基礎問題集
数学3 微分法「微分の基本」の問題54 解説
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解説
方針・初手
平面は 3 点 $(t,0,0)$, $(0,2t,0)$, $(0,0,3t)$ を通るので,その方程式は
$$ \frac{x}{t}+\frac{y}{2t}+\frac{z}{3t}=1 $$
すなわち
$$ x+\frac{y}{2}+\frac{z}{3}=t $$
である。
ここで
$$ u=x,\quad v=\frac{y}{2},\quad w=\frac{z}{3} $$
とおくと,直方体 $V$ は
$$ 0\le u\le 1,\quad 0\le v\le 1,\quad 0\le w\le 1 $$
で表される単位立方体に移る。また体積は
$$ dx,dy,dz=6,du,dv,dw $$
となるから,$V_1$ の体積は「単位立方体内で $u+v+w\le t$ を満たす部分の体積」の $6$ 倍である。したがって,まず単位立方体内での切断を考えればよい。
解法1
$V_1$ の体積を $F(t)$ とおく。すると
$$ h(t)=\min{F(t),,6-F(t)} $$
である。なお,直方体 $V$ 全体の体積は
$$ 1\times 2\times 3=6 $$
である。
(1) $0<t\le 1$ のとき
単位立方体内で $u+v+w\le t$ を満たす部分は,原点を頂点とし,座標軸上の 3 点 $(t,0,0)$, $(0,t,0)$, $(0,0,t)$ をもつ四面体である。
その体積は
$$ \frac{1}{6}t^3 $$
だから,もとの直方体での体積は
$$ F(t)=6\cdot \frac{1}{6}t^3=t^3 $$
である。
このとき $0<t\le 1$ では $t^3\le 1<3$ なので,小さい方の体積は $F(t)$ である。よって
$$ h(t)=t^3 $$
となる。
(2) $1\le t\le 2$ のとき
この範囲では,単位立方体内の領域 $u+v+w\le t$ は,四面体
$$ u\ge 0,\ v\ge 0,\ w\ge 0,\ u+v+w\le t $$
から,$u>1$, $v>1$, $w>1$ の部分をそれぞれ取り除いたものになる。
もとの四面体の体積は
$$ \frac{1}{6}t^3 $$
である。また,例えば $u>1$ の部分は $u'=u-1$ とおけば
$$ u'+v+w\le t-1 $$
となる四面体であり,その体積は
$$ \frac{1}{6}(t-1)^3 $$
である。同様のものが 3 個あるから,単位立方体内での体積は
$$ \frac{1}{6}\bigl(t^3-3(t-1)^3\bigr) $$
となる。したがって
$$ F(t)=t^3-3(t-1)^3 $$
である。
(3) $2\le t<3$ のとき
このとき小さい方は原点側ではなく,点 $(1,1,1)$ 側にある部分になる。単位立方体で
$$ p=1-u,\quad q=1-v,\quad r=1-w $$
とおくと,平面 $u+v+w=t$ は
$$ p+q+r=3-t $$
となる。したがって,点 $(1,1,1)$ 側の小さい部分は,辺の長さが $3-t$ の四面体であり,その単位立方体内での体積は
$$ \frac{1}{6}(3-t)^3 $$
である。よって,もとの直方体での小さい方の体積は
$$ h(t)=6\cdot \frac{1}{6}(3-t)^3=(3-t)^3 $$
となる。
(4) $T$ の値
$h(t)$ が両側の体積が等しいときの値であるから,
$$ F(T)=3 $$
を満たす $T$ を求めればよい。
$F(1)=1<3$, $F(2)=5>3$ より $T$ は $1<T<2$ にある。したがって
$$ T^3-3(T-1)^3=3 $$
を解けばよい。
展開すると
$$ T^3-3(T^3-3T^2+3T-1)=3 $$
より
$$ -2T^3+9T^2-9T=0 $$
すなわち
$$ T(2T^2-9T+9)=0 $$
である。$1<T<2$ を満たす解は
$$ T=\frac{3}{2} $$
である。
(5) $t=T$ の左右での $h(t)$
$T=\dfrac{3}{2}$ の近くでは,$t<T$ なら小さい方は $V_1$ 側,$t>T$ なら小さい方は $V_2$ 側である。したがって
$$ h(t)= \begin{cases} t^3-3(t-1)^3 & (t<T),\\ 6-\bigl(t^3-3(t-1)^3\bigr) & (t>T) \end{cases} $$
となる。
まず左側では
$$ h'(t)=3t^2-9(t-1)^2 $$
なので
$$ \lim_{t\to T-0}\frac{h(t)-h(T)}{t-T} =3T^2-9(T-1)^2 $$
である。$T=\dfrac{3}{2}$ を代入すると
$$ 3\cdot \frac{9}{4}-9\cdot \frac{1}{4} =\frac{27}{4}-\frac{9}{4} =\frac{9}{2} $$
となる。
次に右側では
$$ h'(t)=-\bigl(3t^2-9(t-1)^2\bigr) $$
だから
$$ \lim_{t\to T+0}\frac{h(t)-h(T)}{t-T} =-\frac{9}{2} $$
となる。
(6) 微分可能でない点
$h(t)$ は区間ごとに多項式で表されるので,各区間の内部では微分可能である。問題はつなぎ目だけである。
**(i)**
$t=1$ では
左側 $h(t)=t^3$ より $h'(1-0)=3$,
右側 $h(t)=t^3-3(t-1)^3$ より $h'(1+0)=3$。
したがって微分可能である。
**(ii)**
$t=2$ では
左側 $h(t)=6-\bigl(t^3-3(t-1)^3\bigr)$ より
$$ h'(2-0)=-3\cdot 2^2+9\cdot 1^2=-3 $$
右側 $h(t)=(3-t)^3$ より
$$ h'(2+0)=-3(3-2)^2=-3 $$
したがって微分可能である。
**(iii)**
$t=T=\dfrac{3}{2}$ では,左右微分係数が
$$ \frac{9}{2},\quad -\frac{9}{2} $$
と一致しない。したがって微分可能でない。
以上より,$0<t<3$ において $h(t)$ が微分可能でないのは
$$ t=\frac{3}{2} $$
のみである。
解説
この問題の本質は,直方体
$$ 0\le x\le 1,\quad 0\le y\le 2,\quad 0\le z\le 3 $$
を,変数変換
$$ u=x,\quad v=\frac{y}{2},\quad w=\frac{z}{3} $$
によって単位立方体に直すことである。すると平面は $u+v+w=t$ となり,立体の形が非常に見やすくなる。
$0<t\le 1$ と $2\le t<3$ では小さい方は四面体になるので直接求めやすい。一方,$1<t<2$ では単純な四面体ではなくなるため,大きい四面体から 3 個の小さい四面体を引く考え方が有効である。
また,$h(t)$ は「2つの体積のうち小さい方」を取っているため,体積の大小関係が入れ替わる $t=T$ で折れ曲がり,そこだけ微分不可能になる。
答え
$$ \text{(1)}\quad h(t)=t^3 \qquad (0<t\le 1) $$
$$ \text{(2)}\quad h(t)=(3-t)^3 \qquad (2\le t<3) $$
$$ \text{(3)}\quad T=\frac{3}{2} $$
$$ \text{(4)}\quad \lim_{t\to T-0}\frac{h(t)-h(T)}{t-T}=\frac{9}{2} $$
$$ \text{(5)}\quad \lim_{t\to T+0}\frac{h(t)-h(T)}{t-T}=-\frac{9}{2} $$
$$ \text{(6)}\quad h(t)\text{ が微分可能でない }t\text{ は }t=\frac{3}{2}\text{ のみ} $$