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数学1 命題と集合「命題の証明」の問題6 解説
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解説
方針・初手
与えられた命題が真であるか偽であるかを見極め、真ならば論理的に証明し、偽ならば反例を一つ挙げる。 (1) は不等式の証明である。右辺から左辺を引いた式を因数分解し、条件を用いて符号を判定する。 (2) はすべての実数について不等式が成り立つ条件を考える。問題文に「2次式」という指定がないことに注意する。 (3) は有理数解を分数で設定するか、解の公式を用いて根号の中身が平方数になる条件を考える。
解法1
**(1)**
与えられた不等式の右辺と左辺の差をとる。
$$ (xy+1)^2 - (x+y)^2 = (x^2 y^2 + 2xy + 1) - (x^2 + 2xy + y^2) $$
$$ (xy+1)^2 - (x+y)^2 = x^2 y^2 - x^2 - y^2 + 1 $$
この式を因数分解する。
$$ x^2 y^2 - x^2 - y^2 + 1 = x^2(y^2 - 1) - (y^2 - 1) $$
$$ x^2 y^2 - x^2 - y^2 + 1 = (x^2 - 1)(y^2 - 1) $$
ここで、条件 $|x| \leqq 1$ かつ $|y| \leqq 1$ より、両辺を2乗して以下の不等式を得る。
$$ x^2 \leqq 1, \quad y^2 \leqq 1 $$
すなわち、以下の式が成り立つ。
$$ x^2 - 1 \leqq 0, \quad y^2 - 1 \leqq 0 $$
負の数または $0$ 同士の積は $0$ 以上となるため、以下の不等式が成り立つ。
$$ (x^2 - 1)(y^2 - 1) \geqq 0 $$
よって、$(xy+1)^2 - (x+y)^2 \geqq 0$ となり、$(x+y)^2 \leqq (xy+1)^2$ が成り立つ。 したがって、この命題は真である。
**(2)**
問題文には $ax^2+bx+c > 0$ とあるが、「2次方程式」や「2次関数」であるとは書かれていない。したがって、$a=0$ の場合も考慮する必要がある。
$a=0$ のとき、不等式は $bx+c > 0$ となる。 これがすべての実数 $x$ について成り立つためには、$b=0$ かつ $c>0$ でなければならない($b \neq 0$ の場合、一次関数となり、必ず負となる $x$ の区間が存在するからである)。
そこで、$a=0, b=0, c=1$ という場合を考える。 このとき、与えられた不等式の左辺は以下のようになる。
$$ 0 \cdot x^2 + 0 \cdot x + 1 = 1 $$
これはすべての実数 $x$ について $1 > 0$ であり、仮定を満たしている。 一方、結論の式 $b^2 - 4ac$ の値を計算する。
$$ b^2 - 4ac = 0^2 - 4 \cdot 0 \cdot 1 = 0 $$
これは $b^2 - 4ac < 0$ を満たさない。 したがって、この命題は偽である。
**(3)**
2次方程式 $x^2+3x+a=0$ の有理数の解を $x = \frac{p}{q}$ ($p, q$ は互いに素な整数、$q \geqq 1$)とおく。 これを方程式に代入する。
$$ \left( \frac{p}{q} \right)^2 + 3\left( \frac{p}{q} \right) + a = 0 $$
両辺に $q^2$ を掛ける。
$$ p^2 + 3pq + aq^2 = 0 $$
この式を変形する。
$$ p^2 = -q(3p + aq) $$
$p, q, a$ は整数であるから、$3p + aq$ も整数である。 この式は、$p^2$ が $q$ の倍数であることを示している。 しかし、$p$ と $q$ は互いに素であるため、$p^2$ と $q$ も互いに素である。 これが成り立つためには、$q=1$ でなければならない($q \geqq 1$ より)。
$q=1$ のとき、有理数解は $x = p$ となり、実は整数であることがわかる。 これを元の2次方程式に代入する。
$$ p^2 + 3p + a = 0 $$
$a$ について解く。
$$ a = -p(p + 3) $$
ここで、$p$ と $p+3$ の偶奇を考える。 $p$ が偶数のとき、$p+3$ は奇数であり、その積 $p(p+3)$ は偶数である。 $p$ が奇数のとき、$p+3$ は偶数であり、その積 $p(p+3)$ は偶数である。 いずれの場合も $p(p+3)$ は偶数となるため、$-p(p+3)$ も偶数である。 よって、$a$ は偶数である。 したがって、この命題は真である。
解法2
**(3) の別解**
2次方程式 $x^2+3x+a=0$ の解は、解の公式より以下のように表される。
$$ x = \frac{-3 \pm \sqrt{9 - 4a}}{2} $$
これが有理数となるためには、根号の中身である $9 - 4a$ が平方数でなければならない。 したがって、ある $0$ 以上の整数 $m$ を用いて次のように表せる。
$$ 9 - 4a = m^2 $$
この式を $4a$ について解く。
$$ 4a = 9 - m^2 $$
$a$ は整数であるから、$4a$ は偶数である。 $9$ は奇数であるから、$9 - m^2$ が偶数になるためには、$m^2$ は奇数でなければならない。 $m^2$ が奇数ならば、$m$ も奇数である。 そこで、$k$ を $0$ 以上の整数として、$m = 2k + 1$ とおく。これを上の式に代入する。
$$ 4a = 9 - (2k + 1)^2 $$
$$ 4a = 9 - (4k^2 + 4k + 1) $$
$$ 4a = -4k^2 - 4k + 8 $$
両辺を $4$ で割る。
$$ a = -k^2 - k + 2 $$
$$ a = -k(k + 1) + 2 $$
$k$ と $k+1$ は連続する2つの整数であるから、その積 $k(k+1)$ は必ず偶数である。 偶数にマイナスをつけたものに $2$ を足しても偶数である。 よって、$a$ は偶数である。 したがって、この命題は真である。
解説
(1) は条件付き不等式の証明の基本である。差をとって因数分解の形に持ち込む手技は頻出である。 (2) は「最高次係数が $0$ の場合」を見落とさないかを問う典型的な問題である。問題文に「2次方程式」「2次不等式」という明言がない限り、係数に文字が含まれている場合はそれが $0$ になる可能性を常に疑う必要がある。 (3) は有理根定理を背景とした問題である。最高次の係数が $1$ であり、他の係数がすべて整数である多項式が有理数解をもつ場合、その解は必ず整数になるという性質を知っていると見通しが立ちやすい。解法2のように解の公式と整数の偶奇を組み合わせる手法も、整数問題のアプローチとして極めて有効である。
答え
(1) 真(証明は解答参照)
(2) 偽(反例:$a=0, b=0, c=1$ など)
(3) 真(証明は解答参照)