基礎問題集
数学2 複素数と方程式「高次方程式」の問題9 解説
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解説
方針・初手
係数が左右対称なので、まず $a\neq 0$ を用いて $a$ で割る。さらに
$$ x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{b}{a}x+1 $$
の形にしてから因数分解すると、常に $x=-1$ が解であることが分かる。 したがって、残りの2解を与える2次方程式を調べればよい。
解法1
$a\neq 0$ より、方程式
$$ ax^3+bx^2+bx+a=0 $$
を $a$ で割って
$$ x^3+tx^2+tx+1=0 \qquad \left(t=\frac{b}{a}\right) $$
とおく。
このとき
$$ x^3+tx^2+tx+1=(x+1){x^2+(t-1)x+1} $$
であるから、もとの方程式は
$$ (x+1){x^2+(t-1)x+1}=0 $$
となる。
よって、1つの解は常に $x=-1$ であり、残りの2解は
$$ x^2+(t-1)x+1=0 $$
の解である。
(1) 3つの異なる実数解をもつ条件
3つの異なる実数解をもつためには、2次方程式
$$ x^2+(t-1)x+1=0 $$
が異なる2つの実数解をもてばよい。
判別式を $D$ とすると
$$ D=(t-1)^2-4=t^2-2t-3=(t-3)(t+1) $$
であるから、
$$ D>0 $$
すなわち
$$ (t-3)(t+1)>0 $$
が必要十分である。
よって
$$ t<-1 \quad \text{または} \quad t>3 $$
となる。
ここで $t=\dfrac{b}{a}$ であるから、
$$ \frac{b}{a}<-1 \quad \text{または} \quad \frac{b}{a}>3 $$
すなわち
$$ a>0 \text{ のとき } b<-a \text{ または } b>3a, $$
$$ a<0 \text{ のとき } b>-a \text{ または } b<3a $$
である。
したがって、$(a,b)$ 平面では、直線 $b=-a$ と $b=3a$ で分けられる4つの領域のうち、両直線の外側の2組の領域が求める範囲である。 境界線 $b=-a,\ b=3a$ は含まない。また $a=0$ も含まない。
(2) 負の実数解を1つ、正の異なる実数解を2つもつ条件
すでに $x=-1$ が負の実数解である。 したがって、残りの2解が正の異なる実数解であればよい。
2次方程式
$$ x^2+(t-1)x+1=0 $$
の2解を $\alpha,\beta$ とすると、解と係数の関係より
$$ \alpha+\beta=1-t,\qquad \alpha\beta=1 $$
である。
$\alpha\beta=1>0$ より、2解が実数なら同符号である。 これらが正となるためには
$$ \alpha+\beta>0 $$
すなわち
$$ 1-t>0 $$
であればよい。さらに異なる実数解であるために
$$ (t-3)(t+1)>0 $$
も必要である。
したがって
$$ t<1 $$
かつ
$$ t<-1 \quad \text{または} \quad t>3 $$
より、結局
$$ t<-1 $$
である。
これを $t=\dfrac{b}{a}$ に戻すと
$$ \frac{b}{a}<-1 $$
すなわち
$$ a>0 \text{ のとき } b<-a, $$
$$ a<0 \text{ のとき } b>-a $$
である。
したがって、$(a,b)$ 平面では、直線 $b=-a$ の
- $a>0$ 側ではその下側
- $a<0$ 側ではその上側
の2つの領域が求める範囲である。 このとき境界線 $b=-a$ は含まない。また $a=0$ も含まない。
解説
この問題の本質は、3次方程式をそのまま扱うことではなく、係数の対称性に気づいて
$$ (x+1){x^2+(t-1)x+1} $$
と因数分解することである。
さらに、$t=\dfrac{b}{a}$ とおけば条件が比 $\dfrac{b}{a}$ だけで決まり、$(a,b)$ 平面では原点を通る直線で領域が決まることが見通しやすくなる。
(2) では、2次方程式の解の積が $1$ であることが重要である。積が正なので、2解が実数なら同符号である。したがって、和の符号を見れば正か負かを判定できる。
答え
**(1)**
方程式が3つの異なる実数解をもつための条件は
$$ \frac{b}{a}<-1 \quad \text{または} \quad \frac{b}{a}>3 $$
である。
したがって、$(a,b)$ の存在範囲は
$$ (b+a)(b-3a)>0 $$
を満たす領域(ただし $a\neq 0$、境界線は含まない)である。
**(2)**
方程式が負の実数解を1つ、正の異なる実数解を2つもつための条件は
$$ \frac{b}{a}<-1 $$
である。
したがって、$(a,b)$ の存在範囲は
$$ b<-a \quad (a>0), \qquad b>-a \quad (a<0) $$
で表される領域(ただし $a\neq 0$、境界線は含まない)である。