基礎問題集
数学2 微分法「接線・不等式」の問題10 解説
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解説
方針・初手
$$ f(x)=\frac{1+x^n}{2}-\left(\frac{1+x}{2}\right)^n $$
は、2つの数 $1,x$ に対して「$n$ 乗してから平均したもの」と「平均してから $n$ 乗したもの」の差である。
$n\ge 2$ のとき $t^n$ は $t\ge 0$ で凸であるから、まず $f(x)\ge 0$ を示せる。等号成立条件を調べれば、最小値が分かる。(2) は $x=\frac{b}{a}$ とおいて (1) をそのまま使えばよい。
解法1
関数
$$ g(t)=t^n $$
を考える。$n\ge 2$ であるから、
$$ g''(t)=n(n-1)t^{n-2}\ge 0 \qquad (t\ge 0) $$
となり、$g(t)=t^n$ は $t\ge 0$ で凸である。
したがって、凸関数の性質より
$$ g\left(\frac{1+x}{2}\right)\le \frac{g(1)+g(x)}{2} $$
すなわち
$$ \left(\frac{1+x}{2}\right)^n \le \frac{1+x^n}{2} $$
が成り立つ。よって
$$ f(x)=\frac{1+x^n}{2}-\left(\frac{1+x}{2}\right)^n \ge 0 $$
である。
また、$g(t)=t^n$ は $t\ge 0$ で狭義凸であるから、等号が成り立つのは
$$ 1=x $$
のときに限る。
したがって、$x\ge 0$ における $f(x)$ の最小値は
$$ 0 $$
であり、そのとき $x=1$ である。
次に (2) を考える。$a,b$ を正の整数とする。$a>0$ なので
$$ x=\frac{b}{a} $$
とおくことができ、$x>0$ である。
このとき
$$ f\left(\frac{b}{a}\right) =\frac{1+\left(\frac{b}{a}\right)^n}{2} -\left(\frac{1+\frac{b}{a}}{2}\right)^n $$
であるから、両辺に $a^n$ を掛けると
$$ \begin{aligned} a^n f\left(\frac{b}{a}\right) &= \frac{a^n+b^n}{2} -\left(\frac{a+b}{2}\right)^n \end{aligned} $$
となる。
(1) より $f\left(\frac{b}{a}\right)\ge 0$ だから、
$$ \frac{a^n+b^n}{2} -\left(\frac{a+b}{2}\right)^n \ge 0 $$
すなわち
$$ \left(\frac{a+b}{2}\right)^n \le \frac{a^n+b^n}{2} $$
である。
さらに等号成立は $f\left(\frac{b}{a}\right)=0$ のとき、すなわち
$$ \frac{b}{a}=1 $$
つまり
$$ a=b $$
のときに限る。よって $a\ne b$ なら不等号は真に成り立つ。
解法2
(1) を微分で処理してもよい。
$$ f(x)=\frac{1+x^n}{2}-\left(\frac{1+x}{2}\right)^n $$
より、
$$ f'(x)=\frac{n}{2}x^{n-1}-\frac{n}{2}\left(\frac{1+x}{2}\right)^{n-1} =\frac{n}{2}\left\{x^{n-1}-\left(\frac{1+x}{2}\right)^{n-1}\right\} $$
となる。
ここで $x\ge 0$ において、$n-1\ge 1$ なので $t^{n-1}$ は単調増加である。
**(i)**
$0\le x<1$ のときは
$$ x<\frac{1+x}{2} $$
であるから
$$ x^{n-1}<\left(\frac{1+x}{2}\right)^{n-1} $$
となり、$f'(x)<0$ である。
**(ii)**
$x=1$ のときは
$$ f'(1)=0 $$
である。
**(iii)**
$x>1$ のときは
$$ x>\frac{1+x}{2} $$
であるから
$$ x^{n-1}>\left(\frac{1+x}{2}\right)^{n-1} $$
となり、$f'(x)>0$ である。
したがって $f(x)$ は $x=1$ で最小となる。実際、
$$ f(1)=\frac{1+1^n}{2}-\left(\frac{1+1}{2}\right)^n=1-1=0 $$
より、最小値は $0$ である。
解説
本問の本質は、$t^n$ が $t\ge 0$ で凸であることである。したがって
$$ \text{「平均してから }n\text{ 乗」}\le \text{「}n\text{ 乗してから平均」} $$
という形がそのまま現れる。
(1) はこの差を表す関数 $f(x)$ の最小値を聞いており、凸性を使えば一瞬で $0$ と分かる。微分でも解けるが、(2) まで見据えるなら凸性で処理する方が自然である。
(2) は $1,x$ を $a,b$ に置き換えた形であり、$x=\frac{b}{a}$ とおけば (1) の結果がそのまま使える。等号成立条件が $a=b$ であることまで確認するのが重要である。
答え
**(1)**
$f(x)$ の $x\ge 0$ における最小値は
$$ 0 $$
であり、そのとき
$$ x=1 $$
である。
**(2)**
$$ \left(\frac{a+b}{2}\right)^n \le \frac{a^n+b^n}{2} $$
が成り立つ。等号が成り立つのは
$$ a=b $$
のときに限る。したがって $a\ne b$ なら
$$ \left(\frac{a+b}{2}\right)^n < \frac{a^n+b^n}{2} $$
である。