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数学3 微分法「微分の基本」の問題18 解説
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解説
方針・初手
(1) は微分可能性の定義をそのまま書けばよい。
(2) は差商
$$ \frac{h(a+t)-h(a)}{t} $$
を展開し、極限を2つに分けて考える。ここでは「微分可能なら連続である」ことも使う。
(3) は (2) の積の微分公式を土台にして数学的帰納法で示すのが自然である。実際には、点 $a$ での式だけでなく、$x$ についての恒等式として示してから $x=a$ とすればよい。
解法1
**(1)**
関数 $f(x)$ が $x=a$ で微分可能であるとは、極限
$$ \lim_{t\to 0}\frac{f(a+t)-f(a)}{t} $$
が存在することである。
この極限値を $f'(a)$ と書く。すなわち
$$ f'(a)=\lim_{t\to 0}\frac{f(a+t)-f(a)}{t} $$
である。
**(2)**
$h(x)=f(x)g(x)$ とおく。まず、微分可能なら連続であることを確認する。
$f(x)$ が $x=a$ で微分可能であるとすると、
$$ \begin{aligned} f(a+t)-f(a) &= t\cdot \frac{f(a+t)-f(a)}{t} \end{aligned} $$
である。$t\to 0$ のとき、差商 $\dfrac{f(a+t)-f(a)}{t}$ は $f'(a)$ に収束するから有限値に収束する。したがって
$$ f(a+t)-f(a)\to 0 \quad (t\to 0) $$
となり、$f(a+t)\to f(a)$ である。よって $f$ は $x=a$ で連続である。同様に $g$ も $x=a$ で連続である。
そこで、$h$ の差商を計算すると
$$ \begin{aligned} \frac{h(a+t)-h(a)}{t} &= \frac{f(a+t)g(a+t)-f(a)g(a)}{t} \\ &= \frac{f(a+t)g(a+t)-f(a)g(a+t)}{t}
&= \frac{f(a+t)-f(a)}{t},g(a+t)
\end{aligned} $$
- \frac{f(a)g(a+t)-f(a)g(a)}{t} \\
- f(a)\frac{g(a+t)-g(a)}{t}.
$t\to 0$ とすると、$f$ は $x=a$ で微分可能、$g$ は $x=a$ で連続だから
$$ \frac{f(a+t)-f(a)}{t}\to f'(a),\qquad g(a+t)\to g(a) $$
である。また
$$ \frac{g(a+t)-g(a)}{t}\to g'(a) $$
でもある。したがって
$$ \begin{aligned} h'(a) &= \lim_{t\to 0}\frac{h(a+t)-h(a)}{t} \\ &= \lim_{t\to 0}\left( \frac{f(a+t)-f(a)}{t},g(a+t)
\right) \\ &= f'(a)g(a)+f(a)g'(a). \end{aligned} $$
- f(a)\frac{g(a+t)-g(a)}{t}
よって
$$ h'(a)=f'(a)g(a)+f(a)g'(a) $$
が成り立つ。
**(3)**
${}_{n}\mathrm{C}_{k}={}_nC_k$ と書くことにする。$h(x)=f(x)g(x)$ に対して、任意の $n\geqq 1$ について
$$ h^{(n)}(x)=\sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k}f^{(n-k)}(x)g^{(k)}(x) $$
が成り立つことを数学的帰納法で示す。これを示せば、最後に $x=a$ として求める式が得られる。
まず $n=1$ のときは (2) より
$$ h'(x)=f'(x)g(x)+f(x)g'(x) $$
である。これは
$$ \begin{aligned} h^{(1)}(x) &= {}_{1}\mathrm{C}_{0}f^{(1)}(x)g^{(0)}(x) + {}_{1}\mathrm{C}_{1}f^{(0)}(x)g^{(1)}(x) \end{aligned} $$
と一致するので、$n=1$ で成り立つ。
次に、ある $n\geqq 1$ で
$$ h^{(n)}(x)=\sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k}f^{(n-k)}(x)g^{(k)}(x) $$
が成り立つと仮定する。この両辺を微分すると
$$ \begin{aligned} h^{(n+1)}(x) &= \frac{d}{dx}\left( \sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k}f^{(n-k)}(x)g^{(k)}(x) \right) \\ &= \sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k} \left( f^{(n+1-k)}(x)g^{(k)}(x) + f^{(n-k)}(x)g^{(k+1)}(x) \right). \end{aligned} $$
これを2つの和に分けると
$$ \begin{aligned} h^{(n+1)}(x) &= \sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k}f^{(n+1-k)}(x)g^{(k)}(x) + \sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k}f^{(n-k)}(x)g^{(k+1)}(x). \end{aligned} $$
第2項で添字を $k+1\mapsto k$ と置き換えると
$$ \begin{aligned} \sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k}f^{(n-k)}(x)g^{(k+1)}(x) &= \sum_{k=1}^{n+1}{}_{n}\mathrm{C}_{k-1}f^{(n+1-k)}(x)g^{(k)}(x) \end{aligned} $$
となる。よって
$$ \begin{aligned} h^{(n+1)}(x) &= f^{(n+1)}(x)g(x) \\ &\quad + \sum_{k=1}^{n}\left({}_{n}\mathrm{C}_{k}+{}_{n}\mathrm{C}_{k-1}\right)f^{(n+1-k)}(x)g^{(k)}(x) \\ &\quad + f(x)g^{(n+1)}(x). \end{aligned} $$
ここで
$$ {}_{n}\mathrm{C}_{k}+{}_{n}\mathrm{C}_{k-1}={}_{n+1}\mathrm{C}_{k} $$
を用いると、
$$ \begin{aligned} h^{(n+1)}(x) &= \sum_{k=0}^{n+1}{}_{n+1}\mathrm{C}_{k}f^{(n+1-k)}(x)g^{(k)}(x) \end{aligned} $$
となる。したがって $n+1$ でも成り立つ。
以上より、任意の $n=1,2,\dots$ について
$$ h^{(n)}(x)=\sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k}f^{(n-k)}(x)g^{(k)}(x) $$
が成り立つ。特に $x=a$ とすれば
$$ h^{(n)}(a)=\sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k}f^{(n-k)}(a)g^{(k)}(a) $$
を得る。
解説
(2) の本質は、差商をうまく分解して $f$ の差商と $g$ の差商に分けることである。その際、片方に $g(a+t)$ や $f(a+t)$ が残るので、微分可能なら連続であることが必要になる。
(3) はライプニッツの公式であり、積の微分公式を繰り返し使うと二項係数が現れる。帰納法の途中で出てくる
$$ {}_{n}\mathrm{C}_{k}+{}_{n}\mathrm{C}_{k-1}={}_{n+1}\mathrm{C}_{k} $$
が決定的である。
答え
**(1)**
$$ f'(a)=\lim_{t\to 0}\frac{f(a+t)-f(a)}{t} $$
が存在することが、$f(x)$ が $x=a$ で微分可能であることの定義である。
**(2)**
$$ h'(a)=f'(a)g(a)+f(a)g'(a) $$
が成り立つ。
**(3)**
任意の $n=1,2,\dots$ について
$$ h^{(n)}(a)=\sum_{k=0}^{n}{}_nC_k,f^{(n-k)}(a)g^{(k)}(a) $$
が成り立つ。