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数学2 式と証明「不等式の証明」の問題31 解説
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解説
方針・初手
(1) は $t$ の2次方程式として判別式を計算する。
(2) は (1) で現れた判別式そのものが示すべき不等式になっていることを用いる。
(3) は $by+cz$ を1つにまとめて (2) に帰着する。ここで $(by+cz)^2 \le (b^2+c^2)(y^2+z^2)$ を併用するのが初手である。
解法1
**(1)**
与えられた方程式を展開すると、
$$ (a^2-b^2)t^2+2(ax-by)t+(x^2-y^2)=0 $$
である。
仮定より $a^2-b^2>0$ であるから、これは確かに $t$ についての2次方程式である。
判別式を $\Delta$ とすると、
$$ \frac{\Delta}{4}=(ax-by)^2-(a^2-b^2)(x^2-y^2) $$
である。右辺を整理すると、
$$ \begin{aligned} (ax-by)^2-(a^2-b^2)(x^2-y^2) &=a^2x^2-2abxy+b^2y^2-a^2x^2+a^2y^2+b^2x^2-b^2y^2 \\ &=a^2y^2-2abxy+b^2x^2 \\ &=(ay-bx)^2 \end{aligned} $$
となる。したがって
$$ \Delta=4(ay-bx)^2 \ge 0 $$
である。
よってこの2次方程式は実数解をもつ。
**(2)**
(1) の計算より、
$$ (ax-by)^2-(a^2-b^2)(x^2-y^2)=(ay-bx)^2 \ge 0 $$
である。
よって
$$ (ax-by)^2 \ge (a^2-b^2)(x^2-y^2) $$
が成り立つ。
**(3)**
まず $b^2+c^2=0$ のときは $b=c=0$ であり、仮定から $a^2>0$ である。このとき
$$ (ax-by-cz)^2=a^2x^2 $$
であり、
$$ (a^2-b^2-c^2)(x^2-y^2-z^2)=a^2(x^2-y^2-z^2)\le a^2x^2 $$
だから、結論は明らかに成り立つ。
以下、$b^2+c^2>0$ とする。$d=\sqrt{b^2+c^2}$ とおき、
$$ u=\frac{by+cz}{d} $$
とおく。このとき
$$ ax-by-cz=ax-du $$
であり、また
$$ a^2-d^2=a^2-b^2-c^2>0 $$
である。
そこで (2) を $(a,d,x,u)$ に対して適用すると、
$$ (ax-du)^2 \ge (a^2-d^2)(x^2-u^2) $$
すなわち
$$ (ax-by-cz)^2 \ge (a^2-b^2-c^2)(x^2-u^2) $$
を得る。
一方、通常のコーシー・シュワルツの不等式より
$$ (by+cz)^2 \le (b^2+c^2)(y^2+z^2) $$
であるから、
$$ u^2=\frac{(by+cz)^2}{b^2+c^2} \le y^2+z^2 $$
となる。よって
$$ x^2-u^2 \ge x^2-y^2-z^2 $$
である。
ここで $a^2-b^2-c^2>0$ であるから、これを掛けても不等号の向きは変わらない。したがって
$$ (a^2-b^2-c^2)(x^2-u^2)\ge (a^2-b^2-c^2)(x^2-y^2-z^2) $$
であり、以上を合わせて
$$ (ax-by-cz)^2 \ge (a^2-b^2-c^2)(x^2-y^2-z^2) $$
が成り立つ。
解法2
(3) は直接、差を平方和に直して示すこともできる。
$b^2+c^2>0$ として、左辺から右辺を引いたものに $b^2+c^2$ を掛けると、
$$ \begin{aligned} &(b^2+c^2)\Bigl((ax-by-cz)^2-(a^2-b^2-c^2)(x^2-y^2-z^2)\Bigr) \\ &=\Bigl((b^2+c^2)x-a(by+cz)\Bigr)^2+(a^2-b^2-c^2)(bz-cy)^2 \end{aligned} $$
となる。
右辺は2つの非負な項の和であるから、
$$ (b^2+c^2)\Bigl((ax-by-cz)^2-(a^2-b^2-c^2)(x^2-y^2-z^2)\Bigr)\ge 0 $$
である。ここで $b^2+c^2>0$ より割ることができて、
$$ (ax-by-cz)^2 \ge (a^2-b^2-c^2)(x^2-y^2-z^2) $$
を得る。
なお $b^2+c^2=0$ の場合は前述の通り自明である。
解説
この問題の要点は、示すべき不等式が判別式の非負条件として自然に現れることである。
(1) では2次方程式の判別式を計算すると $(ay-bx)^2$ となり、これが非負であることから実数解の存在が従う。
(2) はその判別式計算を読み替えたものにすぎない。
(3) は3変数になっているが、$by+cz$ を1つにまとめれば (2) 型に戻る。さらに $(by+cz)^2 \le (b^2+c^2)(y^2+z^2)$ を使えば、$y,z$ の2変数分をまとめて処理できる。直接平方和に直す方法も有効である。
答え
**(1)**
$$ (a^2-b^2)t^2+2(ax-by)t+(x^2-y^2)=0 $$
の判別式は
$$ \Delta=4(ay-bx)^2 \ge 0 $$
であるから、実数解をもつ。
**(2)**
$$ (ax-by)^2-(a^2-b^2)(x^2-y^2)=(ay-bx)^2 \ge 0 $$
より、
$$ (ax-by)^2 \ge (a^2-b^2)(x^2-y^2) $$
が成り立つ。
**(3)**
$$ (ax-by-cz)^2 \ge (a^2-b^2-c^2)(x^2-y^2-z^2) $$
が成り立つ。