基礎問題集
数学1 命題と集合「背理法」の問題12 解説
数学1の命題と集合「背理法」にある問題12の基礎問題と解説ページです。問題と保存済み解説を公開し、ログイン後はAI質問と学習履歴も利用できます。
MathGrAIl の基礎問題集にある公開問題ページです。ログイン前でも問題と保存済み解説を確認でき、ログイン後はAI質問と学習履歴の保存を利用できます。
- 基礎問題の問題画像と保存済み解説を公開
- ログイン後にAI質問で復習
- ログイン後に学習履歴を保存
解説
方針・初手
(1) 無理数と有理数の性質を用いた基本的な背理法の証明を行う。 (2) $\sqrt{5}$ が無理数であることは、互いに素な自然数を用いた背理法で示す。その後、解の公式を用いて $\alpha, \beta$ を求め、無理数であることを示す。 (3) 多項式の割り算を利用して次数下げを行う。$g(x)$ を $f(x)$ で割った余りを考え、(1)の性質を適用する。
解法1
**(1)**
$s \neq 0$ と仮定すると、与えられた等式 $s\gamma + t = 0$ より、
$$ \gamma = -\frac{t}{s} $$
となる。$s, t$ は有理数であるから、$s \neq 0$ のとき $-\frac{t}{s}$ も有理数となる。しかし、これは $\gamma$ が無理数であるという仮定に矛盾する。 したがって、$s = 0$ である。 このとき、$s\gamma + t = 0$ に $s=0$ を代入すると、
$$ t = 0 $$
となる。以上より、$s = t = 0$ であることが示された。
**(2)**
まず、$\sqrt{5}$ が無理数であることを背理法で証明する。 $\sqrt{5}$ が有理数であると仮定すると、互いに素な自然数 $m, n$ を用いて、
$$ \sqrt{5} = \frac{m}{n} $$
と表すことができる。両辺を2乗して分母を払うと、
$$ 5n^2 = m^2 $$
となる。この等式から $m^2$ は5の倍数であり、5は素数であるから $m$ も5の倍数である。 よって、自然数 $k$ を用いて $m = 5k$ と表せる。これを上の式に代入すると、
$$ 5n^2 = (5k)^2 $$
$$ 5n^2 = 25k^2 $$
$$ n^2 = 5k^2 $$
となる。この等式から $n^2$ は5の倍数であり、同様に $n$ も5の倍数である。 $m$ と $n$ がともに5の倍数であることは、$m, n$ が互いに素であるという仮定に矛盾する。 したがって、$\sqrt{5}$ は無理数である。
次に、$\alpha, \beta$ が無理数であることを証明する。 2次方程式 $f(x) = x^2 - qx - q^2 = 0$ を解の公式を用いて解くと、
$$ x = \frac{q \pm \sqrt{(-q)^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-q^2)}}{2} = \frac{q \pm \sqrt{5q^2}}{2} $$
$q > 0$ であるから $\sqrt{5q^2} = q\sqrt{5}$ となり、$\alpha < \beta$ より、
$$ \alpha = \frac{q - q\sqrt{5}}{2}, \quad \beta = \frac{q + q\sqrt{5}}{2} $$
である。 $\alpha$ が有理数であると仮定する。このとき、等式を変形すると、
$$ \sqrt{5} = \frac{q - 2\alpha}{q} $$
となる。$q$ は正の有理数、$\alpha$ は有理数であるから、右辺の $\frac{q - 2\alpha}{q}$ は有理数となる。これは $\sqrt{5}$ が無理数であることに矛盾する。よって、$\alpha$ は無理数である。
同様に、$\beta$ が有理数であると仮定すると、
$$ \sqrt{5} = \frac{2\beta - q}{q} $$
と変形でき、右辺は有理数となるため $\sqrt{5}$ が無理数であることに矛盾する。よって、$\beta$ も無理数である。
**(3)**
$g(x)$ を $f(x)$ で割ったときの商を $Q(x)$、余りを $px + r$ とすると、
$$ g(x) = f(x)Q(x) + px + r $$
と表せる。ここで、多項式の割り算を行うと、 $g(x) = x^3 + ax^2 + bx + c$ $f(x) = x^2 - qx - q^2$ であるから、
$$ \begin{aligned} g(x) &= (x^2 - qx - q^2)(x + a + q) + \{b + q(a+q) + q^2\}x + \{c + q^2(a+q)\} \\ &= f(x)(x + a + q) + (aq + 2q^2 + b)x + (aq^2 + q^3 + c) \end{aligned} $$
となり、$p = aq + 2q^2 + b$、$r = aq^2 + q^3 + c$ となる。 $a, b, c, q$ はすべて有理数であるから、$p$ と $r$ も有理数である。
$\alpha, \beta$ は $f(x) = 0$ の解であるから、$f(\alpha) = 0, f(\beta) = 0$ である。 したがって、
$$ g(\alpha) = p\alpha + r = p\left(\frac{q - q\sqrt{5}}{2}\right) + r = -\frac{pq}{2}\sqrt{5} + \left(\frac{pq}{2} + r\right) $$
$$ g(\beta) = p\beta + r = p\left(\frac{q + q\sqrt{5}}{2}\right) + r = \frac{pq}{2}\sqrt{5} + \left(\frac{pq}{2} + r\right) $$
となる。
ここで、$g(\alpha) = 0$ であると仮定する。
$$ -\frac{pq}{2}\sqrt{5} + \left(\frac{pq}{2} + r\right) = 0 $$
$-\frac{pq}{2}$ と $\frac{pq}{2} + r$ は有理数であり、$\sqrt{5}$ は無理数であるから、(1)の性質($\gamma = \sqrt{5}$ の場合)より、
$$ -\frac{pq}{2} = 0 \quad \text{かつ} \quad \frac{pq}{2} + r = 0 $$
$q > 0$ であるから $p = 0$ となり、したがって $r = 0$ となる。 このとき、
$$ g(\beta) = \frac{pq}{2}\sqrt{5} + \left(\frac{pq}{2} + r\right) = 0 + 0 = 0 $$
となる。
逆に、$g(\beta) = 0$ であると仮定する。
$$ \frac{pq}{2}\sqrt{5} + \left(\frac{pq}{2} + r\right) = 0 $$
同様に(1)の性質から、
$$ \frac{pq}{2} = 0 \quad \text{かつ} \quad \frac{pq}{2} + r = 0 $$
$q > 0$ であるから $p = 0$、$r = 0$ となり、
$$ g(\alpha) = -\frac{pq}{2}\sqrt{5} + \left(\frac{pq}{2} + r\right) = 0 + 0 = 0 $$
となる。
以上より、$g(\alpha) = 0$ であるための必要十分条件は $g(\beta) = 0$ であることが証明された。
解説
有理数と無理数の性質に関する典型的な証明問題である。 (1)と(2)は、背理法を用いた基本的な証明であり、教科書レベルの内容であるため確実に記述できるようにしたい。 (3)は、高次方程式の値を求める際の定石である「次数下げ(割り算の等式利用)」を行う。$g(x) = f(x)Q(x) + px + r$ と表すことで、条件 $f(\alpha) = 0$ を用いて $g(\alpha) = p\alpha + r$ と一次式の評価に帰着できる。このとき、剰余 $px + r$ の係数 $p, r$ が有理数であることを明記し、(1)の無理数の相等の性質を適用できるように議論を進めるのがポイントである。
答え
(1) 題意の通り証明された。
(2) 題意の通り証明された。
(3) 題意の通り証明された。