基礎問題集
数学1 立体図形「立体図形」の問題4 解説
数学1の立体図形「立体図形」にある問題4の基礎問題と解説ページです。問題と保存済み解説を公開し、ログイン後はAI質問と学習履歴も利用できます。
MathGrAIl の基礎問題集にある公開問題ページです。ログイン前でも問題と保存済み解説を確認でき、ログイン後はAI質問と学習履歴の保存を利用できます。
- 基礎問題の問題画像と保存済み解説を公開
- ログイン後にAI質問で復習
- ログイン後に学習履歴を保存
解説
方針・初手
「少なくとも1つは〜である」という命題の証明であるため、背理法の利用が第一感となる。「すべて $\frac{1}{2}$ 未満である」と仮定し、矛盾を導く方針で進める。 空間上の点をベクトルで捉えて代数的に処理する手法と、図形の性質から幾何的にアプローチする手法が考えられる。
解法1
空間の原点を $O$ とし、点 $A, B, C$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ とおく。 点 $A, B, C$ は点 $O$ を中心とする半径 1 の球面上にあるから、
$$ |\vec{a}| = |\vec{b}| = |\vec{c}| = 1 $$
である。 また、点 $P, Q, R$ はそれぞれ線分 $BC, CA, AB$ の中点であるから、
$$ \vec{OP} = \frac{\vec{b}+\vec{c}}{2}, \quad \vec{OQ} = \frac{\vec{c}+\vec{a}}{2}, \quad \vec{OR} = \frac{\vec{a}+\vec{b}}{2} $$
と表せる。
「線分 $OP, OQ, OR$ のうち少なくとも1つは長さが $\frac{1}{2}$ 以上である」ことを背理法を用いて証明する。 すべての線分の長さが $\frac{1}{2}$ 未満であると仮定する。すなわち、
$$ |\vec{OP}| < \frac{1}{2}, \quad |\vec{OQ}| < \frac{1}{2}, \quad |\vec{OR}| < \frac{1}{2} $$
が同時に成り立つと仮定する。 $|\vec{OP}| < \frac{1}{2}$ より、
$$ \left| \frac{\vec{b}+\vec{c}}{2} \right| < \frac{1}{2} $$
両辺を 2 倍して 2 乗すると、
$$ |\vec{b}+\vec{c}|^2 < 1 $$
展開すると、
$$ |\vec{b}|^2 + 2\vec{b}\cdot\vec{c} + |\vec{c}|^2 < 1 $$
$|\vec{b}| = |\vec{c}| = 1$ を代入して整理すると、
$$ 1 + 2\vec{b}\cdot\vec{c} + 1 < 1 $$
$$ \vec{b}\cdot\vec{c} < -\frac{1}{2} $$
となる。 同様に、$|\vec{OQ}| < \frac{1}{2}$ から $\vec{c}\cdot\vec{a} < -\frac{1}{2}$、$|\vec{OR}| < \frac{1}{2}$ から $\vec{a}\cdot\vec{b} < -\frac{1}{2}$ が得られる。
ここで、$|\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}|^2$ を考える。ベクトルの絶対値の性質より、常に
$$ |\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}|^2 \ge 0 $$
である。しかし、これを展開して先の不等式を適用すると、
$$ \begin{aligned} |\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}|^2 &= |\vec{a}|^2 + |\vec{b}|^2 + |\vec{c}|^2 + 2(\vec{a}\cdot\vec{b} + \vec{b}\cdot\vec{c} + \vec{c}\cdot\vec{a}) \\ &< 1 + 1 + 1 + 2 \left( -\frac{1}{2} - \frac{1}{2} - \frac{1}{2} \right) \\ &= 3 - 3 \\ &= 0 \end{aligned} $$
となり、$|\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}|^2 < 0$ が導かれる。 これは $|\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}|^2 \ge 0$ であることに矛盾する。 したがって、仮定は誤りであり、線分 $OP, OQ, OR$ のうち少なくとも1つは長さが $\frac{1}{2}$ 以上であることが示された。
解法2
$\triangle ABC$ の 3 辺の長さを $BC=a, CA=b, AB=c$ とし、対応する内角をそれぞれ $A, B, C$ とする。 $\triangle OBC$ において、中線定理(パップスの定理)を用いると、
$$ OB^2 + OC^2 = 2(OP^2 + BP^2) $$
点 $A, B, C$ は点 $O$ を中心とする半径 1 の球面上にあるから、$OB = OC = 1$ である。 また、点 $P$ は線分 $BC$ の中点であるから、$BP = \frac{a}{2}$ である。これらを代入すると、
$$ 1^2 + 1^2 = 2 \left( OP^2 + \left(\frac{a}{2}\right)^2 \right) $$
$$ 2 = 2 OP^2 + \frac{a^2}{2} $$
$$ OP^2 = 1 - \frac{a^2}{4} $$
となる。 ここで、$OP \ge \frac{1}{2}$ であるための条件を求めると、
$$ OP^2 \ge \frac{1}{4} $$
$$ 1 - \frac{a^2}{4} \ge \frac{1}{4} $$
$$ \frac{a^2}{4} \le \frac{3}{4} $$
$$ a^2 \le 3 $$
$a > 0$ であるから、$a \le \sqrt{3}$ となる。 対称性から、$OQ \ge \frac{1}{2} \iff b \le \sqrt{3}$、$OR \ge \frac{1}{2} \iff c \le \sqrt{3}$ が成り立つ。 したがって、示したい命題は「$a \le \sqrt{3}, b \le \sqrt{3}, c \le \sqrt{3}$ のうち少なくとも1つが成り立つ」ことと同値である。
これを背理法で証明する。 すべて成り立たない、すなわち $a > \sqrt{3}$ かつ $b > \sqrt{3}$ かつ $c > \sqrt{3}$ と仮定する。 $\triangle ABC$ の外接円の半径を $R$ とすると、この外接円は半径 1 の球の切り口の円であるから、
$$ R \le 1 $$
である。正弦定理より $a = 2R \sin A$ であるから、
$$ 2 \sin A \ge 2R \sin A = a > \sqrt{3} $$
$$ \sin A > \frac{\sqrt{3}}{2} $$
となる。$A$ は三角形の内角より $0^\circ < A < 180^\circ$ であるから、
$$ 60^\circ < A < 120^\circ $$
を満たす。 同様にして、$b > \sqrt{3}$ から $60^\circ < B < 120^\circ$、$c > \sqrt{3}$ から $60^\circ < C < 120^\circ$ が導かれる。 辺々を加えると、
$$ A + B + C > 60^\circ + 60^\circ + 60^\circ = 180^\circ $$
となるが、これは三角形の内角の和が $180^\circ$ であることに矛盾する。 したがって、仮定は誤りであり、$a \le \sqrt{3}, b \le \sqrt{3}, c \le \sqrt{3}$ のうち少なくとも1つは成り立つ。 ゆえに、線分 $OP, OQ, OR$ のうち少なくとも1つは長さが $\frac{1}{2}$ 以上であることが示された。
解説
「少なくとも1つ」という条件を直接示すのは難しいため、背理法の使用が定石となる。「すべて条件を満たさない」と仮定することで、立式が容易になる。 解法1は、空間における点を位置ベクトルで捉え、内積の性質を利用する代数的なアプローチである。$|\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}|^2 \ge 0$ という絶対不等式から矛盾を導く手法は、ベクトル計算を用いた証明における強力な武器となる。 解法2は、中線定理を用いて辺の長さの条件に帰着させ、正弦定理を用いて角度の条件へと変換する幾何的なアプローチである。球を平面で切った切り口の円の半径が、元の球の半径を超えないという空間図形特有の性質を正しく捉える必要がある。
答え
証明の過程は上記解答の通りである。背理法を用いて、すべての線分の長さが $\frac{1}{2}$ 未満であると仮定すると矛盾が生じることを示した。