基礎問題集
数学3 微分法「接線・不等式」の問題13 解説
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解説
方針・初手
(1) は、$f(x)=e^x-\dfrac{x^n}{n!}$ とおいて導関数を順に調べると、$f(x)>0$ を示せる。
(2) は、(1) の不等式で $n=3$ を用いれば、$x^2e^{-x}$ を $\dfrac{1}{x}$ の形で上からおさえられる。
(3) は、まず $y=xe^{-x}$ の接線・法線の方程式を求め、それぞれの $x$ 切片を計算する。最後に (2) を使って指数関数の項の極限を処理する。
解法1
**(1)**
$$ f(x)=e^x-\frac{x^n}{n!} $$
とおく。
このとき、$k=0,1,\dots,n-1$ に対して
$$ f^{(k)}(x)=e^x-\frac{x^{n-k}}{(n-k)!} $$
であり、さらに
$$ f^{(n)}(x)=e^x-1 $$
となる。
$x\geqq 0$ では $e^x\geqq 1$ であるから、
$$ f^{(n)}(x)=e^x-1\geqq 0 $$
である。したがって $f^{(n-1)}(x)$ は単調増加である。
ここで
$$ f^{(n-1)}(0)=e^0-0=1>0 $$
より、$x\geqq 0$ で
$$ f^{(n-1)}(x)>0 $$
となる。ゆえに $f^{(n-2)}(x)$ も単調増加であり、
$$ f^{(n-2)}(0)=1>0 $$
だから、$x\geqq 0$ で
$$ f^{(n-2)}(x)>0 $$
を得る。
これを同様に繰り返すと、最終的に
$$ f(x)>0 \qquad (x\geqq 0) $$
となる。すなわち、
$$ e^x>\frac{x^n}{n!} \qquad (x\geqq 0) $$
が成り立つ。
**(2)**
(1) の結果を $n=3$ に対して用いると、$x\geqq 0$ で
$$ e^x>\frac{x^3}{3!}=\frac{x^3}{6} $$
である。よって $x>0$ で
$$ x^2e^{-x}=\frac{x^2}{e^x}<\frac{x^2}{x^3/6}=\frac{6}{x} $$
となる。
ここで $x^2e^{-x}>0$ でもあるから、
$$ 0<x^2e^{-x}<\frac{6}{x} $$
を得る。$x\to\infty$ のとき $\dfrac{6}{x}\to 0$ であるので、はさみうちの原理より
$$ \lim_{x\to\infty}x^2e^{-x}=0 $$
である。
**(3)**
曲線
$$ y=xe^{-x} $$
上の点
$$ A=(a,ae^{-a}) $$
を考える。ただし $a>1$ である。
まず導関数は
$$ y'=e^{-x}-xe^{-x}=e^{-x}(1-x) $$
だから、点 $A$ における接線の傾きは
$$ e^{-a}(1-a) $$
である。
したがって接線の方程式は
$$ y-ae^{-a}=e^{-a}(1-a)(x-a) $$
となる。これが $x$ 軸と交わる点を $P$ とすると、$y=0$ を代入して
$$ -ae^{-a}=e^{-a}(1-a)(x-a) $$
すなわち
$$ -a=(1-a)(x-a) $$
であるから、
$$ a=(a-1)(x-a) $$
となる。よって
$$ x-a=\frac{a}{a-1} $$
であり、
$$ x_P=a+\frac{a}{a-1}=\frac{a^2}{a-1} $$
を得る。したがって
$$ P\left(\frac{a^2}{a-1},,0\right) $$
である。
次に法線の傾きは、接線の傾きの逆数に $-1$ をかけて
$$ -\frac{1}{e^{-a}(1-a)}=\frac{e^a}{a-1} $$
となる。したがって法線の方程式は
$$ y-ae^{-a}=\frac{e^a}{a-1}(x-a) $$
である。これが $x$ 軸と交わる点を $Q$ とすると、$y=0$ を代入して
$$ -ae^{-a}=\frac{e^a}{a-1}(x-a) $$
より
$$ x-a=-a(a-1)e^{-2a} $$
となる。したがって
$$ x_Q=a-a(a-1)e^{-2a} $$
であり、
$$ Q\left(a-a(a-1)e^{-2a},,0\right) $$
である。
ゆえに、線分 $PQ$ の長さ $l(a)$ は
$$ l(a)=x_P-x_Q $$
すなわち
$$ l(a)=\frac{a^2}{a-1}-\left(a-a(a-1)e^{-2a}\right) $$
である。これを整理すると
$$ l(a)=\left(\frac{a^2}{a-1}-a\right)+a(a-1)e^{-2a} =\frac{a}{a-1}+a(a-1)e^{-2a} $$
となる。
ここで
$$ \frac{a}{a-1}\to 1 \qquad (a\to\infty) $$
である。また
$$ 0\leqq a(a-1)e^{-2a}\leqq a^2e^{-2a} $$
であり、(2) で $x=2a$ とおけば
$$ a^2e^{-2a}=\frac{1}{4}(2a)^2e^{-2a}\to 0 $$
だから
$$ a(a-1)e^{-2a}\to 0 $$
である。
したがって
$$ \lim_{a\to\infty}l(a)=1 $$
となる。
解説
この問題の中心は、「指数関数は多項式より速く増加する」という事実である。
(1) ではそれを厳密に示している。$e^x$ と $\dfrac{x^n}{n!}$ の差をとり、導関数を順に追うと、最後は $e^x-1\geqq 0$ に帰着する。この流れは高校範囲で十分処理できる。
(2) では、指数関数の増加の速さを極限計算に利用している。$x^2e^{-x}$ を直接扱うより、(1) から $e^x$ を下から評価して分母を大きくするのが基本である。
(3) では計算自体は接線・法線の方程式を立てる標準問題であるが、最後に現れる $a(a-1)e^{-2a}$ の極限処理に (2) がそのまま使えるようになっている。設問どうしがつながっていることに気づくのが重要である。
答え
**(1)**
任意の自然数 $n$ に対し、$x\geqq 0$ ならば
$$ e^x>\frac{x^n}{n!} $$
が成り立つ。
**(2)**
$$ \lim_{x\to\infty}x^2e^{-x}=0 $$
**(3)**
$$ \lim_{a\to\infty}l(a)=1 $$