基礎問題集
数学3 微分法「最大最小・解の個数」の問題75 解説
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解説
方針・初手
まず $f(x)=x-\tan x$ を $-\dfrac{\pi}{2}<x<\dfrac{\pi}{2}$ で考え,その単調性と両端での極限を調べる。これにより (1) は直ちに処理できる。
(2) では,$y=\sin x$ 上の点 $x=u$ における接線の方程式を明示し,それが別の点 $x=s$ における接線と一致する条件を調べる。接線の傾きと切片を比較するのが最短である。
解法1
**(1)**
$f(x)=x-\tan x$ とおく。ただし
$$ -\frac{\pi}{2}<x<\frac{\pi}{2} $$
である。
このとき
$$ f'(x)=1-\frac{1}{\cos^2 x}=-\tan^2 x\leqq 0 $$
である。さらに,任意の $x_1<x_2$ に対して
$$ f(x_2)-f(x_1)=\int_{x_1}^{x_2}f'(x),dx =-\int_{x_1}^{x_2}\tan^2 x,dx<0 $$
となる。したがって $f$ は区間 $\left(-\dfrac{\pi}{2},\dfrac{\pi}{2}\right)$ で狭義単調減少である。
また,
$$ \lim_{x\to -\frac{\pi}{2}+0}(x-\tan x)=+\infty,\qquad \lim_{x\to \frac{\pi}{2}-0}(x-\tan x)=-\infty $$
である。
よって中間値の定理より,任意の実数 $a$ に対して方程式
$$ x-\tan x=a $$
は区間 $\left(-\dfrac{\pi}{2},\dfrac{\pi}{2}\right)$ に少なくとも1個の解をもつ。さらに $f$ は狭義単調減少であるから,その解は高々1個である。
したがって,$|x|<\dfrac{\pi}{2}$ をみたす実数解はちょうど1個である。
---
**(2)**
(1) より,任意の自然数 $n$ に対して方程式
$$ x-\tan x=n\pi,\qquad |x|<\frac{\pi}{2} $$
をみたす実数 $x$ はただ1個存在する。これを $x_n$ とする。
いま $|t|<\dfrac{\pi}{2}$ とし,曲線 $C:y=\sin x$ 上の点 $P(t,\sin t)$ における接線を考える。$x=u$ における $C$ の接線は
$$ y=\cos u,(x-u)+\sin u $$
すなわち
$$ \ell_u:\ y=\cos u,x+\sin u-u\cos u $$
である。
点 $P(t,\sin t)$ における接線が,さらに $x\geqq \dfrac{\pi}{2}$ の領域にある点でも $C$ と接するとは,ある実数 $s\geqq \dfrac{\pi}{2}$ が存在して
$$ \ell_s=\ell_t $$
となることにほかならない。
接線が一致するための条件は,$x$ の係数と定数項が一致することより
$$ \cos s=\cos t $$
かつ
$$ \sin s-s\cos s=\sin t-t\cos t $$
である。
ここで $\cos s=\cos t$ より,ある整数 $k$ を用いて
$$ s=2k\pi+t \qquad \text{または} \qquad s=2k\pi-t $$
と表せる。
**(i)**
$s=2k\pi+t$ の場合
このとき $\sin s=\sin t,\ \cos s=\cos t$ なので,
$$ \sin s-s\cos s=\sin t-(2k\pi+t)\cos t $$
である。これが $\sin t-t\cos t$ に等しいから
$$ 2k\pi\cos t=0 $$
となる。
ところが $|t|<\dfrac{\pi}{2}$ より $\cos t>0$ であるから,$k=0$ でなければならない。すると $s=t$ であるが,$t<\dfrac{\pi}{2}$ だから $s\geqq \dfrac{\pi}{2}$ に反する。よってこの場合は不可能である。
**(ii)**
$s=2k\pi-t$ の場合
このとき
$$ \sin s=\sin(2k\pi-t)=-\sin t,\qquad \cos s=\cos(2k\pi-t)=\cos t $$
であるから,
$$ -\sin t-(2k\pi-t)\cos t=\sin t-t\cos t $$
を得る。整理すると
$$ t\cos t-\sin t=k\pi\cos t $$
である。ここで $\cos t>0$ より両辺を $\cos t$ で割ることができて,
$$ t-\tan t=k\pi $$
となる。
さらに $s=2k\pi-t\geqq \dfrac{\pi}{2}$ である。もし $k\leqq 0$ なら
$$ s=2k\pi-t\leqq -t<\frac{\pi}{2} $$
となって矛盾する。したがって $k$ は自然数である。よって
$$ t-\tan t=n\pi \qquad (n\in \mathbb{N}) $$
であり,$|t|<\dfrac{\pi}{2}$ をあわせると,(1) により $t=x_n$ である。
以上で必要性は示された。
逆に,$t=x_n$ であるとする。すると
$$ t-\tan t=n\pi $$
である。ここで
$$ s=2n\pi-t $$
とおくと,$t<\dfrac{\pi}{2}$ であるから
$$ s=2n\pi-t>\frac{\pi}{2} $$
である。
また
$$ \cos s=\cos(2n\pi-t)=\cos t $$
であり,さらに $t-\tan t=n\pi$ から
$$ \sin t-t\cos t=-n\pi\cos t $$
が従うので,
$$ \sin s-s\cos s =-\sin t-(2n\pi-t)\cos t =\sin t-t\cos t $$
となる。したがって
$$ \ell_s=\ell_t $$
である。すなわち,点 $P(t,\sin t)$ における接線は,$x=s\geqq \dfrac{\pi}{2}$ においても曲線 $C$ と接する。
よって十分性も示された。
以上より,求める必要十分条件は $t$ が $x_1,x_2,x_3,\dots$ のいずれかに等しいことである。
解説
(1) の本質は,$x-\tan x$ が区間 $\left(-\dfrac{\pi}{2},\dfrac{\pi}{2}\right)$ で狭義単調減少し,しかも値域が全実数になることである。
(2) の本質は,「接線が一致する」という幾何的条件を,接線の式
$$ y=\cos u,x+\sin u-u\cos u $$
の係数比較に落とすことである。$\cos s=\cos t$ から $s=2k\pi\pm t$ に分かれ,$2k\pi+t$ の型は排除され,$2k\pi-t$ の型だけが残る。そのとき条件がちょうど
$$ t-\tan t=k\pi $$
になるので,(1) の結果と直結する。
答え
**(1)**
方程式
$$ x-\tan x=a $$
は,$|x|<\dfrac{\pi}{2}$ をみたす実数解をちょうど1個もつ。
**(2)**
曲線 $C:y=\sin x$ 上の点 $P(t,\sin t)$ における接線が,$x\geqq \dfrac{\pi}{2}$ の領域にある点でも $C$ と接するための必要十分条件は,
$$ t=x_n \quad (n=1,2,3,\dots) $$
すなわち
$$ t-\tan t=n\pi \quad (n\in\mathbb{N}),\qquad |t|<\frac{\pi}{2} $$
を満たすことである。