基礎問題集
数学2 複素数と方程式「高次方程式」の問題56 解説
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解説
方針・初手
係数が実数であること、また $x$ の係数が $0$ であることを活用する。
具体的には、解と係数の関係
$$ \alpha+\beta+\gamma=-a,\qquad \alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=0,\qquad \alpha\beta\gamma=-b $$
を用いるのが基本である。
(3) では、3次関数
$$ f(x)=x^3+ax^2+b $$
の増減を調べるために導関数
$$ f'(x)=3x^2+2ax=x(3x+2a) $$
を見るのが初手である。
解法1
**(1)**
$f(x)=x^3+ax^2+b$ とおく。
係数が実数なので、$1+\sqrt{2}i$ が解ならば、その共役複素数
$$ 1-\sqrt{2}i $$
も解である。
3つの解を
$$ 1+\sqrt{2}i,\quad 1-\sqrt{2}i,\quad r $$
とする。
解と係数の関係より
$$ (1+\sqrt{2}i)(1-\sqrt{2}i)+r{(1+\sqrt{2}i)+(1-\sqrt{2}i)}=0 $$
であるから、
$$ 3+2r=0 $$
となり、
$$ r=-\frac{3}{2} $$
を得る。
したがって
$$ (1+\sqrt{2}i)+(1-\sqrt{2}i)-\frac{3}{2}=\frac{1}{2} $$
より
$$ -a=\frac{1}{2},\qquad a=-\frac{1}{2}. $$
また、
$$ (1+\sqrt{2}i)(1-\sqrt{2}i)\left(-\frac{3}{2}\right)=3\cdot\left(-\frac{3}{2}\right)=-\frac{9}{2} $$
だから
$$ -b=-\frac{9}{2},\qquad b=\frac{9}{2}. $$
よって
$$ a=-\frac{1}{2},\qquad b=\frac{9}{2} $$
である。
---
**(2)**
$f(x)=x^3+ax^2+b$ は $1$ を解にもつので
$$ f(1)=1+a+b=0 $$
である。
また、2重解をもつので、$f(x)$ と $f'(x)$ は共通解をもつ。
$$ f'(x)=3x^2+2ax=x(3x+2a) $$
より、2重解は
$$ x=0 \quad \text{または} \quad x=-\frac{2a}{3} $$
である。
ここで場合分けする。
**(i)**
$1$ 自身が2重解である場合
このとき
$$ f'(1)=0 $$
より
$$ 3+2a=0,\qquad a=-\frac{3}{2}. $$
さらに
$$ 1+a+b=0 $$
に代入して
$$ 1-\frac{3}{2}+b=0 $$
より
$$ b=\frac{1}{2}. $$
したがって
$$ (a,b)=\left(-\frac{3}{2},\frac{1}{2}\right) $$
である。
(ii) 2重解が $0$ である場合
このとき $0$ が2重解、$1$ が他の1つの解であるから
$$ f(x)=x^2(x-1)=x^3-x^2 $$
となる。
よって
$$ (a,b)=(-1,0) $$
である。
(iii) 2重解が $-\dfrac{2a}{3}$ で、$1$ とは異なる場合
2重解を $r$ とすると、$r\neq 1$ で
$$ f(x)=(x-r)^2(x-1) $$
と表せる。
これを展開すると
$$ f(x)=x^3-(2r+1)x^2+(r^2+2r)x-r^2. $$
$x$ の係数が $0$ だから
$$ r^2+2r=0 $$
すなわち
$$ r(r+2)=0. $$
$r=0$ は (ii) で扱ったので、ここでは
$$ r=-2 $$
である。
すると
$$ f(x)=(x+2)^2(x-1)=x^3+3x^2-4 $$
より
$$ (a,b)=(3,-4) $$
を得る。
以上より、求める組は
$$ \left(-\frac{3}{2},\frac{1}{2}\right),\quad (-1,0),\quad (3,-4) $$
である。
---
**(3)**
$f(x)=x^3+ax^2+b$ とおく。
異なる3つの実数解をもつためには、極大値と極小値をもち、それらの値が異符号であることが必要十分である。
まず
$$ f'(x)=x(3x+2a) $$
より、極値をもつためには
$$ a\neq 0 $$
であり、そのとき停留点は
$$ x=0,\qquad x=-\frac{2a}{3} $$
である。
それぞれでの関数値は
$$ f(0)=b, $$
および
$$ f\left(-\frac{2a}{3}\right)=\left(-\frac{2a}{3}\right)^3+a\left(-\frac{2a}{3}\right)^2+b =,-\frac{8a^3}{27}+\frac{4a^3}{9}+b =\frac{4a^3}{27}+b $$
である。
したがって、これらが異符号であること、すなわち
$$ b\left(b+\frac{4a^3}{27}\right)<0 $$
が必要十分条件である。
実際、この不等式が成り立てば2つの停留点での値が異符号となるので、3次関数のグラフは $x$ 軸と3回交わる。しかも不等号が厳しいので重解は生じず、異なる3つの実数解をもつ。
よって条件は
$$ b\left(b+\frac{4a^3}{27}\right)<0 $$
である。
これを範囲として書けば、
$$ \text{(i) } a>0 \text{ のとき}\quad -\frac{4a^3}{27}<b<0, $$
$$ \text{(ii) } a<0 \text{ のとき}\quad 0<b<-\frac{4a^3}{27} $$
となる。
したがって、$(a,b)$ 平面では
- 直線 $b=0$
- 曲線 $b=-\dfrac{4a^3}{27}$
にはさまれた部分のうち、境界を除いた領域が求める範囲である。
解説
この問題の要点は、3次方程式を無理に因数分解しようとせず、まず解と係数の関係を見ることである。
(1) では「係数が実数なら非実数解は共役なものが対になる」という基本事項を使えば、残り1つの解もすぐに決まる。
(2) では「2重解をもつ」という条件を、導関数との共通解として処理するのが定石である。$f'(x)=x(3x+2a)$ と簡単に因数分解できるので、2重解の候補がかなり絞られる。
(3) では判別式を使わなくても、導関数による増減と極値の符号だけで十分である。3次関数が異なる3実根をもつ条件は、「極大値と極小値が $x$ 軸の上下に分かれること」と読み替えるのが本質である。
答え
$$ \text{(1) }\quad a=-\frac{1}{2},\qquad b=\frac{9}{2} $$
$$ \text{(2) }\quad (a,b)=\left(-\frac{3}{2},\frac{1}{2}\right),\ (-1,0),\ (3,-4) $$
$$ \text{(3) }\quad b\left(b+\frac{4a^3}{27}\right)<0 $$
すなわち
$$ \text{(i) } a>0 \text{ のとき } -\frac{4a^3}{27}<b<0, $$
$$ \text{(ii) } a<0 \text{ のとき } 0<b<-\frac{4a^3}{27}. $$
よって、$(a,b)$ 平面では $b=0$ と $b=-\dfrac{4a^3}{27}$ にはさまれた部分のうち、境界を除いた領域である。