基礎問題集
数学3 極限「確率・極限」の問題19 解説
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解説
方針・初手
(1) は、数列
$$ S_n=1+2r+3r^2+\cdots+nr^{n-1} $$
に対して $rS_n$ を作り、差をとるのが基本である。
(2) は、1回の組 $(A,B)$ において「2人とも外す」確率が一定であることに注目する。各 $p_n,q_n$ は、その事象が起こるまでの外れ方を順に掛け合わせればよい。
(3) は (1) で得た
$$ \sum_{n=1}^{\infty}nr^{n-1} $$
の値をそのまま使う。
解法1
**(1)**
まず
$$ S_n=1+2r+3r^2+\cdots+nr^{n-1} $$
に $r$ を掛けると、
$$ rS_n=r+2r^2+3r^3+\cdots+(n-1)r^{n-1}+nr^n $$
である。
したがって差をとると、
$$ \begin{aligned} S_n-rS_n &=(1+2r+3r^2+\cdots+nr^{n-1})\\ &\quad-(r+2r^2+3r^3+\cdots+(n-1)r^{n-1}+nr^n)\\ &=1+r+r^2+\cdots+r^{n-1}-nr^n \end{aligned} $$
となる。よって
$$ (1-r)S_n=\frac{1-r^n}{1-r}-nr^n $$
であり、
$$ S_n=\frac{1-r^n}{(1-r)^2}-\frac{nr^n}{1-r} $$
を得る。
ここで $|r|<1$ より $r^n\to 0$ であり、さらに問題文の指示より $nr^n\to 0$ である。したがって
$$ S=\lim_{n\to\infty}S_n=\frac{1}{(1-r)^2} $$
である。
**(2)**
A が外す確率は $\dfrac15$、B が外す確率は $\dfrac12$ であるから、1回の組 $(A,B)$ で2人とも外す確率は
$$ \frac15\cdot\frac12=\frac1{10} $$
である。
**[1]**
$n=1$ のとき、A が1回目に命中する確率はそのまま
$$ p_1=\frac45 $$
である。
また、A が外してから B が命中する確率は
$$ q_1=\frac15\cdot\frac12=\frac1{10} $$
である。
**[2]**
$n\geqq 2$ とする。
1回目から $(n-1)$ 回目までは A も B もともに外し、その後 $n$ 回目に A が命中するので、
$$ p_n=\left(\frac1{10}\right)^{n-1}\cdot\frac45 $$
である。
**[3]**
$n\geqq 2$ とする。
1回目から $(n-1)$ 回目までは A も B もともに外し、$n$ 回目に A は外し B が命中するので、
$$ q_n=\left(\frac1{10}\right)^{n-1}\cdot\frac15\cdot\frac12 =\left(\frac1{10}\right)^n $$
である。
なお、この式は $n=1$ の場合にも成り立ち、実際に $q_1=\dfrac1{10}$ となる。
**(3)**
(2) より
$$ p_n=\frac45\left(\frac1{10}\right)^{n-1} $$
だから、
$$ E=\sum_{n=1}^{\infty}(2n-1)p_n =\frac45\sum_{n=1}^{\infty}(2n-1)\left(\frac1{10}\right)^{n-1} $$
となる。
ここで $r=\dfrac1{10}$ とおくと、
$$ \sum_{n=1}^{\infty}(2n-1)r^{,n-1} =2\sum_{n=1}^{\infty}nr^{,n-1}-\sum_{n=1}^{\infty}r^{,n-1} $$
である。
(1) より
$$ \sum_{n=1}^{\infty}nr^{,n-1}=\frac{1}{(1-r)^2} $$
であり、また等比級数の和より
$$ \sum_{n=1}^{\infty}r^{,n-1}=\frac{1}{1-r} $$
である。したがって
$$ \sum_{n=1}^{\infty}(2n-1)r^{,n-1} =\frac{2}{(1-r)^2}-\frac{1}{1-r} $$
となる。ここに $r=\dfrac1{10}$ を代入すると、
$$ \frac{2}{(1-\frac1{10})^2}-\frac{1}{1-\frac1{10}} =\frac{2}{(\frac9{10})^2}-\frac{1}{\frac9{10}} =\frac{200}{81}-\frac{10}{9} =\frac{110}{81} $$
である。
よって
$$ E=\frac45\cdot\frac{110}{81}=\frac{88}{81} $$
となる。
解説
この問題の要点は2つである。
1つ目は、(1) のような級数では $S_n$ と $rS_n$ の差をとることで係数が整理されることである。これは等比数列に係数 $1,2,3,\dots$ が付いた和の典型処理である。
2つ目は、(2) で「1回の組 $(A,B)$ で2人とも外す確率」が常に $\dfrac1{10}$ で一定になる点である。したがって、$n$ 回目まで到達する確率は等比的に減少し、$p_n,q_n$ はすぐに書ける。
(3) は、その $p_n$ を使った級数計算であり、(1) の結果を再利用するのが自然である。
答え
**(1)**
$$ S=\frac{1}{(1-r)^2} $$
**(2)**
**[1]**
$$ p_1=\frac45,\qquad q_1=\frac1{10} $$
**[2]**
$$ p_n=\frac45\left(\frac1{10}\right)^{n-1}\qquad(n\geqq 2) $$
**[3]**
$$ q_n=\left(\frac1{10}\right)^n\qquad(n\geqq 2) $$
**(3)**
$$ E=\frac{88}{81} $$