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数学2 三角関数「三角関数」の問題75 解説

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解説

方針・初手

接点から引いた接線の長さが等しいことを用いると、$BP,\ CQ,\ AR$ を半周長 $s$ と結びつけられる。

また、$I$ は内接円の中心であるから、$IR,\ IP,\ IQ$ はそれぞれ辺 $AB,\ BC,\ CA$ に垂直である。したがって、図の角 $\alpha,\beta,\gamma$ は、それぞれ直角三角形 $AIR,\ BIP,\ CIQ$ から扱える。

解法1

**(1)**

$BP+CQ+AR=s$ を示す。

同一点から円に引いた接線の長さは等しいから、

$$ BR=BP,\quad CP=CQ,\quad AQ=AR $$

である。

ここで

$$ BP=x,\quad CQ=y,\quad AR=z $$

とおくと、

$$ BC=BP+PC=x+y=a, $$

$$ CA=CQ+QA=y+z=b, $$

$$ AB=AR+RB=z+x=c $$

となる。

これらを辺々加えると、

$$ a+b+c=2(x+y+z) $$

である。$a+b+c=2s$ より

$$ x+y+z=s $$

となるから、

$$ BP+CQ+AR=s $$

が成り立つ。

**(2)**

$\tan\alpha$ を $a,\ r,\ s$ で表す。

$AI$ は $\angle A$ の二等分線であり、$IR\perp AB$ であるから、直角三角形 $AIR$ において

$$ \angle AIR=\alpha,\quad IR=r,\quad AR=s-a $$

である。

よって

$$ \tan\alpha=\frac{AR}{IR}=\frac{s-a}{r} $$

となる。

同様にして、

$$ \tan\beta=\frac{s-b}{r},\qquad \tan\gamma=\frac{s-c}{r} $$

も得られる。

**(3)**

$\tan\alpha+\tan\beta+\tan\gamma=\tan\alpha\tan\beta\tan\gamma$ を示す。

直角三角形 $AIR,\ BIP,\ CIQ$ から

$$ \alpha=90^\circ-\frac{A}{2},\qquad \beta=90^\circ-\frac{B}{2},\qquad \gamma=90^\circ-\frac{C}{2} $$

である。

ここで $A+B+C=180^\circ$ だから、

$$ \alpha+\beta+\gamma =270^\circ-\frac{A+B+C}{2} =180^\circ $$

となる。

したがって加法定理より

$$ \begin{aligned} \tan(\alpha+\beta+\gamma) &= \frac{\tan\alpha+\tan\beta+\tan\gamma-\tan\alpha\tan\beta\tan\gamma} {1-\tan\alpha\tan\beta-\tan\beta\tan\gamma-\tan\gamma\tan\alpha} = \tan 180^\circ =0 \end{aligned} $$

であるから、分子が $0$ となり、

$$ \tan\alpha+\tan\beta+\tan\gamma=\tan\alpha\tan\beta\tan\gamma $$

が成り立つ。

**(4)**

$S=rs=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}$ を示す。

(3) の関係式に、(2) で得た式を代入すると、

$$ \begin{aligned} \frac{s-a}{r}+\frac{s-b}{r}+\frac{s-c}{r} &= \frac{(s-a)(s-b)(s-c)}{r^3} \end{aligned} $$

となる。

左辺をまとめると、

$$ \begin{aligned} \frac{(s-a)+(s-b)+(s-c)}{r} &= \frac{3s-(a+b+c)}{r} \\ \frac{s}{r} \end{aligned} $$

であるから、

$$ \begin{aligned} \frac{s}{r} &= \frac{(s-a)(s-b)(s-c)}{r^3} \end{aligned} $$

すなわち

$$ r^2s=(s-a)(s-b)(s-c) $$

を得る。

三角形の面積を $S$ とすると、内接円の半径が $r$ であることから

$$ S=rs $$

である。したがって

$$ S^2=r^2s^2=s,(s-a)(s-b)(s-c) $$

となるので、

$$ S=rs=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} $$

が従う。

(5) 面積 $S$ が最大となる $\triangle ABC$ を求める。

$a=BC$ が一定で、$b+c$ も一定であるから、

$$ s=\frac{a+b+c}{2} $$

も一定である。したがって (4) より

$$ S^2=s(s-a)(s-b)(s-c) $$

において、$s$ と $s-a$ は一定である。

ここで

$$ x=s-b,\qquad y=s-c $$

とおくと、

$$ x+y=2s-(b+c)=a $$

で一定であり、

$$ S^2=s(s-a)xy $$

となる。

よって、$x+y=a$ 一定のもとで $xy$ が最大になるとき、$S^2$ も最大になる。相加平均・相乗平均の関係より

$$ xy\leqq \left(\frac{x+y}{2}\right)^2=\left(\frac{a}{2}\right)^2 $$

であり、等号成立は

$$ x=y $$

すなわち

$$ s-b=s-c $$

のときである。したがって

$$ b=c $$

である。

ゆえに、面積 $S$ が最大となるのは

$$ AB=AC $$

である二等辺三角形のときである。

解説

この問題の核は、接点による長さの分割を

$$ s-a,\quad s-b,\quad s-c $$

で整理することである。

すると、図の角 $\alpha,\beta,\gamma$ は直角三角形から

$$ \tan\alpha=\frac{s-a}{r},\quad \tan\beta=\frac{s-b}{r},\quad \tan\gamma=\frac{s-c}{r} $$

と表される。ここから三角関数の恒等式を使うだけで、ヘロンの公式が自然に導かれる。

(5) では、ヘロンの公式を使って面積最大化を積の最大化に落とすのが要点である。

答え

**(1)**

$$ BP+CQ+AR=s $$

**(2)**

$$ \tan\alpha=\frac{s-a}{r} $$

**(3)**

$$ \tan\alpha+\tan\beta+\tan\gamma=\tan\alpha\tan\beta\tan\gamma $$

**(4)**

$$ S=rs=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} $$

**(5)**

面積 $S$ が最大となるのは、

$$ AB=AC $$

すなわち $BC$ を底辺とする二等辺三角形のときである。

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