基礎問題集
数学1 二次関数「関数」の問題16 解説
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解説
方針・初手
絶対値記号を含む関数は、絶対値の中身の正負によって場合分けをして外すのが基本である。本問では $|x+1|$ と $|1-x|$ (すなわち $|x-1|$) が含まれているため、$x=-1$ と $x=1$ を境にして3つの区間に分けて $f(x)$ の式を求めることから始める。
解法1
関数 $f(x) = 2|x+1| - |1-x|$ において、$|1-x| = |x-1|$ であるから、絶対値の中身が $0$ となる $x = -1, 1$ を境界として以下の3つの場合に分ける。
**(i)** $x < -1$ のとき
$x+1 < 0$ かつ $x-1 < 0$ であるから、
$$ \begin{aligned} f(x) &= -2(x+1) - \{-(x-1)\} \\ &= -2x - 2 + x - 1 \\ &= -x - 3 \end{aligned} $$
**(ii)** $-1 \leqq x < 1$ のとき
$x+1 \geqq 0$ かつ $x-1 < 0$ であるから、
$$ \begin{aligned} f(x) &= 2(x+1) - \{-(x-1)\} \\ &= 2x + 2 + x - 1 \\ &= 3x + 1 \end{aligned} $$
**(iii)** $x \geqq 1$ のとき
$x+1 > 0$ かつ $x-1 \geqq 0$ であるから、
$$ \begin{aligned} f(x) &= 2(x+1) - (x-1) \\ &= 2x + 2 - x + 1 \\ &= x + 3 \end{aligned} $$
次に、方程式 $f(x) = 0$ を解く。
**(i)** の場合
$-x - 3 = 0$ より $x = -3$ であり、これは $x < -1$ を満たす。
**(ii)** の場合
$3x + 1 = 0$ より $x = -\frac{1}{3}$ であり、これは $-1 \leqq x < 1$ を満たす。
**(iii)** の場合
$x + 3 = 0$ より $x = -3$ となるが、これは $x \geqq 1$ を満たさないため不適である。
以上より、方程式 $f(x) = 0$ の解は $x = -3, -\frac{1}{3}$ である。条件 $\text{ア} < \text{イ}$ より、
$$ \text{ア} = -3, \quad \text{イ} = -\frac{1}{3} $$
続いて、$-2 \leqq x \leqq 2$ における関数 $f(x)$ の最大値と最小値を求める。
場合分けの結果から、区間の端点や折れ線の結節点における $f(x)$ の値は次のようになる。
$$ \begin{aligned} f(-2) &= -(-2) - 3 = -1 \\ f(-1) &= 3(-1) + 1 = -2 \\ f(1) &= 1 + 3 = 4 \\ f(2) &= 2 + 3 = 5 \end{aligned} $$
$y = f(x)$ のグラフはこれらの点を結ぶ折れ線となるため、区間 $-2 \leqq x \leqq 2$ における最大値は $5$ ($x = 2$ のとき)、最小値は $-2$ ($x = -1$ のとき) である。
$$ \text{ウ} = 5, \quad \text{エ} = -2 $$
最後に、不等式 $f(x) \geqq -\frac{1}{2}x + b$ がすべての実数 $x$ に対して成り立つための条件を求める。
この不等式は、次のように変形できる。
$$ b \leqq f(x) + \frac{1}{2}x $$
この不等式がすべての実数 $x$ で成り立つための条件は、$b$ が関数 $g(x) = f(x) + \frac{1}{2}x$ の最小値以下となることである。
関数 $g(x)$ を各区間について求めると、
**(i)** $x < -1$ のとき
$$ g(x) = -x - 3 + \frac{1}{2}x = -\frac{1}{2}x - 3 $$
この区間では傾きが負であるため、単調に減少する。
**(ii)** $-1 \leqq x < 1$ のとき
$$ g(x) = 3x + 1 + \frac{1}{2}x = \frac{7}{2}x + 1 $$
この区間では傾きが正であるため、単調に増加する。
**(iii)** $x \geqq 1$ のとき
$$ g(x) = x + 3 + \frac{1}{2}x = \frac{3}{2}x + 3 $$
この区間でも傾きが正であるため、単調に増加する。
したがって、$g(x)$ は減少から増加に転じる $x = -1$ で最小値をとる。
$$ g(-1) = -\frac{1}{2}(-1) - 3 = -\frac{5}{2} $$
よって、求める条件は $b \leqq -\frac{5}{2}$ である。
$$ \text{オ} = -\frac{5}{2} $$
解法2
後半の不等式の部分について、グラフを用いた別解を示す。
すべての実数 $x$ において $f(x) \geqq -\frac{1}{2}x + b$ が成り立つことは、座標平面上で直線 $y = -\frac{1}{2}x + b$ が常に折れ線 $y = f(x)$ の下側(境界を含む)にあることを意味する。
関数 $y = f(x)$ のグラフの傾きは、区間 $x < -1$ で $-1$、区間 $-1 < x < 1$ で $3$、区間 $x > 1$ で $1$ である。
これに対して、直線 $y = -\frac{1}{2}x + b$ の傾きは $-\frac{1}{2}$ である。
$-1 < -\frac{1}{2} < 1 < 3$ であるから、直線 $y = -\frac{1}{2}x + b$ を下から平行移動させていくと、この直線は折れ線の頂点 $(-1, -2)$ で初めて $y = f(x)$ のグラフと接する(共有点をもつ)。
したがって、直線が点 $(-1, -2)$ を通るときが $b$ の最大値となる。
$$ -2 = -\frac{1}{2}(-1) + b $$
これを解いて $b = -\frac{5}{2}$ を得る。
よって、求める $b$ の範囲は $b \leqq -\frac{5}{2}$ である。
解説
絶対値記号を含む関数の基本的な処理を問う問題である。数式のみで処理を進めても解けるが、折れ線グラフの概形を描くことで、最大値・最小値や直線との上下関係が視覚的に捉えやすくなり、計算ミスの防止にもつながる。特に後半の不等式の問題は、グラフの傾きに着目することで、解法2のように計算の負担を大幅に減らすことができる。
答え
ア:$-3$
イ:$-\frac{1}{3}$
ウ:$5$
エ:$-2$
オ:$-\frac{5}{2}$