基礎問題集
数学3 極限「数列・極限」の問題36 解説
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解説
方針・初手
与えられた数列は
$$ a_{n+1}=f(a_n),\qquad f(x)=(\sqrt{2})^x $$
で定まっているので,まず関数 $f$ の $0\le x\le 2$ における増減と,その導関数 $f'(x)$ の増減を調べる。
そのうえで,数列については「$0<a_n<2$ が保たれること」を帰納法で示し,さらに
$$ 2-a_{n+1}=f(2)-f(a_n) $$
を平均値の定理で評価すると極限まで一気に処理できる。
解法1
**(1)**
$0\le x\le 2$ における $f(x)$ の最大値と最小値を求める。
$f(x)=(\sqrt{2})^x$ であるから,
$$ f'(x)=(\log \sqrt{2})(\sqrt{2})^x $$
である。ここで $\log \sqrt{2}>0$ であり,また $(\sqrt{2})^x>0$ であるから,
$$ f'(x)>0 $$
が $0\le x\le 2$ で成り立つ。よって $f(x)$ は $[0,2]$ で単調増加である。
したがって最小値は $x=0$ のとき,最大値は $x=2$ のときにとる。
$$ f(0)=1,\qquad f(2)=(\sqrt{2})^2=2 $$
ゆえに,最小値は $1$,最大値は $2$ である。
**(2)**
$0\le x\le 2$ における $f'(x)$ の最大値と最小値を求める。
すでに
$$ f'(x)=(\log \sqrt{2})(\sqrt{2})^x $$
であるから,さらに微分すると
$$ f''(x)=(\log \sqrt{2})^2(\sqrt{2})^x>0 $$
となる。したがって $f'(x)$ は $[0,2]$ で単調増加である。
よって最小値は $x=0$,最大値は $x=2$ でとる。
$$ f'(0)=\log \sqrt{2}=\frac{1}{2}\log 2 $$
$$ f'(2)=2\log \sqrt{2}=\log 2 $$
ゆえに,最小値は $\dfrac{1}{2}\log 2$,最大値は $\log 2$ である。
**(3)**
$0<a_n<2\ (n=1,2,3,\dots)$ が成立することを数学的帰納法で示す。
まず $n=1$ のとき,
$$ a_1=\sqrt{2} $$
であるから,確かに
$$ 0<a_1<2 $$
が成り立つ。
次に,ある $n$ で
$$ 0<a_n<2 $$
が成り立つと仮定する。このとき
$$ a_{n+1}=(\sqrt{2})^{a_n} $$
であるから,指数関数の値は常に正であることより
$$ a_{n+1}>0 $$
である。
また (1) で $f(x)=(\sqrt{2})^x$ は $[0,2]$ で単調増加であるから,$a_n<2$ より
$$ a_{n+1}=f(a_n)<f(2)=2 $$
となる。したがって
$$ 0<a_{n+1}<2 $$
が成り立つ。
以上より,数学的帰納法によって
$$ 0<a_n<2\qquad (n=1,2,3,\dots) $$
が示された。
**(4)**
$$ 0<2-a_{n+1}<(\log 2)(2-a_n)\qquad (n=1,2,3,\dots) $$
を示す。
(3) より $0<a_n<2$ であるから,$a_{n+1}<2$ であり,
$$ 0<2-a_{n+1} $$
が成り立つ。
次に,$f(x)=(\sqrt{2})^x$ に対して平均値の定理を区間 $[a_n,2]$ に適用する。すると,ある $c_n$ が
$$ a_n<c_n<2 $$
を満たして
$$ f(2)-f(a_n)=f'(c_n)(2-a_n) $$
となる。
ここで $f(2)=2,\ f(a_n)=a_{n+1}$ であるから,
$$ 2-a_{n+1}=f'(c_n)(2-a_n) $$
を得る。
さらに (2) で $f'(x)$ は $[0,2]$ で単調増加し,最大値は $\log 2$ である。しかも $c_n<2$ であるから,
$$ f'(c_n)<\log 2 $$
である。よって
$$ 2-a_{n+1}=f'(c_n)(2-a_n)<(\log 2)(2-a_n) $$
となる。
以上より,
$$ 0<2-a_{n+1}<(\log 2)(2-a_n) $$
が示された。
**(5)**
$\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n$ を求める。
$b_n=2-a_n$ とおくと,(4) より
$$ 0<b_{n+1}<(\log 2)b_n $$
が成り立つ。
ここで $0<\log 2<1$ であるから,これを繰り返し用いると
$$ 0<b_n<(\log 2)^{,n-1}b_1 $$
となる。右辺は $n\to\infty$ で $0$ に収束するので,はさみうちの原理より
$$ b_n\to 0 $$
である。
したがって
$$ 2-a_n\to 0 $$
より,
$$ a_n\to 2 $$
である。
解説
この問題の要点は,数列そのものを直接追うのではなく,まず対応する関数
$$ f(x)=(\sqrt{2})^x $$
の性質を見ることである。
特に重要なのは次の2点である。
まず,$0\le x\le 2$ で $f$ が増加するため,$a_n$ が一度区間 $(0,2)$ に入ると,その後もずっと $(0,2)$ にとどまることが分かる。これが (3) の帰納法の核心である。
次に,極限を求めるためには $a_n$ 自体ではなく「$2$ との差」
$$ 2-a_n $$
に注目するのが自然である。平均値の定理を使うと,この差が毎回およそ $\log 2$ 倍以下に縮むことが分かる。しかも $\log 2<1$ なので,差は $0$ に収束し,したがって $a_n$ は $2$ に収束する。
答え
**(1)**
最小値は $1$,最大値は $2$ である。
**(2)**
最小値は
$$ \frac{1}{2}\log 2 $$
最大値は
$$ \log 2 $$
である。
**(3)**
$$ 0<a_n<2\qquad (n=1,2,3,\dots) $$
が成り立つ。
**(4)**
$$ 0<2-a_{n+1}<(\log 2)(2-a_n)\qquad (n=1,2,3,\dots) $$
が成り立つ。
**(5)**
$$ \lim_{n\to\infty}a_n=2 $$
である。