基礎問題集
数学3 微分法「最大最小・解の個数」の問題81 解説
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解説
方針・初手
曲線 $y=\cos x$ の $x=t$ における接線を求め,それが点 $P(a,b)$ を通る条件を $t$ の方程式に直す。
すると,$N(P)$ はある関数の水平線との交点個数に言い換えられるので,その関数の増減を調べれば $N(P)=4$ となる $P$ の範囲が分かる。
解法1
曲線 $y=\cos x$ 上の点 $(t,\cos t)$ における接線の傾きは
$$ -\sin t $$
であるから,その接線は
$$ y-\cos t=-\sin t(x-t) $$
すなわち
$$ y=\cos t+(t-x)\sin t $$
である。
この接線が $P(a,b)$ を通る条件は
$$ b=\cos t+(t-a)\sin t $$
である。そこで
$$ f_a(t)=\cos t+(t-a)\sin t \qquad (-\pi\le t\le \pi) $$
とおくと,$N(P)$ は方程式
$$ f_a(t)=b $$
の解の個数に等しい。
したがって,$0<a<\pi$ を固定したときの $f_a(t)$ のグラフと水平線 $y=b$ の交点個数を調べればよい。
$f_a(t)$ を微分すると
$$ f_a'(t)=-\sin t+\sin t+(t-a)\cos t=(t-a)\cos t $$
となる。
よって,$f_a'(t)=0$ となるのは
$$ t=-\frac{\pi}{2},\quad t=\frac{\pi}{2},\quad t=a $$
である。
また,各点での値は
$$ f_a(-\pi)=-1,\qquad f_a(\pi)=-1, $$
$$ f_a!\left(-\frac{\pi}{2}\right)=a+\frac{\pi}{2}, \qquad f_a!\left(\frac{\pi}{2}\right)=\frac{\pi}{2}-a, \qquad f_a(a)=\cos a $$
である。
以下,$a$ の位置で場合分けする。
(i) $0<a<\dfrac{\pi}{2}$ の場合
このとき臨界点の並びは
$$ -\pi<-\frac{\pi}{2}<a<\frac{\pi}{2}<\pi $$
であり,$f_a'(t)=(t-a)\cos t$ の符号より,
- $[-\pi,-\dfrac{\pi}{2}]$ で増加
- $[-\dfrac{\pi}{2},a]$ で減少
- $[a,\dfrac{\pi}{2}]$ で増加
- $[\dfrac{\pi}{2},\pi]$ で減少
となる。
したがって,$f_a(t)$ は $t=-\dfrac{\pi}{2}$ で極大, $t=a$ で極小, $t=\dfrac{\pi}{2}$ で極大をとる。
ここで
$$ \cos a<\frac{\pi}{2}-a $$
が成り立つことを確認する。
実際,
$$ g(a)=\cos a-\left(\frac{\pi}{2}-a\right)=\cos a+a-\frac{\pi}{2} $$
とおくと,
$$ g'(a)=1-\sin a>0 \qquad \left(0<a<\frac{\pi}{2}\right) $$
であり,さらに
$$ g!\left(\frac{\pi}{2}\right)=0 $$
なので,$0<a<\dfrac{\pi}{2}$ では $g(a)<0$,すなわち
$$ \cos a<\frac{\pi}{2}-a $$
である。
よって,$y=b$ がグラフと 4 点で交わるのは,水平線が極小値 $\cos a$ と右側の極大値 $\dfrac{\pi}{2}-a$ の間にあるとき,すなわち
$$ \cos a<b<\frac{\pi}{2}-a $$
のときに限る。
(ii) $\dfrac{\pi}{2}<a<\pi$ の場合
このとき臨界点の並びは
$$ -\pi<-\frac{\pi}{2}<\frac{\pi}{2}<a<\pi $$
であり,符号を調べると,
- $[-\pi,-\dfrac{\pi}{2}]$ で増加
- $[-\dfrac{\pi}{2},\dfrac{\pi}{2}]$ で減少
- $[\dfrac{\pi}{2},a]$ で増加
- $[a,\pi]$ で減少
となる。
したがって,$t=\dfrac{\pi}{2}$ で極小, $t=a$ で極大をとる。
今度は
$$ \frac{\pi}{2}-a<\cos a $$
が成り立つ。
実際,先ほどの
$$ g(a)=\cos a+a-\frac{\pi}{2} $$
について,
$$ g'(a)=1-\sin a>0 \qquad \left(\frac{\pi}{2}<a<\pi\right) $$
であり,
$$ g!\left(\frac{\pi}{2}\right)=0 $$
だから,$\dfrac{\pi}{2}<a<\pi$ では $g(a)>0$ である。したがって
$$ \frac{\pi}{2}-a<\cos a $$
である。
よって,$y=b$ が 4 点で交わるのは
$$ \frac{\pi}{2}-a<b<\cos a $$
のときに限る。
(iii) まとめ
(i),(ii) をまとめると,$0<a<\pi$ に対して $N(P)=4$ となる条件は
$$ \bigl(b-\cos a\bigr)\left(b-\left(\frac{\pi}{2}-a\right)\right)<0 $$
である。
すなわち,点 $P(a,b)$ は
- 直線 $y=\dfrac{\pi}{2}-x$
- 曲線 $y=\cos x$
の間にあり,
- さらに $0<x<\pi$
を満たす開領域に存在する。
解説
接線が点 $P(a,b)$ を通る条件を,接点の $x$ 座標 $t$ に関する方程式
$$ f_a(t)=b $$
に直すのが本問の核心である。
微分すると
$$ f_a'(t)=(t-a)\cos t $$
と非常に簡単になり,極値をとる位置が $t=-\dfrac{\pi}{2},\dfrac{\pi}{2},a$ の 3 点に限られる。したがって,$f_a$ のグラフは高々 4 回しか水平線と交わらず,$N(P)=4$ となるのは「真ん中の極小値と極大値の間」に水平線がある場合である。
その両端の値が $\cos a$ と $\dfrac{\pi}{2}-a$ になっているので,結局「曲線 $y=\cos x$ と直線 $y=\dfrac{\pi}{2}-x$ の間の領域」として図示できる。
答え
$N(P)=4$ かつ $0<a<\pi$ となる点 $P(a,b)$ の存在範囲は
$$ 0<a<\pi,\qquad \bigl(b-\cos a\bigr)\left(b-\left(\frac{\pi}{2}-a\right)\right)<0 $$
である。
したがって,座標平面上では
$$ 0<x<\pi $$
の範囲で,曲線
$$ y=\cos x $$
と直線
$$ y=\frac{\pi}{2}-x $$
に挟まれた開領域である。境界は含まない。