基礎問題集
数学1 命題と集合「命題の証明」の問題5 解説
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解説
方針・初手
整数の倍数に関する証明問題である。3を法とする合同式を用いると、余りだけに着目できるため記述が簡潔になる。
(1) は「または」の証明であるため、直接示すよりも対偶を利用するか、背理法を用いるとよい。 (2) と (3) は、前の設問の結論を利用できないか考えるという、誘導付き問題のセオリーに従う。特に (3) では、$(a+b)^2 = a^2+b^2+2ab$ という基本的な恒等式を利用して (2) の条件に帰着させるのが有効である。
解法1
以下、法を 3 とする合同式を用いて記述する。
**(1)**
「$a$ と $b$ がともに 3 の倍数でないならば、$ab$ は 3 の倍数ではない」という対偶が真であることを示す。
$a, b$ はともに 3 の倍数ではないので、$a \equiv \pm 1 \pmod 3$ かつ $b \equiv \pm 1 \pmod 3$ と表すことができる(複号任意)。
このとき、$ab$ を 3 で割った余りは、
$$ ab \equiv (\pm 1) \cdot (\pm 1) \equiv \pm 1 \pmod 3 $$
となる。したがって $ab \not\equiv 0 \pmod 3$ であり、$ab$ は 3 の倍数ではない。 よって対偶は真であり、元の命題も真である。
**(2)**
条件より、$a+b \equiv 0 \pmod 3$ かつ $ab \equiv 0 \pmod 3$ である。
$ab \equiv 0 \pmod 3$ より、(1) の結論から $a \equiv 0 \pmod 3$ または $b \equiv 0 \pmod 3$ が成り立つ。
**(i)** $a \equiv 0 \pmod 3$ のとき $a+b \equiv 0 \pmod 3$ に代入して、$0 + b \equiv 0 \pmod 3$。 よって $b \equiv 0 \pmod 3$ となり、$a, b$ はともに 3 の倍数である。
**(ii)** $b \equiv 0 \pmod 3$ のとき $a+b \equiv 0 \pmod 3$ に代入して、$a + 0 \equiv 0 \pmod 3$。 よって $a \equiv 0 \pmod 3$ となり、$a, b$ はともに 3 の倍数である。
**(i)**、**(ii)** より、いずれの場合も $a$ と $b$ はともに 3 の倍数である。
**(3)**
条件より、$a+b \equiv 0 \pmod 3$ かつ $a^2+b^2 \equiv 0 \pmod 3$ である。
恒等式 $(a+b)^2 = a^2+b^2+2ab$ において、両辺を 3 で割った余りを考える。
$$ (a+b)^2 \equiv a^2+b^2+2ab \pmod 3 $$
条件から $a+b \equiv 0 \pmod 3$ なので、左辺は $0^2 \equiv 0 \pmod 3$ となる。 また、$a^2+b^2 \equiv 0 \pmod 3$ である。
これらを代入すると、
$$ 0 \equiv 0 + 2ab \pmod 3 $$
すなわち $2ab \equiv 0 \pmod 3$ を得る。
ここで、2 と 3 は互いに素であるから、$ab \equiv 0 \pmod 3$ が成り立つ。 したがって、$a+b$ と $ab$ がともに 3 の倍数となるため、(2) の結果から $a$ と $b$ はともに 3 の倍数である。
解法2
**(3)の別解**
条件より、$a+b \equiv 0 \pmod 3$ であるから、$b \equiv -a \pmod 3$ が成り立つ。
これを $a^2+b^2 \equiv 0 \pmod 3$ に代入すると、
$$ a^2 + (-a)^2 \equiv 0 \pmod 3 $$
$$ 2a^2 \equiv 0 \pmod 3 $$
2 と 3 は互いに素であるから、$a^2 \equiv 0 \pmod 3$ となる。 3 は素数であるため、$a \equiv 0 \pmod 3$ が導かれる。
このとき、$b \equiv -a \equiv 0 \pmod 3$ となる。 したがって、$a$ と $b$ はともに 3 の倍数である。
解説
整数問題における基本的な論法を確認する良問である。
(1) のように「〜または〜」を結論とする命題の証明は、そのままでは扱いにくいため、対偶をとるのが定石である。 また、余りのみに関心がある本問のような状況では、合同式を用いることで、文字変数($a=3k+1$ など)を置いて計算するよりもはるかに記述量を減らし、視覚的にも見通しを良くすることができる。
(3) では、解法1のように対称式 $a^2+b^2$ を基本対称式 $a+b, ab$ で表して(2)の形に帰着させるアプローチと、解法2のように条件式から一文字消去(ここでは合同式上で $b$ を $-a$ に置き換え)するアプローチがある。どちらも典型的な処理なので習得しておきたい。
答え
**(1)**
対偶「$a$ も $b$ も 3 の倍数でないならば、$ab$ は 3 の倍数ではない」を証明することにより示された。
**(2)**
(1) の結果を利用して場合分けを行うことにより示された。
**(3)**
$(a+b)^2 = a^2+b^2+2ab$ を利用して $ab$ が 3 の倍数であることを導き、(2) に帰着させることにより示された。