基礎問題集
数学2 複素数と方程式「高次方程式」の問題55 解説
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解説
方針・初手
まず導関数を求めて極値を調べる。すると $f(x)$ の増減が分かり,$f(-p)$ と $f(p)$ の符号から $f(x)=0$ の実数解の個数が判定できる。
そのうえで,$x=\pm 2p$ における値も調べれば,各解がどの区間に入るかが分かる。
最後は $x=2p\cos\theta$ とおいて三倍角の公式
$$ \cos 3\theta=4\cos^3\theta-3\cos\theta $$
を用いるのが自然である。
解法1
(1) 極値を求める。
$f(x)=x^3-3p^2x+q$ を微分すると,
$$ f'(x)=3x^2-3p^2=3(x-p)(x+p) $$
である。したがって停留点は
$$ x=-p,\ p $$
の2点である。
さらに,
$$ f''(x)=6x $$
より,
- $x=-p$ では $f''(-p)=-6p<0$ であるから極大をとる。
- $x=p$ では $f''(p)=6p>0$ であるから極小をとる。
そのときの値は
$$ f(-p)=(-p)^3-3p^2(-p)+q=2p^3+q $$
$$ f(p)=p^3-3p^3+q=q-2p^3 $$
である。
よって,$f(x)$ が極値をとる $x$ とその極値は,
- $x=-p$ で極大値 $2p^3+q$
- $x=p$ で極小値 $q-2p^3$
である。
(2) 方程式 $f(x)=0$ が相異なる3つの実数解をもつことを示す。
与えられた条件 $-2p^3<q<2p^3$ より,
$$ f(-p)=2p^3+q>0,\qquad f(p)=q-2p^3<0 $$
である。
また,$f(x)$ は3次関数であるから,
$$ \lim_{x\to -\infty}f(x)=-\infty,\qquad \lim_{x\to \infty}f(x)=\infty $$
が成り立つ。
したがって連続性より,
- 区間 $(-\infty,-p)$ に少なくとも1つ解をもつ。
- 区間 $(-p,p)$ に少なくとも1つ解をもつ。
- 区間 $(p,\infty)$ に少なくとも1つ解をもつ。
しかもこれら3区間は互いに重ならないから,解は相異なる。
よって $f(x)=0$ は相異なる3つの実数解をもつ。
(3) 3つの解がすべて $-2p<x<2p$ をみたすことを示す。
まず,
$$ f(-2p)=(-2p)^3-3p^2(-2p)+q=-8p^3+6p^3+q=q-2p^3<0 $$
であり,先に見たように
$$ f(-p)=2p^3+q>0 $$
であるから,中間値の定理より $(-2p,-p)$ に1つ解をもつ。
また,
$$ f(-p)>0,\qquad f(p)<0 $$
より,$(-p,p)$ に1つ解をもつ。
さらに,
$$ f(p)=q-2p^3<0 $$
$$ f(2p)=(2p)^3-3p^2(2p)+q=8p^3-6p^3+q=q+2p^3>0 $$
であるから,$(p,2p)$ に1つ解をもつ。
以上より,3つの解はそれぞれ
$$ (-2p,-p),\quad (-p,p),\quad (p,2p) $$
に1つずつ存在する。したがって,3つの解はすべて
$$ -2p<x<2p $$
をみたす。
(4) 3つの解のうち1つを $2p\cos\theta$ と表したとき,他の2つの解を示す。
$f(2p\cos\theta)=0$ とすると,
$$ (2p\cos\theta)^3-3p^2(2p\cos\theta)+q=0 $$
すなわち,
$$ 8p^3\cos^3\theta-6p^3\cos\theta+q=0 $$
である。ここで三倍角の公式 $4\cos^3\theta-3\cos\theta=\cos 3\theta$ を用いると,
$$ 2p^3\cos 3\theta+q=0 $$
となる。よって,
$$ q=-2p^3\cos 3\theta $$
である。
ここで $\varphi$ を任意の実数として,
$$ f(2p\cos\varphi) =8p^3\cos^3\varphi-6p^3\cos\varphi+q =2p^3\cos 3\varphi+q $$
と変形できる。
いま
$$ \varphi=\theta+\frac{2\pi}{3} $$
とすると,
$$ \cos 3\varphi=\cos\left(3\theta+2\pi\right)=\cos 3\theta $$
であるから,
$$ f\left(2p\cos\left(\theta+\frac{2\pi}{3}\right)\right) =2p^3\cos 3\theta+q=0 $$
となる。したがって,
$$ 2p\cos\left(\theta+\frac{2\pi}{3}\right) $$
は解である。
同様に,
$$ \varphi=\theta+\frac{4\pi}{3} $$
とすると,
$$ \cos 3\varphi=\cos\left(3\theta+4\pi\right)=\cos 3\theta $$
より,
$$ f\left(2p\cos\left(\theta+\frac{4\pi}{3}\right)\right)=0 $$
となる。したがって,
$$ 2p\cos\left(\theta+\frac{4\pi}{3}\right) $$
も解である。
以上より,1つの解が $2p\cos\theta$ と表されるなら,残りの2つも
$$ 2p\cos\left(\theta+\frac{2\pi}{3}\right),\qquad 2p\cos\left(\theta+\frac{4\pi}{3}\right) $$
と表される。
解説
この問題の核は,3次関数の標準形
$$ x^3-3p^2x+q $$
に対して,まず微分で極大・極小を押さえることである。極大値が正,極小値が負になるので,$x$ 軸と3回交わることが直ちに分かる。
また,解の範囲を絞るときは $x=\pm 2p,\ \pm p$ における値を調べるのが有効である。実際,3つの解が
$$ (-2p,-p),\quad (-p,p),\quad (p,2p) $$
に1つずつ入ることまで分かる。
最後の三角関数表示は,三倍角の公式にこの3次式がちょうど対応していることを利用したものであり,3次方程式の典型的な処理である。
答え
**(1)**
$x=-p$ で極大値 $2p^3+q$
$x=p$ で極小値 $q-2p^3$
**(2)**
$f(x)=0$ は相異なる3つの実数解をもつ。
**(3)**
その3つの解はすべて
$$ -2p<x<2p $$
をみたす。
**(4)**
3つの解のうち1つが $2p\cos\theta\ (0<\theta<\pi)$ ならば,他の2つの解は
$$ 2p\cos\left(\theta+\frac{2\pi}{3}\right),\qquad 2p\cos\left(\theta+\frac{4\pi}{3}\right) $$
である。