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数学2 式と証明「コーシー・シュワルツの不等式」の問題6 解説
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解説
方針・初手
和が一定のとき,2乗和の最小値は各変数が等しいときに生じる。このことを,差の2乗の和が常に $0$ 以上であることを用いて示す。
具体的には,(1) では $(x-y)^2\geq 0$,(2) では $(x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2\geq 0$,(3) では一般に $\sum_{1\le i<j\le n}(x_i-x_j)^2\geq 0$ を用いるのが自然である。
解法1
**(1)**
$(x-y)^2\geq 0$ より,
$$ x^2-2xy+y^2\geq 0 $$
である。したがって,
$$ 2x^2+2y^2\geq x^2+2xy+y^2=(x+y)^2 $$
を得る。ここで $x+y=1$ であるから,
$$ 2(x^2+y^2)\geq 1 $$
すなわち,
$$ x^2+y^2\geq \frac{1}{2} $$
が成り立つ。
等号成立条件は,$(x-y)^2=0$,すなわち $x=y$ のときである。さらに $x+y=1$ であるから,
$$ x=y=\frac{1}{2} $$
のときに等号が成り立つ。
**(2)**
次を考える。
$$ (x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2\geq 0 $$
これを展開すると,
$$ 2(x^2+y^2+z^2)-2(xy+yz+zx)\geq 0 $$
よって,
$$ x^2+y^2+z^2\geq xy+yz+zx $$
である。一方,
$$ (x+y+z)^2=x^2+y^2+z^2+2(xy+yz+zx) $$
であるから,上の不等式より
$$ (x+y+z)^2\leq x^2+y^2+z^2+2(x^2+y^2+z^2) =3(x^2+y^2+z^2) $$
を得る。ここで $x+y+z=1$ であるから,
$$ 1\leq 3(x^2+y^2+z^2) $$
すなわち,
$$ x^2+y^2+z^2\geq \frac{1}{3} $$
が成り立つ。
等号が成り立つためには,
$$ (x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2=0 $$
でなければならない。各項は $0$ 以上なので,これは
$$ x=y,\quad y=z,\quad z=x $$
すなわち $x=y=z$ と同値である。さらに $x+y+z=1$ より,
$$ x=y=z=\frac{1}{3} $$
のときに等号が成り立つ。
**(3)**
一般に
$$ \sum_{1\leq i<j\leq n}(x_i-x_j)^2\geq 0 $$
である。左辺を展開すると,
$$ \sum_{1\leq i<j\leq n}(x_i-x_j)^2 =\sum_{1\leq i<j\leq n}(x_i^2-2x_ix_j+x_j^2) $$
であり,各 $x_k^2$ は $(n-1)$ 回ずつ現れるから,
$$ \sum_{1\leq i<j\leq n}(x_i-x_j)^2 =(n-1)\sum_{k=1}^n x_k^2-2\sum_{1\leq i<j\leq n}x_ix_j $$
となる。一方,
$$ \left(\sum_{k=1}^n x_k\right)^2 =\sum_{k=1}^n x_k^2+2\sum_{1\leq i<j\leq n}x_ix_j $$
であるから,
$$ 2\sum_{1\leq i<j\leq n}x_ix_j =\left(\sum_{k=1}^n x_k\right)^2-\sum_{k=1}^n x_k^2 $$
を上式に代入して,
$$ \sum_{1\leq i<j\leq n}(x_i-x_j)^2 =n\sum_{k=1}^n x_k^2-\left(\sum_{k=1}^n x_k\right)^2 $$
を得る。よって,
$$ n\sum_{k=1}^n x_k^2-\left(\sum_{k=1}^n x_k\right)^2\geq 0 $$
すなわち,
$$ n\sum_{k=1}^n x_k^2\geq \left(\sum_{k=1}^n x_k\right)^2 $$
である。ここで $x_1+x_2+\cdots+x_n=1$ だから,
$$ n(x_1^2+x_2^2+\cdots+x_n^2)\geq 1 $$
したがって,
$$ x_1^2+x_2^2+\cdots+x_n^2\geq \frac{1}{n} $$
が成り立つ。
等号が成り立つためには,
$$ \sum_{1\leq i<j\leq n}(x_i-x_j)^2=0 $$
でなければならない。各項は $0$ 以上なので,これはすべての $i,j$ に対して $x_i=x_j$,すなわち
$$ x_1=x_2=\cdots=x_n $$
と同値である。さらに $x_1+x_2+\cdots+x_n=1$ より,
$$ x_1=x_2=\cdots=x_n=\frac{1}{n} $$
のときに等号が成り立つ。
解説
本問の本質は,「和が一定なら,2乗和は各数ができるだけ等しいときに最小になる」という事実である。
(1),(2) では差の2乗を直接用いればよい。(3) ではその一般形として,差の2乗の総和
$$ \sum_{1\leq i<j\leq n}(x_i-x_j)^2 $$
を考えると一気に処理できる。
等号成立条件も同じ構造であり,差の2乗がすべて $0$ になること,すなわちすべての変数が等しいことに対応する。
答え
**(1)**
$$ x^2+y^2\geq \frac{1}{2} $$
等号成立は
$$ x=y=\frac{1}{2} $$
のときである。
**(2)**
$$ x^2+y^2+z^2\geq \frac{1}{3} $$
等号成立は
$$ x=y=z=\frac{1}{3} $$
のときである。
**(3)**
$$ x_1^2+x_2^2+\cdots+x_n^2\geq \frac{1}{n} $$
等号成立は
$$ x_1=x_2=\cdots=x_n=\frac{1}{n} $$
のときである。