基礎問題集
数学2 積分法「定積分」の問題33 解説
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解説
方針・初手
まず折れ線を表す $f(x)$ を区間ごとに求める。すると $f(x)$ は $|x|$ と $x$ を用いて
$$ f(x)=|x|+2x+1 $$
と表せる。
一方,近似する関数 $a|x|+b$ は偶関数の形であり,$2x$ は奇関数である。区間 $[-1,1]$ では偶関数と奇関数の積の積分が $0$ になるので,この直交性を使うのが最も速い。
解法1
点 $(-1,0)$ と $(0,1)$ を結ぶ直線は $y=x+1$,点 $(0,1)$ と $(1,4)$ を結ぶ直線は $y=3x+1$ である。よって
$$ f(x)= \begin{cases} x+1 & (-1\le x\le 0),\\ 3x+1 & (0\le x\le 1) \end{cases} $$
となる。
これを $|x|$ を用いて書き直すと,
$$ f(x)=|x|+2x+1 $$
である。
ここで
$$ I(a,b)=\int_{-1}^{1}{f(x)-(a|x|+b)}^2,dx $$
とおく。すると
$$ f(x)-(a|x|+b)=(1-a)|x|+2x+(1-b) $$
であるから,
$$ u(x)=(1-a)|x|+(1-b),\qquad v(x)=2x $$
とおけば
$$ f(x)-(a|x|+b)=u(x)+v(x) $$
である。
このとき $u(x)$ は偶関数,$v(x)$ は奇関数なので,$u(x)v(x)$ は奇関数である。したがって
$$ \int_{-1}^{1}u(x)v(x),dx=0 $$
となる。よって
$$ \begin{aligned} I(a,b) &=\int_{-1}^{1}(u(x)+v(x))^2,dx\\ &=\int_{-1}^{1}u(x)^2,dx+2\int_{-1}^{1}u(x)v(x),dx+\int_{-1}^{1}v(x)^2,dx\\ &=\int_{-1}^{1}u(x)^2,dx+\int_{-1}^{1}v(x)^2,dx\\ &\ge \int_{-1}^{1}v(x)^2,dx \end{aligned} $$
となる。
等号成立は $\int_{-1}^{1}u(x)^2,dx=0$ のとき,すなわち $u(x)\equiv 0$ のときである。したがって
$$ (1-a)|x|+(1-b)\equiv 0 $$
より
$$ a=1,\qquad b=1 $$
である。
このとき
$$ I(1,1)=\int_{-1}^{1}(2x)^2,dx =4\int_{-1}^{1}x^2,dx =4\cdot \frac{2}{3} =\frac{8}{3} $$
となる。
解法2
区間ごとにそのまま積分してもよい。
$-1\le x\le 0$ では $f(x)=x+1,\ |x|=-x$ だから
$$ f(x)-(a|x|+b)=(a+1)x+(1-b) $$
である。
また $0\le x\le 1$ では $f(x)=3x+1,\ |x|=x$ だから
$$ f(x)-(a|x|+b)=(3-a)x+(1-b) $$
である。したがって
$$ \begin{aligned} I(a,b) &=\int_{-1}^{0}{(a+1)x+(1-b)}^2,dx+\int_{0}^{1}{(3-a)x+(1-b)}^2,dx\\ &=\frac{2}{3}a^2+2ab-\frac{10}{3}a+2b^2-6b+\frac{22}{3} \end{aligned} $$
となる。
これを整理すると
$$ I(a,b)=\frac{2}{3}(a-1)^2+2(a-1)(b-1)+2(b-1)^2+\frac{8}{3} $$
である。
したがって $I(a,b)$ は $a=1,\ b=1$ のとき最小となり,その最小値は
$$ \frac{8}{3} $$
である。
解説
この問題の本質は,$f(x)$ を
$$ f(x)=\bigl(|x|+1\bigr)+2x $$
と分解することである。近似する関数 $a|x|+b$ は $1$ と $|x|$ の一次結合なので偶関数の世界に属している。一方 $2x$ は奇関数であり,対称区間 $[-1,1]$ では偶関数と直交する。そのため,最小二乗近似では奇関数部分 $2x$ は消せず,偶関数部分 $\ |x|+1$ をそのまま採ればよい。
答え
$$ a=1,\qquad b=1 $$
そのとき
$$ \int_{-1}^{1}{f(x)-(a|x|+b)}^2,dx=\frac{8}{3} $$
である。