基礎問題集
数学3 極限「数列・極限」の問題15 解説
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解説
方針・初手
漸化式をそのまま極限に持ち込むより,まず一般項を求めるのが早い問題である。
ただし,収束条件の必要性は漸化式の形からすぐに分かる。実際,$y>1$ なら加えられる項 $y^{n+1}$ 自体が発散し,$x>1$ なら $x a_n$ の部分で幾何級数的に増大する。したがって,まず $x\leqq 1,\ y\leqq 1$ が必要であることを押さえ,その後に一般項で十分性を確認する。
解法1
与えられた漸化式は
$$ a_1=0,\qquad a_{n+1}=x a_n+y^{n+1}\quad (n=1,2,3,\dots) $$
である。
まず必要条件を調べる。
$y>1$ ならば,各 $n$ に対して
$$ a_{n+1}=x a_n+y^{n+1}\geqq y^{n+1} $$
であるから,$a_n\to\infty$ となり,有限の値には収束しない。
次に $x>1$ とする。このとき
$$ a_{n+1}=x a_n+y^{n+1}\geqq x a_n $$
であり,しかも
$$ a_2=y^2>0 $$
であるから,帰納的に
$$ a_n\geqq x^{n-2}a_2=x^{n-2}y^2 $$
となる。よって $x>1$ でも $a_n\to\infty$ となり,有限の値には収束しない。
したがって,$\lim\limits_{n\to\infty}a_n$ が有限の値に収束するためには
$$ x\leqq 1,\qquad y\leqq 1 $$
が必要である。
次に十分性を確かめるため,一般項を求める。
漸化式を順にほどくと,
$$ \begin{aligned} a_n &=x^{n-2}a_2+x^{n-3}y^3+x^{n-4}y^4+\cdots+y^n \\ &=\sum_{k=2}^{n}x^{,n-k}y^k \end{aligned} $$
となる。ここで $x\ne y$ なので,等比数列の和として
$$ \begin{aligned} a_n &=y^2\sum_{j=0}^{n-2}x^{,n-2-j}y^j \\ &=y^2\cdot \frac{x^{n-1}-y^{n-1}}{x-y} \end{aligned} $$
を得る。
ここで $0<x\leqq 1,\ 0<y\leqq 1$ なら,$x^{n-1}$ も $y^{n-1}$ も有限の値に収束する。したがって
$$ a_n=y^2\cdot \frac{x^{n-1}-y^{n-1}}{x-y} $$
も有限の値に収束する。
よって,求める条件は
$$ 0<x\leqq 1,\qquad 0<y\leqq 1,\qquad x\ne y $$
である。
なお,極限値は場合によって次のようになる。
**(i)**
$0<x<1,\ 0<y<1$ のとき
$$ \lim_{n\to\infty}a_n=0 $$
**(ii)**
$0<x<1,\ y=1$ のとき
$$ \lim_{n\to\infty}a_n=\frac{1}{1-x} $$
**(iii)**
$x=1,\ 0<y<1$ のとき
$$ \lim_{n\to\infty}a_n=\frac{y^2}{1-y} $$
解説
この問題の本質は,「非同次項」$y^{n+1}$ と「斉次部分」$x a_n$ の両方が増大しないことを見抜く点にある。
$y>1$ なら加えられる項そのものが発散し,$x>1$ なら既にできた項が倍率 $x$ で増幅されるので,どちらも収束は不可能である。そこを先に押さえると見通しがよい。
そのうえで一般項を求めると,$a_n$ は $x^{n-1}$ と $y^{n-1}$ の差で表されるので,結局 $x,\ y$ がともに $1$ 以下であることが決定条件になる。
ただし問題文で $x,\ y$ は相異なるとしているので,図示では対角線 $x=y$ 上の点は除く。
答え
求める点 $(x,y)$ の範囲は
$$ {(x,y)\mid 0<x\leqq 1,\ 0<y\leqq 1,\ x\ne y} $$
である。
したがって図示すると,第1象限における
$$ 0<x\leqq 1,\qquad 0<y\leqq 1 $$
で表される正方形の内部および辺上の点のうち,対角線
$$ x=y $$
上の点を除いた領域である。