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数学1 命題と集合「命題の証明」の問題7 解説
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解説
方針・初手
$x, y, z$ の基本対称式 $A, B, C$ に関する命題の真偽を証明する問題である。 (1) は等式 $A=0$ を利用して、$A^2 = (x+y+z)^2$ の展開式から $B$ を $x, y, z$ の2乗和を用いて表すことを考える。 (2) は「$A<0$ または $B \leqq 0$」という結論の形から、結論を否定して矛盾を導く背理法を用いるのが有効である。 (3) は $A, B, C$ が $x, y, z$ を解にもつ3次方程式の係数となることに着目して考えるか、$x, y, z$ の符号について場合分けを行って背理法を用いる。
解法1
(1) $A=0$ と仮定すると、$x+y+z=0$ である。 この両辺を2乗すると、
$$(x+y+z)^2 = 0$$
$$x^2+y^2+z^2+2(xy+yz+zx) = 0$$
$B=xy+yz+zx$ であるから、
$$x^2+y^2+z^2+2B = 0$$
$$2B = -(x^2+y^2+z^2)$$
ここで、$x, y, z$ は $0$ でない実数であるから、$x^2>0, y^2>0, z^2>0$ である。 よって $x^2+y^2+z^2 > 0$ となり、
$$2B < 0$$
すなわち $B < 0$ が成り立つ。 したがって、命題 $(p)$ が成り立つことが示された。
(2) 命題 $(q)$ が成り立つことを仮定する。 命題 $(r)$ を背理法を用いて証明する。 $x, y, z$ の $1$ つだけが正であると仮定する。 このとき、「$A<0$ または $B \leqq 0$」の否定である「$A \geqq 0$ かつ $B > 0$」が成り立つと仮定して矛盾を導く。
$x, y, z$ の $1$ つだけが正であり、他は負の実数($0$ ではない)であるため、$x, y, z$ の積 $C = xyz$ は正の数1つと負の数2つの積となり、$C > 0$ である。 また、背理法の仮定より $B > 0$ である。 さらに、仮定より $A \geqq 0$ であるが、もし $A = 0$ とすると (1) で証明した命題 $(p)$ より $B < 0$ となり、$B > 0$ に矛盾する。 したがって、$A > 0$ である。 以上より、$A > 0, B > 0, C > 0$ がすべて成り立つ。
このとき、仮定した命題 $(q)$ より、$x, y, z$ はすべて正となる。 しかし、これは「$x, y, z$ の $1$ つだけが正」という前提に矛盾する。 ゆえに、「$A \geqq 0$ かつ $B > 0$」という仮定は誤りであり、$A < 0$ または $B \leqq 0$ が成り立つ。 したがって、命題 $(q)$ を仮定すると命題 $(r)$ が成り立つことが示された。
(3) 解と係数の関係より、$x, y, z$ は $t$ についての3次方程式
$$t^3 - (x+y+z)t^2 + (xy+yz+zx)t - xyz = 0$$
すなわち
$$t^3 - At^2 + Bt - C = 0$$
の $3$ つの解である。 $A > 0, B > 0, C > 0$ がすべて成り立つと仮定する。 $f(t) = t^3 - At^2 + Bt - C$ とおく。
$t < 0$ のとき、$t^3 < 0$ であり、$A > 0, B > 0$ より $-At^2 < 0, Bt < 0$ であり、$C > 0$ より $-C < 0$ であるから、
$$f(t) = t^3 - At^2 + Bt - C < 0$$
となり、$f(t) = 0$ を満たさない。 また、$t = 0$ のとき、
$$f(0) = -C < 0$$
となり、$f(0) = 0$ を満たさない。 したがって、方程式 $f(t) = 0$ を満たす実数解が存在すれば、それはすべて正の実数である。 $x, y, z$ はこの方程式の実数解であるから、$x, y, z$ はすべて正である。 ゆえに、命題 $(q)$ が成り立つことが示された。
解法2
(3) の別解を示す。
$A > 0, B > 0, C > 0$ がすべて成り立つと仮定する。 $x, y, z$ は $0$ でない実数であり、$C = xyz > 0$ であるから、$x, y, z$ の符号の組み合わせは以下のいずれかである。
**(ア)** 3つすべて正 **(イ)** 1つが正で2つが負
**(イ)** の場合、一般性を失わず $x > 0, y < 0, z < 0$ とする。 $A = x + y + z > 0$ より $x > -(y+z)$ である。 $y < 0, z < 0$ より $y+z < 0$ であるから、不等式 $x > -(y+z)$ の両辺に負の数 $y+z$ を掛けると、
$$x(y+z) < -(y+z)^2$$
となる。 ここで、$B = xy+yz+zx = x(y+z) + yz$ であるから、
$$B < -(y+z)^2 + yz = -y^2 - yz - z^2 = -\left(y + \frac{1}{2}z\right)^2 - \frac{3}{4}z^2$$
と変形できる。 $z \neq 0$ より $-\frac{3}{4}z^2 < 0$ であるから、$B < 0$ となる。 しかし、これは $B > 0$ であることに矛盾する。 したがって、**(イ)** の場合は起こり得ない。 ゆえに、**(ア)** の「3つすべて正」のみが成り立つ。 したがって、命題 $(q)$ が成り立つことが示された。
解説
実数解の符号と解と係数の関係、および基本対称式の性質を問う問題である。 3つの変数の和、2つずつの積の和、3つの積が与えられた場合、それらを解にもつ3次方程式を構成して考察する手法(解法1)は非常に重要であり、見通しよく簡潔に議論を進めることができる。 また、条件の一部を仮定して矛盾を導く「背理法」や「対偶法」は、本問のように「〜ならば〜」という命題の証明や、「〜または〜」という形の結論を示す際に強力な手段となる。
答え
(1) 題意は示された。
(2) 題意は示された。
(3) 題意は示された。