基礎問題集
数学2 微分法「最大最小・解の個数」の問題73 解説
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解説
方針・初手
直線 $\ell$ を $y=mx+n$ とおくと,曲線 $C:y=x^3-x$ との交点の $x$ 座標は
$$ x^3-(m+1)x-n=0 $$
の解である.これは $x^2$ の項をもたない 3 次方程式なので,3 つの交点の $x$ 座標の和は常に $0$ になる.
(1) では,点 $P$ を通る直線の傾き $m$ を動かし,この 3 次方程式が 3 つの異なる実数解をもつようにできることを示せばよい.
(2) では,交点の $x$ 座標を $a<b<c$ として,直線と曲線で囲まれる 2 つの部分の面積が等しい条件を積分で表す.すると,中点の交点が $x=0$ でなければならないことが分かる.
解法1
点 $P=(X,Y)$ を任意にとる.
(1) 条件 (i) の証明
点 $P$ を通る傾き $m$ の直線を
$$ \ell_m:\ y=mx+(Y-mX) $$
とおく.
この直線と $C$ の交点の $x$ 座標は
$$ x^3-x=mx+(Y-mX) $$
すなわち
$$ f_m(x)=x^3-(m+1)x-(Y-mX)=0 $$
の解である.
一般に,3 次方程式
$$ x^3+px+q=0 $$
が 3 つの異なる実数解をもつための必要十分条件は
$$ -4p^3-27q^2>0 $$
である.ここでは
$$ p=-(m+1),\qquad q=-(Y-mX) $$
であるから,判別条件は
$$ 4(m+1)^3-27(Y-mX)^2>0 $$
となる.
ここで
$$ D(m)=4(m+1)^3-27(Y-mX)^2 $$
とおくと,$m\to+\infty$ のとき
$$ D(m)\sim 4m^3-27X^2m^2 $$
であり,十分大きい $m$ に対して $D(m)>0$ となる.
したがって,十分大きい傾き $m$ を選べば,$f_m(x)=0$ は 3 つの異なる実数解をもち,$\ell_m$ は曲線 $C$ と相異なる 3 点で交わる.
よって,座標平面上のすべての点 $P$ は条件 (i) を満たす.
(2) 条件 (ii) を満たす点 $P$ の範囲
直線 $\ell:y=mx+n$ が曲線 $C$ と相異なる 3 点で交わるとし,その交点の $x$ 座標を
$$ a<b<c $$
とする.
すると
$$ x^3-(m+1)x-n=(x-a)(x-b)(x-c) $$
であり,$x^2$ の係数が $0$ であるから
$$ a+b+c=0 $$
である.
また,$x^3-(m+1)x-n$ は $(a,b)$ で正,$(b,c)$ で負であるから,2 つの部分の面積が等しいことは
$$ \begin{aligned} \int_a^b {x^3-(m+1)x-n},dx &= -\int_b^c {x^3-(m+1)x-n},dx \end{aligned} $$
と同値である.すなわち
$$ \int_a^c {x^3-(m+1)x-n},dx=0 $$
と同値である.
ここで
$$ x^3-(m+1)x-n=(x-a)(x-b)(x-c) =x^3+(ab+bc+ca)x-abc $$
であるから,
$$ \begin{aligned} \int_a^c {x^3-(m+1)x-n},dx &= \left[ \frac{x^4}{4} +\frac{ab+bc+ca}{2}x^2 -abc,x \right]_a^c \end{aligned} $$
となる.さらに $c=-a-b$ を代入して整理すると,
$$ \begin{aligned} \int_a^c {x^3-(m+1)x-n},dx &= -\frac{b(2a+b)^3}{4} \end{aligned} $$
を得る.
したがって面積が等しいための条件は
$$ -\frac{b(2a+b)^3}{4}=0 $$
である.
ところが
$$ 2a+b=a-c\neq 0 $$
であるから,必要なのは
$$ b=0 $$
である.
よって交点の $x$ 座標は
$$ a=-t,\qquad b=0,\qquad c=t\qquad (t>0) $$
の形でなければならない.
このとき,直線 $\ell$ は $(0,0)$ を通る.実際,$n=abc=0$ であり,また
$$ x^3-(m+1)x=(x+t)x(x-t) $$
より
$$ m+1=t^2 $$
すなわち
$$ \ell:\ y=(t^2-1)x $$
である.
逆に,任意の $t>0$ に対して直線
$$ y=(t^2-1)x $$
は曲線 $C$ と $x=-t,0,t$ で交わる.しかも曲線 $y=x^3-x$ も直線 $y=(t^2-1)x$ も原点に関して対称な奇関数のグラフであるから,原点をはさんだ 2 つの部分の面積は等しい.
したがって,条件 (ii) を満たす直線は
$$ y=kx\qquad (k>-1) $$
に限られ,またそのすべてが条件 (ii) を満たす.
ゆえに,点 $P=(X,Y)$ が条件 (ii) を満たすための必要十分条件は,$P$ がある $k>-1$ を満たす直線 $y=kx$ 上にあることである.
これは座標で書けば
$$ X>0,\ Y>-X $$
または
$$ X<0,\ Y<-X $$
または
$$ P=(0,0) $$
である.
解説
この問題の本質は,3 次曲線と直線の交点の $x$ 座標を 3 次方程式の解として見ることである.
$y=x^3-x$ に直線 $y=mx+n$ を引くと,交点は
$$ x^3-(m+1)x-n=0 $$
の解になる.この方程式は $x^2$ の項をもたないので,3 つの解の和が常に $0$ になる.これが,**交点が 3 つあるとき,その真ん中の交点が $0$ になるかどうか** が面積条件の決定打になる理由である.
また,面積が等しい条件は,2 つの部分の面積を別々に計算するより,
$$ \int_a^c (\text{曲線} - \text{直線}),dx=0 $$
とまとめて処理するのが最も自然である.計算すると真ん中の交点が $x=0$ であることが強制され,そこから直線が原点を通ることが分かる.
答え
**(1)**
座標平面上のすべての点 $P$ が条件 (i) を満たす.
**(2)**
条件 (ii) を満たす点 $P=(X,Y)$ の範囲は
$$ {(X,Y)\mid X>0,\ Y>-X} \ \cup {(X,Y)\mid X<0,\ Y<-X} \ \cup {(0,0)} $$
である.
すなわち,直線 $y=-x$ と $y$ 軸で区切られる 2 つの開いた領域のうち,
第1・第4象限側では $y>-x$,
第2・第3象限側では $y<-x$
となる部分に,原点を加えた領域である.