基礎問題集
数学2 式と証明「コーシー・シュワルツの不等式」の問題2 解説
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解説
方針・初手
(1) の式は展開すると交差項が打ち消し合い,2つの平方和の積になる。
(2) は (1) の結果をそのまま用いれば,差が平方の和になるので直ちに示せる。等号条件は,その平方の和が $0$ になる条件を調べればよい。
(3) は (2) に $x=\sqrt a,\ y=\sqrt{5b},\ z=\sqrt{7c}$, $p=q=r=1$ を代入するのが自然である。
解法1
**(1)**
与式を
$$ S=(px+qy+rz)^2+(py-qx)^2+(qz-ry)^2+(rx-pz)^2 $$
とおく。
これを展開すると,
$$ \begin{aligned} S &=(p^2x^2+q^2y^2+r^2z^2+2pqxy+2qryz+2rpxz) \\ &\quad +(p^2y^2-2pqxy+q^2x^2) \\ &\quad +(q^2z^2-2qryz+r^2y^2) \\ &\quad +(r^2x^2-2rpxz+p^2z^2). \end{aligned} $$
ここで交差項 $2pqxy,\ 2qryz,\ 2rpxz$ は打ち消し合うから,
$$ \begin{aligned} S &=p^2(x^2+y^2+z^2)+q^2(x^2+y^2+z^2)+r^2(x^2+y^2+z^2) \\ &=(p^2+q^2+r^2)(x^2+y^2+z^2). \end{aligned} $$
したがって,
$$ (px+qy+rz)^2+(py-qx)^2+(qz-ry)^2+(rx-pz)^2 =(p^2+q^2+r^2)(x^2+y^2+z^2) $$
である。
---
**(2)**
(1) の結果を用いると,
$$ (p^2+q^2+r^2)(x^2+y^2+z^2) =(px+qy+rz)^2+(py-qx)^2+(qz-ry)^2+(rx-pz)^2 $$
であるから,
$$ \begin{aligned} &(p^2+q^2+r^2)(x^2+y^2+z^2)-(px+qy+rz)^2 \\ &=(py-qx)^2+(qz-ry)^2+(rx-pz)^2 \ge 0. \end{aligned} $$
よって,
$$ (p^2+q^2+r^2)(x^2+y^2+z^2)\ge (px+qy+rz)^2 $$
が成り立つ。
等号が成り立つのは右辺の平方和が $0$ になるとき,すなわち
$$ py-qx=0,\qquad qz-ry=0,\qquad rx-pz=0 $$
が同時に成り立つときである。
これは $(p,q,r)$ と $(x,y,z)$ が一次従属であること,すなわち少なくとも一方が零ベクトルであるか,ある実数 $t$ が存在して
$$ (x,y,z)=t(p,q,r) $$
と表せることに等しい。
---
**(3)**
$$ x=\sqrt a,\qquad y=\sqrt{5b},\qquad z=\sqrt{7c} $$
とおくと,条件 $a+5b+7c=12$ より
$$ x^2+y^2+z^2=12 $$
である。
ここで (2) に $p=q=r=1$ を代入すると,
$$ (1^2+1^2+1^2)(x^2+y^2+z^2)\ge (x+y+z)^2 $$
すなわち
$$ 3(x^2+y^2+z^2)\ge (x+y+z)^2 $$
を得る。したがって,
$$ (x+y+z)^2 \le 3\cdot 12=36 $$
より,
$$ x+y+z\le 6. $$
ここで $x,y,z>0$ であるから,
$$ \sqrt a+\sqrt{5b}+\sqrt{7c}=x+y+z\le 6 $$
である。
等号成立は (2) の等号条件より
$$ x=y=z $$
のときである。さらに $x^2+y^2+z^2=12$ より
$$ 3x^2=12 \quad\Rightarrow\quad x=2 $$
だから,
$$ \sqrt a=\sqrt{5b}=\sqrt{7c}=2. $$
よって
$$ a=4,\qquad b=\frac45,\qquad c=\frac47 $$
のとき最大値 $6$ をとる。
解説
(1) は3変数版の恒等式であり,展開して交差項が消えることが本質である。
(2) は,左辺と右辺の差を「平方の和」として表すことで,不等式と等号条件が同時に得られる。これはコーシー・シュワルツの不等式の具体形である。
(3) は,条件 $a+5b+7c=12$ をそのまま平方和に見直すのが重要である。$\sqrt a,\sqrt{5b},\sqrt{7c}$ を新しい文字で置けば,(2) をそのまま適用できる。
答え
**(1)**
$$ (px+qy+rz)^2+(py-qx)^2+(qz-ry)^2+(rx-pz)^2 =(p^2+q^2+r^2)(x^2+y^2+z^2) $$
**(2)**
$$ (p^2+q^2+r^2)(x^2+y^2+z^2)\ge (px+qy+rz)^2 $$
等号成立は
$$ py-qx=0,\qquad qz-ry=0,\qquad rx-pz=0 $$
すなわち $(p,q,r)$ と $(x,y,z)$ が一次従属であるときである。
**(3)**
$$ \sqrt a+\sqrt{5b}+\sqrt{7c} $$
の最大値は
$$ 6 $$
であり,そのとき
$$ a=4,\qquad b=\frac45,\qquad c=\frac47 $$
である。