基礎問題集
数学3 微分法「接線・不等式」の問題32 解説
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解説
方針・初手
まず $ax+b(1-x)=b+(a-b)x$ と書き直すと、微分計算がしやすくなる。
この問題の核は、関数
$$ f(x)=\log \bigl(b+(a-b)x\bigr)-x\log a-(1-x)\log b $$
の凹性を調べることである。$f''(x)<0$ を示せば $f$ は上に凸ではなく下に凸、すなわち上に曲がった関数であり、$f'$ が単調減少する。これにより $f'(x)=0$ の解の個数が分かり、最後は $f(x)\geqq 0$ を示して指数関数に戻せばよい。
解法1
まず $0\leqq x\leqq 1$ において
$$ ax+b(1-x)=b+(a-b)x $$
であるから、
$$ f(x)=\log \bigl(b+(a-b)x\bigr)-x\log a-(1-x)\log b $$
と書ける。
(1) $f''(x)<0$ を示す
$f'(x)$ を求めると、
$$ f'(x)=\frac{a-b}{b+(a-b)x}-\log a+\log b =\frac{a-b}{b+(a-b)x}-\log \frac{a}{b} $$
である。
さらに微分して、
$$ \begin{aligned} f''(x) &= -\frac{(a-b)^2}{\bigl(b+(a-b)x\bigr)^2} \end{aligned} $$
を得る。
ここで $a>b>0$ より $a-b>0$ であり、また $0<x<1$ では $b+(a-b)x>0$ であるから、
$$ f''(x)<0 \qquad (0<x<1) $$
が成り立つ。
(2) $f'(c)=0$ をみたす $c$ が $0<c<1$ にただ1つ存在することを示す
(1) より $f''(x)<0$ であるから、$f'(x)$ は区間 $(0,1)$ で単調減少する。
したがって、$f'(0)>0$ かつ $f'(1)<0$ を示せば、中間値の定理により $f'(c)=0$ をみたす $c\in(0,1)$ が存在し、しかも単調減少性によりそのような $c$ はただ1つである。
まず $f'(0)$ を計算すると、
$$ f'(0)=\frac{a-b}{b}-\log \frac{a}{b} =\frac{a}{b}-1-\log \frac{a}{b} $$
となる。ここで $t=\dfrac{a}{b}>1$ とおくと、
$$ f'(0)=t-1-\log t $$
である。
関数 $g(t)=t-1-\log t$ を考えると、
$$ g'(t)=1-\frac{1}{t}=\frac{t-1}{t}>0 \qquad (t>1) $$
であり、また $g(1)=0$ であるから、$t>1$ で $g(t)>0$ となる。よって
$$ f'(0)>0 $$
である。
次に $f'(1)$ を計算すると、
$$ f'(1)=\frac{a-b}{a}-\log \frac{a}{b} =1-\frac{b}{a}-\log \frac{a}{b} $$
となる。再び $t=\dfrac{a}{b}>1$ とおけば、
$$ f'(1)=1-\frac{1}{t}-\log t $$
である。
ここで $h(t)=1-\dfrac{1}{t}-\log t$ とおくと、
$$ h'(t)=\frac{1}{t^2}-\frac{1}{t} =-\frac{t-1}{t^2}<0 \qquad (t>1) $$
であり、また $h(1)=0$ であるから、$t>1$ で $h(t)<0$ となる。したがって
$$ f'(1)<0 $$
である。
以上より、$f'(x)$ は $(0,1)$ で単調減少し、しかも $f'(0)>0,\ f'(1)<0$ であるから、
$$ f'(c)=0 $$
をみたす実数 $c$ が $0<c<1$ にただ1つ存在する。
(3) $ax+b(1-x)\geqq a^x b^{1-x}$ を示す
まず両端での値を調べると、
$$ f(0)=\log b-\log b=0, \qquad f(1)=\log a-\log a=0 $$
である。
(2) で得た $c$ に対し、$f'(x)$ は単調減少で $f'(c)=0$ だから、
- $0<x<c$ では $f'(x)>0$
- $c<x<1$ では $f'(x)<0$
となる。
したがって $f(x)$ は $[0,c]$ で増加し、$[c,1]$ で減少する。しかも $f(0)=f(1)=0$ であるから、
$$ f(x)\geqq 0 \qquad (0\leqq x\leqq 1) $$
が成り立つ。
すなわち、
$$ \log \bigl(ax+b(1-x)\bigr)-x\log a-(1-x)\log b\geqq 0 $$
であるから、
$$ \log \bigl(ax+b(1-x)\bigr)\geqq \log \bigl(a^x b^{1-x}\bigr) $$
を得る。$\log$ は単調増加であるので、
$$ ax+b(1-x)\geqq a^x b^{1-x} $$
が成り立つ。
解説
この問題は、相加平均と相乗平均の関係を対数関数の凹性で証明する典型問題である。
重要なのは、いきなり不等式そのものを扱うのではなく、
$$ f(x)=\log \bigl(ax+b(1-x)\bigr)-x\log a-(1-x)\log b $$
を導入して、その符号を調べる方針に切り替えることである。$f''(x)<0$ により $f$ が上に凸な形をしていることが分かると、$f'$ は単調減少し、極大点がただ1つ存在することが分かる。さらに両端で $f(0)=f(1)=0$ なので、区間全体で $f(x)\geqq 0$ が従う。
(2) では、単に「$f''(x)<0$ だからただ1つ」と終わらせず、$f'(0)>0,\ f'(1)<0$ をきちんと確認することが必要である。この確認に現れる
$$ t-1-\log t>0 \qquad (t>1) $$
や
$$ 1-\frac{1}{t}-\log t<0 \qquad (t>1) $$
は、補助関数を微分して示すのが自然である。
答え
**(1)**
$$ f''(x)=-\frac{(a-b)^2}{\bigl(b+(a-b)x\bigr)^2}<0 \qquad (0<x<1) $$
である。
**(2)**
$f'(x)$ は $(0,1)$ で単調減少し、
$$ f'(0)=\frac{a}{b}-1-\log \frac{a}{b}>0, \qquad f'(1)=1-\frac{b}{a}-\log \frac{a}{b}<0 $$
であるから、
$$ f'(c)=0 $$
をみたす $c$ が $0<c<1$ にただ1つ存在する。
**(3)**
$f(0)=f(1)=0$ であり、(2) より $f$ は区間内でいったん増加してから減少するので、
$$ f(x)\geqq 0 \qquad (0\leqq x\leqq 1) $$
したがって
$$ \log \bigl(ax+b(1-x)\bigr)\geqq \log \bigl(a^x b^{1-x}\bigr) $$
となり、
$$ ax+b(1-x)\geqq a^x b^{1-x} \qquad (0\leqq x\leqq 1) $$
が成り立つ。