解をもつ。 解の公式より、解は $x = \frac{-a \pm \sqrt{4b - a^2}i}{2}$ である。 これらの実部は共に $-\frac{a}{2}$ である。 解の実部が共に $-1$ より大きく $0$ より小さくなる条件は、
$$ -1 < -\frac{a}{2} < 0 $$
これを解いて、
$$ 0 < a < 2 $$
したがって、この場合の点 $(a, b)$ の条件は、
$$ \begin{cases} b > \frac{1}{4}a^2 \\ 0 < a < 2 \end{cases} $$
となる。
**(i)**, **(ii)** を合わせたものが求める点 $(a, b)$ の存在する範囲である。 $a$ の範囲は共通して $0 < a < 2$ である。 この $a$ の範囲において、境界となる曲線の上下関係を調べる。
$$ \frac{1}{4}a^2 - (a - 1) = \frac{1}{4}(a - 2)^2 > 0 $$
であるから、 $0 < a < 2$ において常に $\frac{1}{4}a^2 > a - 1$ が成り立つ。 また、 $\frac{1}{4}a^2 > 0$ も常に成り立つ。 したがって、各 $a$ ($0 < a < 2$) に対して $b$ の範囲をまとめると、**(i)** より $\max(0, a - 1) < b \le \frac{1}{4}a^2$、**(ii)** より $b > \frac{1}{4}a^2$ であるから、和集合をとって
$$ b > \max(0, a - 1) $$
となる。 これを $a$ の範囲で分割して書き直すと、点 $(a, b)$ の存在する範囲は以下のようになる。
$$ \begin{cases} 0 < a \le 1 \text{ のとき } b > 0 \\ 1 < a < 2 \text{ のとき } b > a - 1 \end{cases} $$
解説
(1)と(2)は2次方程式の解の配置問題の基本であり、「判別式」「軸の位置」「端点における関数値の符号」の3つを調べるのが定石である。 (3)は解の実部についての条件であるため、実数解をもつか虚数解をもつかで場合分けを行う必要がある。実数解の場合は(2)と同様のアプローチ(重解を含む点に注意)となり、虚数解の場合は解の公式から実部を取り出して立式する。最後に場合分けした領域の和集合をとる際、境界となる関数同士の上下関係(接するか交わるかなど)を差をとって正確に調べる論理性が求められている。
答え
**(1)** $a < 0$ かつ $b > 0$ かつ $a^2 - 4b > 0$
**(2)** $ab$ 平面上において、$0 < a < 2$ かつ $b < \frac{1}{4}a^2$ かつ $b > a - 1$ かつ $b > 0$ を満たす領域(境界線を含まない)。
**(3)** $ab$ 平面上において、$0 < a \le 1$ のときは $b > 0$、$1 < a < 2$ のときは $b > a - 1$ を満たす領域(境界線を含まない)。