基礎問題集
数学3 微分法「最大最小・解の個数」の問題63 解説
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解説
注意
画像の末項が判別しづらいため,ここでは問題文を
$$ f(x)=(x^2+a)(x-a^2)^2-cx^2 $$
と読み取った場合の解答解説とする。([Miki Ota Niguchi][1])
方針・初手
方程式 $f(x)=0$ をそのまま展開して扱うより,$x\neq 0$ で両辺を $x^2$ で割り,
$$ c=\frac{(x^2+a)(x-a^2)^2}{x^2} $$
とみるのが有効である。すなわち,右辺を $x$ の関数としてその増減を調べれば,直線 $y=c$ との交点の個数として実数解の個数が分かる。
解法1
まず $x=0$ は
$$ f(0)=a^5>0 $$
より解ではない。したがって $x\neq 0$ としてよい。
そこで
$$ g(x)=\frac{(x^2+a)(x-a^2)^2}{x^2} $$
とおくと,
$$ f(x)=0 \iff g(x)=c $$
である。
$g(x)$ を微分すると,
$$ g'(x)=\frac{2(a+x)(x-a^2)(a^2-ax+x^2)}{x^3} $$
を得る。ここで
$$ a^2-ax+x^2=\left(x-\frac a2\right)^2+\frac{3a^2}{4}>0 $$
であるから,$g'(x)$ の符号は
$$ \frac{(a+x)(x-a^2)}{x^3} $$
の符号で決まる。
したがって,$g(x)$ の増減は次のようになる。
- $(-\infty,-a)$ で減少
- $(-a,0)$ で増加
- $(0,a^2)$ で減少
- $(a^2,\infty)$ で増加
また,
$$ \lim_{x\to\pm\infty}g(x)=+\infty,\qquad \lim_{x\to\pm 0}g(x)=+\infty $$
であり,
$$ g(-a)=\frac{(a^2+a)(-a-a^2)^2}{a^2}=a(a+1)^3, \qquad g(a^2)=0 $$
である。
よって $y=g(x)$ の概形から,方程式 $f(x)=0$ の異なる実数解の個数は次の通りである。
**(1)**
$c<0$ のとき 解は $0$ 個。
**(2)**
$c=0$ のとき 解は $1$ 個で,$x=a^2$。
**(3)**
$0<c<a(a+1)^3$ のとき 解は $2$ 個。
**(4)**
$c=a(a+1)^3$ のとき 解は $3$ 個。
**(5)**
$c>a(a+1)^3$ のとき 解は $4$ 個。
以上より,今後扱う「$3$ 個の異なる実数解をもつ場合」は
$$ c=a(a+1)^3 $$
の場合に限る。
このとき $x=-a$ で $g(x)$ は極小値 $a(a+1)^3$ をとるので,$x=-a$ は重解である。実際に $c=a(a+1)^3$ を代入すると,
$$ f(x)=(x^2+a)(x-a^2)^2-a(a+1)^3x^2 $$
であり,これを因数分解すると
$$ f(x)=(x+a)^2\left(x^2-2a(a+1)x+a^3\right) $$
となる。
したがって残りの解は
$$ x^2-2a(a+1)x+a^3=0 $$
の解であり,
$$ x=a(a+1)\pm \sqrt{a^2(a+1)^2-a^3} $$
すなわち
$$ x=a(a+1)\pm a\sqrt{a^2+a+1} $$
である。
よって $3$ 個の異なる実数解は
$$ x=-a,\quad x=a(a+1)-a\sqrt{a^2+a+1},\quad x=a(a+1)+a\sqrt{a^2+a+1} $$
である。
次に面積 $S(a)$ を求める。
小さい方の正の解を
$$ r(a)=a(a+1)-a\sqrt{a^2+a+1} $$
とおく。$f(x)$ は
$$ f(x)=(x+a)^2(x-r(a))\left(x-a(a+1)-a\sqrt{a^2+a+1}\right) $$
と書けるので,$f(x)\geq 0$ で $x$ 軸と囲まれる有界な部分は $x=-a$ から $x=r(a)$ までの部分である。したがって
$$ S(a)=\int_{-a}^{r(a)} f(x),dx $$
である。
ここで $x=at$ とおくと $dx=a,dt$ であり,
$$ r(a)=a\left(a+1-\sqrt{a^2+a+1}\right) $$
だから
$$ \frac{r(a)}{a}=a+1-\sqrt{a^2+a+1}\to 0 \qquad (a\to +0) $$
である。また,
$$ f(at)=a^4(t+1)^2\bigl(t^2-2t+a(1-2t)\bigr) $$
となるので,
$$ \begin{aligned} \frac{S(a)}{a^5} &= \int_{-1}^{,a+1-\sqrt{a^2+a+1}} (t+1)^2\bigl(t^2-2t+a(1-2t)\bigr),dt \end{aligned} $$
を得る。
$a\to +0$ とすると,上端は $0$ に近づき,被積分関数は
$$ (t+1)^2t(t-2) $$
に収束する。したがって
$$ \begin{aligned} \lim_{a\to +0}\frac{S(a)}{a^5} &= \int_{-1}^{0}(t+1)^2t(t-2),dt \end{aligned} $$
である。
ここで
$$ (t+1)^2t(t-2)=t^4-3t^2-2t $$
より,
$$ \begin{aligned} \int_{-1}^{0}(t^4-3t^2-2t),dt &= \left[\frac{t^5}{5}-t^3-t^2\right]_{-1}^{0} \\ \frac15 \end{aligned} $$
となる。
解説
この問題の本質は,$f(x)=0$ を「$x$ の方程式」として直接処理するのではなく,
$$ c=\frac{(x^2+a)(x-a^2)^2}{x^2} $$
という形に直して,媒介変数 $c$ を水平線として見る点にある。すると実数解の個数は関数 $g(x)$ の極小値の個数と位置関係だけで決まる。
また,$3$ 個の異なる実数解をもつのは,水平線 $y=c$ が極小点 $(-a,\ a(a+1)^3)$ に接するときであり,そのとき $x=-a$ が重解になる。この見方ができると,(2) の因数分解や (3) の面積計算も自然につながる。
答え
$$ \text{異なる実数解の個数}= \begin{cases} 0 & (c<0),\\ 1 & (c=0),\\ 2 & (0<c<a(a+1)^3),\\ 3 & (c=a(a+1)^3),\\ 4 & (c>a(a+1)^3). \end{cases} $$
$3$ 個の異なる実数解をもつのは
$$ c=a(a+1)^3 $$
のときであり,その $3$ 個の実数解は
$$ x=-a,\quad x=a(a+1)-a\sqrt{a^2+a+1},\quad x=a(a+1)+a\sqrt{a^2+a+1} $$
である。
さらに,
$$ \lim_{a\to +0}\frac{S(a)}{a^5}=\frac15 $$
である。
[1]: https://mikiotaniguchi.com/image/16/16021104.pdf?utm_source=chatgpt.com "f(x)=(x2 + a)(x - a 2)2 - cx2 S(a) a5"