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数学1 三角比「三角比」の問題4 解説

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解説

方針・初手

三角形の形状を決定する問題では、主に2つの基本方針がある。 1つは、和積の公式や加法定理を用いて式を「角($A, B, C$)のみの関係式」として変形し、特定の角の大きさを求める方針である。 もう1つは、正弦定理や余弦定理を用いて「辺($a, b, c$)のみの関係式」に還元し、辺の長さの間の関係(三平方の定理や二等辺三角形の条件など)を導く方針である。 本問はどちらの方針を選択しても解答可能であるため、両方の解法を示す。

解法1

和積の公式を用いて、与えられた等式の角の条件を整理する。

与式は以下のように変形できる。

$$ \frac{\sin A + \sin B}{\sin(A+B)} = \cos A + \cos B $$

左辺の分子と、右辺に対してそれぞれ和積の公式を適用し、左辺の分母には2倍角の公式($\sin \theta = 2\sin\frac{\theta}{2}\cos\frac{\theta}{2}$)を適用すると、

$$ \frac{2\sin\frac{A+B}{2}\cos\frac{A-B}{2}}{2\sin\frac{A+B}{2}\cos\frac{A+B}{2}} = 2\cos\frac{A+B}{2}\cos\frac{A-B}{2} $$

$A, B$ は三角形の内角であるから、$0 < A+B < \pi$ である。 ゆえに $0 < \frac{A+B}{2} < \frac{\pi}{2}$ であり、$\sin\frac{A+B}{2} > 0$ であるから、左辺は $2\sin\frac{A+B}{2}$ で約分できる。

$$ \frac{\cos\frac{A-B}{2}}{\cos\frac{A+B}{2}} = 2\cos\frac{A+B}{2}\cos\frac{A-B}{2} $$

両辺に $\cos\frac{A+B}{2}$ を掛け、右辺にまとめて因数分解する。なお、$0 < \frac{A+B}{2} < \frac{\pi}{2}$ より $\cos\frac{A+B}{2} > 0$ であるため、分母が $0$ になることはない。

$$ \cos\frac{A-B}{2} - 2\cos^2\frac{A+B}{2}\cos\frac{A-B}{2} = 0 $$

$$ \cos\frac{A-B}{2} \left( 1 - 2\cos^2\frac{A+B}{2} \right) = 0 $$

ここで、半角の公式より $2\cos^2\frac{A+B}{2} = 1 + \cos(A+B)$ であるから、カッコの中身は

$$ 1 - (1 + \cos(A+B)) = -\cos(A+B) $$

となる。したがって、方程式は次のように書き直せる。

$$ -\cos\frac{A-B}{2}\cos(A+B) = 0 $$

$A, B$ は三角形の内角より $0 < A < \pi, 0 < B < \pi$ であるため、$-\frac{\pi}{2} < \frac{A-B}{2} < \frac{\pi}{2}$ となる。 この範囲において $\cos\frac{A-B}{2} > 0$ であるため、$\cos\frac{A-B}{2} = 0$ にはならない。

ゆえに、

$$ \cos(A+B) = 0 $$

が成り立つ。$0 < A+B < \pi$ の範囲でこれを解くと、

$$ A+B = \frac{\pi}{2} $$

三角形の内角の和は $\pi$ であるから、残りの角 $C$ は

$$ C = \pi - (A+B) = \pi - \frac{\pi}{2} = \frac{\pi}{2} $$

となる。

解法2

正弦定理および余弦定理を用いて、等式を辺の長さ $a, b, c$ の関係式に書き換える。

三角形の内角の和の条件 $A+B+C=\pi$ より、$\sin(A+B) = \sin(\pi-C) = \sin C$ である。 これを与式に代入する。

$$ \frac{\sin A + \sin B}{\sin C} = \cos A + \cos B $$

$\triangle\text{ABC}$ の外接円の半径を $R$ とすると、正弦定理より $\sin A = \frac{a}{2R}, \sin B = \frac{b}{2R}, \sin C = \frac{c}{2R}$ であるから、これを左辺に代入する。

$$ \frac{\frac{a}{2R} + \frac{b}{2R}}{\frac{c}{2R}} = \frac{a+b}{c} $$

また、余弦定理を用いて右辺を変形すると、以下のようになる。

$$ \frac{a+b}{c} = \frac{b^2+c^2-a^2}{2bc} + \frac{c^2+a^2-b^2}{2ca} $$

右辺を通分して整理する。

$$ \begin{aligned} \frac{a+b}{c} &= \frac{a(b^2+c^2-a^2) + b(c^2+a^2-b^2)}{2abc} \\ &= \frac{ab^2 + ac^2 - a^3 + bc^2 + ba^2 - b^3}{2abc} \\ &= \frac{c^2(a+b) + ab(a+b) - (a^3+b^3)}{2abc} \end{aligned} $$

ここで $a^3+b^3 = (a+b)(a^2-ab+b^2)$ であることを用いて、分子を $a+b$ でくくる。

$$ \begin{aligned} \frac{a+b}{c} &= \frac{(a+b) \{ c^2 + ab - (a^2-ab+b^2) \} }{2abc} \\ &= \frac{(a+b)(c^2 + 2ab - a^2 - b^2)}{2abc} \end{aligned} $$

$a, b$ は辺の長さであるから $a+b > 0$ である。両辺を $a+b$ で割り、さらに両辺に $2abc$ を掛けて分母を払う。

$$ 2ab = c^2 + 2ab - a^2 - b^2 $$

これを整理すると、

$$ a^2 + b^2 = c^2 $$

となる。これは三平方の定理の逆を満たしており、斜辺が $c$ である直角三角形であることを示している。 したがって、$C = 90^\circ$ である。

解説

三角形の形状決定問題における定石である「角への統一」と「辺への統一」のいずれを用いても、きれいに結論を得ることができる良問である。 解法1では、和積の公式を利用して因数分解の形を作る手順が鍵となる。その際、文字式で割る操作や除外される値(本問では $\cos\frac{A-B}{2} \neq 0$ など)について、角の範囲から丁寧な確認を行うことが論理的な答案作成において重要である。 解法2では、やや計算量は増えるものの、考えるべき条件や場合分けが少なく、因数分解さえ間違えなければ機械的な処理で正答にたどり着ける。試験本番で手が止まった場合は、解法2の「辺への還元」が確実なアプローチとなる。

答え

$\angle\text{C} = 90^\circ$ の直角三角形

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