基礎問題集
数学3 微分法「グラフ・増減・極値」の問題17 解説
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解説
方針・初手
まず導関数を求め、増減と凹凸を調べる。 この関数は
$$ f'(x)=a+\log\frac{1-x}{1+x} $$
という形になり、さらに
$$ f''(x)=-\frac{2}{1-x^2} $$
と簡単になる。したがって、$f$ は $-1<x<1$ で上に凸ではなく下に凸、すなわち上に折れ曲がる関数である。 このことから、極大値は $f'(x)=0$ を満たす点でただ1つ与えられる。
解法1
**(1)**
$f''(x)<0$ を示す。
与えられた関数は
$$ f(x)=ax-(1+x)\log(1+x)-(1-x)\log(1-x) $$
である。
まず微分すると、
$$ \frac{d}{dx}{(1+x)\log(1+x)}=\log(1+x)+1 $$
であり、また
$$ \frac{d}{dx}{(1-x)\log(1-x)}=-\log(1-x)-1 $$
であるから、
$$ \begin{aligned} f'(x) &=a-{\log(1+x)+1}-{-\log(1-x)-1} \\ &=a+\log(1-x)-\log(1+x) \\ &=a+\log\frac{1-x}{1+x}. \end{aligned} $$
さらに微分すると、
$$ \begin{aligned} f''(x) &=\frac{d}{dx}\left(a+\log(1-x)-\log(1+x)\right) \\ &=-\frac{1}{1-x}-\frac{1}{1+x} \\ &=-\frac{(1+x)+(1-x)}{1-x^2} \\ &=-\frac{2}{1-x^2}. \end{aligned} $$
$-1<x<1$ では $1-x^2>0$ であるから、
$$ f''(x)=-\frac{2}{1-x^2}<0 $$
が成り立つ。
---
**(2)**
$f(x)$ の最大値を与える $x$ の値 $x_0$ を $a$ を用いて表す。
(1) より、$-1<x<1$ で常に $f''(x)<0$ である。したがって $f'(x)$ は単調減少であり、$f$ はただ1つの極大点をもつ。
よって $f'(x)=0$ を解けばよい。
$$ a+\log\frac{1-x}{1+x}=0 $$
より、
$$ \log\frac{1-x}{1+x}=-a $$
したがって、
$$ \frac{1-x}{1+x}=e^{-a}. $$
これを解くと、
$$ \begin{aligned} 1-x&=e^{-a}(1+x) \\ 1-e^{-a}&=x(1+e^{-a}) \\ x&=\frac{1-e^{-a}}{1+e^{-a}}. \end{aligned} $$
よって、最大値を与える点は
$$ x_0=\frac{1-e^{-a}}{1+e^{-a}}=\frac{e^a-1}{e^a+1} $$
である。
$a>0$ なので $0<e^{-a}<1$ であり、確かに $-1<x_0<1$ である。
---
**(3)**
$a=1$ の場合、$0<x_1<1$ であって $f(x_1)=0$ となる $x_1$ が存在することを示す。
以後、
$$ f(x)=x-(1+x)\log(1+x)-(1-x)\log(1-x) $$
とする。
まず
$$ f(0)=0 $$
である。また、
$$ f'(x)=1+\log\frac{1-x}{1+x} $$
より、
$$ f'(0)=1>0 $$
である。$f'$ は連続だから、ある $\delta>0$ が存在して、$0\le x\le \delta$ で $f'(x)>0$ となる。したがって $f$ は $[0,\delta]$ で増加し、
$$ f(\delta)>f(0)=0 $$
となる。
次に $x\to 1-0$ のときの極限を調べる。 $t=1-x$ とおくと $t\to +0$ であり、仮定より $t\log t\to 0$ であるから、
$$ (1-x)\log(1-x)\to 0. $$
また $(1+x)\to 2$ であるので、
$$ (1+x)\log(1+x)\to 2\log 2. $$
よって
$$ \lim_{x\to 1-0}f(x)=1-2\log 2. $$
ここで
$$ 2\log 2=\log 4>1 $$
であるから、
$$ 1-2\log 2<0. $$
したがって、$x$ を $1$ に十分近づければ $f(x)<0$ となる点が存在する。
以上より、ある $\delta\in(0,1)$ で $f(\delta)>0$、またある $r\in(\delta,1)$ で $f(r)<0$ である。$f$ は連続だから、中間値の定理により
$$ \delta<x_1<r<1 $$
なる $x_1$ で
$$ f(x_1)=0 $$
を満たすものが存在する。
---
**(4)**
$a=1$ の場合のグラフの概形をかく。
まず
$$ f'(x)=1+\log\frac{1-x}{1+x}, \qquad f''(x)=-\frac{2}{1-x^2}<0 $$
であるから、グラフは $-1<x<1$ 全体で常に上に凸ではなく、下向きに曲がる。
極大点は (2) より
$$ x_0=\frac{e-1}{e+1} $$
である。よって
- $-1<x<x_0$ で増加
- $x_0<x<1$ で減少
となる。
また、
$$ f(0)=0 $$
である。
端での極限は、同様にして
$$ \lim_{x\to -1+0}f(x) =-1-2\log 2 $$
および
$$ \lim_{x\to 1-0}f(x) =1-2\log 2 $$
である。いずれも負である。
さらに (3) より、$(0,1)$ に $f(x)=0$ を満たす点 $x_1$ が存在する。 しかも $x_0$ より右では単調減少であるから、そのような $x_1$ はただ1つである。
したがってグラフの概形は次の特徴をもつ。
- 定義域は $-1<x<1$
- 全体に下に凸
- $(-1,-1-2\log 2)$ 付近から出発して増加する
- 原点 $(0,0)$ を通る
- $x=\dfrac{e-1}{e+1}$ でただ1つの極大値をとる
- その後は減少し、$0<x_1<1$ で再び $x$ 軸と交わる
- 最後は $x\to 1-0$ で $1-2\log 2<0$ に近づく
解説
この問題の本質は、$f''(x)<0$ により関数が全体で下に凸であることをつかむ点にある。 これにより、極大点はただ1つであり、$f'(x)=0$ を解くだけで最大値を与える点が決まる。
また、$a=1$ の場合の零点の存在は、$f'(0)>0$ によって原点の右側ですぐ正になることと、$x\to 1-0$ で負になることを組み合わせればよい。 グラフの概形も、増減・凹凸・端での極限・零点の位置を順に整理すれば機械的に決まる。
答え
**(1)**
$$ f''(x)=-\frac{2}{1-x^2}<0 \qquad (-1<x<1) $$
である。
**(2)**
最大値を与える点は
$$ x_0=\frac{1-e^{-a}}{1+e^{-a}}=\frac{e^a-1}{e^a+1} $$
である。
**(3)**
$a=1$ のとき、$0<x_1<1$ で
$$ f(x_1)=0 $$
となる $x_1$ が存在する。
**(4)**
$a=1$ のときのグラフは、$-1<x<1$ で常に下に凸であり、
$$ x=\frac{e-1}{e+1} $$
でただ1つの極大値をとる。原点 $(0,0)$ を通り、さらに $(0,1)$ にただ1つ別の零点 $x_1$ をもつ。
また、
$$ \lim_{x\to -1+0}f(x)=-1-2\log2,\qquad \lim_{x\to 1-0}f(x)=1-2\log2 $$
である。