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数学2 式と証明「不等式の証明」の問題30 解説
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解説
方針・初手
それぞれの関数について
$$ f\left(\frac{x+y}{2}\right) \quad \text{と} \quad \frac{f(x)+f(y)}{2} $$
を直接変形して比較する。
(1) は相加平均・相乗平均の関係をそのまま使う。
(2) は対数の性質を用いて中身の比較に直し,さらに相加平均・相乗平均の関係を使う。ただし,対数関数は底 $a$ の範囲によって増減が変わるので,そこで場合分けが必要である。
(3) は加法定理
$$ \sin x+\sin y=2\sin\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2} $$
を用いるのが最短である。
解法1
**(1)**
$f(x)=\dfrac{a^x+a^{-x}}{2}\ \ (a>0)$ のとき
まず
$$ \begin{aligned} f\left(\frac{x+y}{2}\right) &= \frac{a^{(x+y)/2}+a^{-(x+y)/2}}{2} \end{aligned} $$
であり,
$$ \begin{aligned} \frac{f(x)+f(y)}{2} &= \frac{1}{4}\left(a^x+a^{-x}+a^y+a^{-y}\right) \end{aligned} $$
である。
ここで,相加平均・相乗平均の関係より
$$ a^x+a^y \ge 2a^{(x+y)/2}, \qquad a^{-x}+a^{-y} \ge 2a^{-(x+y)/2} $$
が成り立つ。これらを加えると
$$ a^x+a^{-x}+a^y+a^{-y} \ge 2a^{(x+y)/2}+2a^{-(x+y)/2} $$
となるから,両辺を $4$ で割って
$$ \frac{f(x)+f(y)}{2} \ge f\left(\frac{x+y}{2}\right) $$
を得る。
したがって,
$$ f\left(\frac{x+y}{2}\right)\le \frac{f(x)+f(y)}{2} $$
である。
等号成立は,上の 2 つの相加平均・相乗平均の等号条件より,$a^x=a^y$,すなわち $a\ne 1$ のときは $x=y$ である。なお $a=1$ なら $f(x)\equiv 1$ なので常に等号が成り立つ。
---
**(2)**
$f(x)=\log_a x\ \ (x>0,\ a>0,\ a\ne 1)$ のとき
まず
$$ f\left(\frac{x+y}{2}\right)=\log_a\frac{x+y}{2} $$
であり,
$$ \begin{aligned} \frac{f(x)+f(y)}{2} &= \frac{\log_a x+\log_a y}{2} \\ &=\frac{1}{2}\log_a(xy) \\ &=\log_a\sqrt{xy} \end{aligned} $$
である。
よって,比較すべきものは
$$ \log_a\frac{x+y}{2} \quad \text{と} \quad \log_a\sqrt{xy} $$
である。
ここで,相加平均・相乗平均の関係より
$$ \frac{x+y}{2}\ge \sqrt{xy} $$
が成り立つ。
したがって,対数関数の単調性から次のように分かれる。
**(i)**
$a>1$ のとき,$\log_a t$ は増加関数であるから
$$ \log_a\frac{x+y}{2}\ge \log_a\sqrt{xy} $$
すなわち
$$ f\left(\frac{x+y}{2}\right)\ge \frac{f(x)+f(y)}{2} $$
である。
**(ii)**
$0<a<1$ のとき,$\log_a t$ は減少関数であるから
$$ \log_a\frac{x+y}{2}\le \log_a\sqrt{xy} $$
すなわち
$$ f\left(\frac{x+y}{2}\right)\le \frac{f(x)+f(y)}{2} $$
である。
等号成立は,$\dfrac{x+y}{2}=\sqrt{xy}$ のとき,すなわち $x=y$ のときである。
---
**(3)**
$f(x)=\sin x\ \ (0^\circ\le x,y\le 180^\circ)$ のとき
加法定理より
$$ \begin{aligned} \sin x+\sin y &= 2\sin\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2} \end{aligned} $$
であるから,
$$ \begin{aligned} \frac{f(x)+f(y)}{2} &= \frac{\sin x+\sin y}{2} \\ \sin\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2} \end{aligned} $$
となる。
一方,
$$ f\left(\frac{x+y}{2}\right)=\sin\frac{x+y}{2} $$
である。
ここで,
$$ 0^\circ\le \frac{x+y}{2}\le 180^\circ $$
より
$$ \sin\frac{x+y}{2}\ge 0 $$
であり,また
$$ -90^\circ\le \frac{x-y}{2}\le 90^\circ $$
より
$$ 0\le \cos\frac{x-y}{2}\le 1 $$
である。したがって
$$ \sin\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2} \le \sin\frac{x+y}{2} $$
となるので,
$$ \frac{f(x)+f(y)}{2} \le f\left(\frac{x+y}{2}\right) $$
すなわち
$$ f\left(\frac{x+y}{2}\right)\ge \frac{f(x)+f(y)}{2} $$
である。
等号成立は $\cos\dfrac{x-y}{2}=1$ のとき,すなわち $x=y$ のときである。
解説
この問題は,各関数が「上に凸か下に凸か」を具体的な変形で見抜く問題である。
(1) の $\dfrac{a^x+a^{-x}}{2}$ は指数関数の和であり,中点の値が両端の平均以下になる。したがって下に凸の形になる。
(2) の $\log_a x$ は,底が $a>1$ なら上に凸,$0<a<1$ なら下に凸の向きになる。ここでは微分を使わず,対数の単調性と相加平均・相乗平均だけで処理できるのが要点である。
(3) の $\sin x$ は区間 $[0^\circ,180^\circ]$ では山形になっており,中点の値が両端の平均以上になる。加法定理を使うと,大小関係が $\cos\dfrac{x-y}{2}\le 1$ に帰着するので非常に見通しがよい。
答え
**(1)**
$$ f\left(\frac{x+y}{2}\right)\le \frac{f(x)+f(y)}{2} $$
等号は $a\ne 1$ なら $x=y$ のとき,$a=1$ なら常に成り立つ。
**(2)**
$a>1$ のとき
$$ f\left(\frac{x+y}{2}\right)\ge \frac{f(x)+f(y)}{2} $$
$0<a<1$ のとき
$$ f\left(\frac{x+y}{2}\right)\le \frac{f(x)+f(y)}{2} $$
等号はいずれも $x=y$ のときである。
**(3)**
$$ f\left(\frac{x+y}{2}\right)\ge \frac{f(x)+f(y)}{2} $$
等号は $x=y$ のときである。