基礎問題集
数学2 式と証明「不等式の証明」の問題16 解説
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解説
方針・初手
(1) は両辺を展開して差をとれば、平方の形に直せる。
(2) は (1) を2回用いて2個ずつまとめ、最後にもう一度 (1) を適用すれば示せる。 また、$1+a,1+b,1+c,1+d\geqq 0$ であることから、相加平均・相乗平均の関係として見ることもできる。
解法1
(1) の証明
右辺から左辺を引くと、
$$ \left(1+\frac{x+y}{2}\right)^2-(1+x)(1+y) $$
$$ =1+x+y+\frac{(x+y)^2}{4}-(1+x+y+xy) $$
$$ =\frac{x^2+2xy+y^2-4xy}{4} =\frac{(x-y)^2}{4}\geqq 0 $$
となる。
したがって、
$$ (1+x)(1+y)\leqq \left(1+\frac{x+y}{2}\right)^2 $$
が成り立つ。
等号成立は
$$ \frac{(x-y)^2}{4}=0 $$
すなわち
$$ x=y $$
のときである。
(2) の証明
(1) を $(a,b)$ に適用すると、
$$ (1+a)(1+b)\leqq \left(1+\frac{a+b}{2}\right)^2 $$
同様に $(c,d)$ に適用すると、
$$ (1+c)(1+d)\leqq \left(1+\frac{c+d}{2}\right)^2 $$
よって両式を掛け合わせて、
$$ (1+a)(1+b)(1+c)(1+d) \leqq \left\{\left(1+\frac{a+b}{2}\right)\left(1+\frac{c+d}{2}\right)\right\}^2 $$
ここで
$$ x=\frac{a+b}{2},\qquad y=\frac{c+d}{2} $$
とおくと、$a,b,c,d\geqq -1$ だから $x,y\geqq -1$ であり、特に $1+x,1+y\geqq 0$ である。したがって再び (1) を適用して、
$$ \left(1+\frac{a+b}{2}\right)\left(1+\frac{c+d}{2}\right) \leqq \left(1+\frac{a+b+c+d}{4}\right)^2 $$
これを2乗して、
$$ \left\{\left(1+\frac{a+b}{2}\right)\left(1+\frac{c+d}{2}\right)\right\}^2 \leqq \left(1+\frac{a+b+c+d}{4}\right)^4 $$
以上より、
$$ (1+a)(1+b)(1+c)(1+d) \leqq \left(1+\frac{a+b+c+d}{4}\right)^4 $$
が成り立つ。
等号が成り立つためには、上で用いた3回の不等式がすべて等号でなければならない。 したがって
$$ a=b,\qquad c=d,\qquad \frac{a+b}{2}=\frac{c+d}{2} $$
が必要十分であり、結局
$$ a=b=c=d $$
のときに限り等号が成り立つ。
解法2
(2) は相加平均・相乗平均の不等式から直接示してもよい。
$a,b,c,d\geqq -1$ なので
$$ 1+a,\ 1+b,\ 1+c,\ 1+d\geqq 0 $$
である。よって相加平均・相乗平均の不等式より、
$$ \sqrt[4]{(1+a)(1+b)(1+c)(1+d)} \leqq \frac{(1+a)+(1+b)+(1+c)+(1+d)}{4} $$
すなわち、
$$ \sqrt[4]{(1+a)(1+b)(1+c)(1+d)} \leqq 1+\frac{a+b+c+d}{4} $$
両辺を4乗して、
$$ (1+a)(1+b)(1+c)(1+d) \leqq \left(1+\frac{a+b+c+d}{4}\right)^4 $$
を得る。
等号成立は相加平均・相乗平均の等号条件より
$$ 1+a=1+b=1+c=1+d $$
すなわち
$$ a=b=c=d $$
のときである。
解説
(1) は「展開して差をとると平方になる」典型問題である。 不等式の向きが見えにくいときは、右辺 $-$ 左辺を計算すると処理しやすい。
(2) は $1+a,1+b,1+c,1+d$ の相加平均と相乗平均の関係そのものである。 ただし、この問題では (1) を利用して4変数の場合へ拡張する流れも重要である。 等号条件は、途中で使った不等式がすべて等号になる条件を丁寧に追えばよい。
答え
**(1)**
$$ (1+x)(1+y)\leqq \left(1+\frac{x+y}{2}\right)^2 $$
等号成立条件は
$$ x=y $$
である。
**(2)**
$$ (1+a)(1+b)(1+c)(1+d)\leqq \left(1+\frac{a+b+c+d}{4}\right)^4 $$
等号成立条件は
$$ a=b=c=d $$
である。