基礎問題集
数学3 極限「数列・極限」の問題52 解説
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解説
方針・初手
漸化式
$$ a_{n+1}=\frac{a_n}{2}+\frac{3}{a_n} $$
は、$\sqrt{6}$ を基準に見ると扱いやすい。実際に $a_{n+1}-\sqrt{6}$ を計算すると平方の形に整理できるので、まずそれを用いて $a_n>\sqrt{6}$ を示す。その後、$a_{n+1}-a_n$ の符号を調べれば単調性が分かり、収束判定と極限値の決定まで一気に進められる。
解法1
(1) まず $a_n>0$ であることに注意する。実際、$a_1=3>0$ であり、$a_n>0$ なら
$$ a_{n+1}=\frac{a_n}{2}+\frac{3}{a_n}>0 $$
であるから、すべての $n$ で $a_n>0$ である。
ここで
$$ a_{n+1}-\sqrt{6} =\frac{a_n}{2}+\frac{3}{a_n}-\sqrt{6} =\frac{a_n^2-2\sqrt{6},a_n+6}{2a_n} =\frac{(a_n-\sqrt{6})^2}{2a_n} $$
となる。
$a_1=3>\sqrt{6}$ である。いま $a_n>\sqrt{6}$ と仮定すると、$a_n>0$ より
$$ a_{n+1}-\sqrt{6} =\frac{(a_n-\sqrt{6})^2}{2a_n}>0 $$
であるから $a_{n+1}>\sqrt{6}$ となる。
よって数学的帰納法により、すべての自然数 $n$ に対して
$$ a_n>\sqrt{6} $$
が成り立つ。
(2) 上で得た式
$$ a_{n+1}-\sqrt{6}=\frac{(a_n-\sqrt{6})^2}{2a_n} $$
を用いる。(1)より $a_n>\sqrt{6}>2$ であるから
$$ 2a_n>4 $$
すなわち
$$ \frac{1}{2a_n}<\frac{1}{4} $$
である。したがって
$$ a_{n+1}-\sqrt{6} =\frac{(a_n-\sqrt{6})^2}{2a_n} <\frac{1}{4}(a_n-\sqrt{6})^2 $$
となり、示すべき不等式が証明された。
(3) 数列の収束・発散を調べるため、差を計算する。
$$ a_{n+1}-a_n =\left(\frac{a_n}{2}+\frac{3}{a_n}\right)-a_n =-\frac{a_n}{2}+\frac{3}{a_n} =\frac{6-a_n^2}{2a_n} $$
(1)より $a_n>\sqrt{6}$ なので $a_n^2>6$ である。したがって
$$ a_{n+1}-a_n<0 $$
となり、${a_n}$ は単調減少である。
また (1)より、すべての $n$ で
$$ a_n>\sqrt{6} $$
であるから、${a_n}$ は下に有界である。
よって ${a_n}$ は単調減少かつ下に有界であるから収束する。
その極限を $\alpha$ とおくと、$\alpha>0$ であり、漸化式の両辺の極限をとって
$$ \alpha=\frac{\alpha}{2}+\frac{3}{\alpha} $$
を得る。これを整理すると
$$ 2\alpha^2=\alpha^2+6 $$
すなわち
$$ \alpha^2=6 $$
となる。しかも $a_n>\sqrt{6}>0$ であるから $\alpha>0$ であり、
$$ \alpha=\sqrt{6} $$
である。
したがって、数列 ${a_n}$ は $\sqrt{6}$ に収束する。
解説
この問題の要点は、漸化式をそのまま眺めるのではなく、$\sqrt{6}$ との差を見ることである。
$$ a_{n+1}-\sqrt{6}=\frac{(a_n-\sqrt{6})^2}{2a_n} $$
と変形できるため、$\sqrt{6}$ がこの数列の平衡点であること、しかもそこからのずれが二乗で小さくなることが分かる。(2)の不等式は、$\sqrt{6}$ にかなり速く近づくことを表している。
収束判定自体は、(1)で下界 $\sqrt{6}$ を得たあとに $a_{n+1}-a_n$ の符号を調べるのが最も素直である。
答え
**(1)**
すべての自然数 $n$ に対して
$$ a_n>\sqrt{6} $$
である。
**(2)**
すべての自然数 $n$ に対して
$$ a_{n+1}-\sqrt{6}<\frac{1}{4}(a_n-\sqrt{6})^2 $$
である。
**(3)**
数列 ${a_n}$ は収束し、その極限は
$$ \lim_{n\to\infty}a_n=\sqrt{6} $$
である。