基礎問題集
数学3 極限「数列・極限」の問題56 解説
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解説
方針・初手
まず
$$ x_{i+1}-x_i=\frac{x_i^2+1}{2}-x_i=\frac{(x_i-1)^2}{2} $$
と変形できることに着目する。これにより,数列の単調性がすぐ分かる。
さらに,極限を調べるときは,不動点
$$ x=\frac{x^2+1}{2} $$
を満たす値を調べるのが基本である。この式の解は $x=1$ のみであるから,収束するなら極限値は $1$ に限られる。
解法1
**(1)**
上で見たように,
$$ x_{i+1}-x_i=\frac{(x_i-1)^2}{2} $$
である。右辺は常に $0$ 以上であるから,
$$ x_{i+1}\geqq x_i $$
がすべての自然数 $i$ に対して成り立つ。よって ${x_i}$ は単調増加である。
**(2)**
$|x_1|\leqq 1$ とする。このときまず $|x_1|\leqq 1$ は成り立っている。
いま,ある $i$ で $|x_i|\leqq 1$ と仮定すると,
$$ 0\leqq x_i^2\leqq 1 $$
であるから,
$$ \frac12\leqq x_{i+1}=\frac{x_i^2+1}{2}\leqq 1 $$
となる。したがって $|x_{i+1}|\leqq 1$ でもある。
よって数学的帰納法により,すべての自然数 $i$ に対して $|x_i|\leqq 1$ が成り立つ。特に
$$ x_i\leqq 1 $$
がすべての自然数 $i$ に対して成り立つ。
**(3)**
(1) で得た式
$$ x_{i+1}-x_i=\frac{(x_i-1)^2}{2} $$
を $i=1,2,\dots,n$ について足し合わせると,
$$ \sum_{i=1}^n (x_{i+1}-x_i)=\frac12\sum_{i=1}^n (x_i-1)^2 $$
となる。左辺は望みどおりに telescoping して,
$$ x_{n+1}-x_1=\frac12\sum_{i=1}^n (x_i-1)^2 $$
を得る。
**(4)**
$|x_1|\leqq 1$ とする。このとき (1),(2) より,
$$ x_1\leqq x_2\leqq \cdots \leqq x_n\leqq 1 $$
である。したがって $1\leqq i\leqq n$ に対して
$$ 1-x_i\geqq 1-x_n\geqq 0 $$
となるから,
$$ (x_i-1)^2=(1-x_i)^2\geqq (1-x_n)^2=(x_n-1)^2 $$
である。
これを (3) に代入すると,
$$ x_{n+1}-x_1 =\frac12\sum_{i=1}^n (x_i-1)^2 \geqq \frac12\sum_{i=1}^n (x_n-1)^2 =\frac n2 (x_n-1)^2 $$
となる。よって示すべき不等式
$$ x_{n+1}-x_1\geqq \frac n2 (x_n-1)^2 $$
が成り立つ。
**(5)**
初項 $x_1$ の値によって場合分けする。
**(i)**
$-1\leqq x_1\leqq 1$ の場合
(1) より ${x_i}$ は単調増加であり,(2) より $x_i\leqq 1$ である。よって ${x_i}$ は上に有界な単調増加数列だから収束する。
その極限を $L$ とすると,漸化式に極限を入れて
$$ L=\frac{L^2+1}{2} $$
を得る。よって
$$ L^2-2L+1=0 $$
すなわち
$$ (L-1)^2=0 $$
であるから,
$$ L=1 $$
である。したがって $-1\leqq x_1\leqq 1$ のとき,${x_i}$ は $1$ に収束する。
**(ii)**
$x_1>1$ の場合
(1) より ${x_i}$ は単調増加である。また $x_1>1$ なので,すべての $i$ に対して $x_i>1$ である。
もしこの数列が上に有界なら,単調増加数列だから収束し,その極限を $L$ とすると再び
$$ L=\frac{L^2+1}{2} $$
より $L=1$ となる。しかし各項は常に $1$ より大きいので,これは矛盾である。したがって上に有界ではない。
よって ${x_i}$ は $+\infty$ に発散する。
**(iii)**
$x_1<-1$ の場合
このとき
$$ x_2=\frac{x_1^2+1}{2}>1 $$
である。したがって第2項以降に対しては (ii) と同様に,${x_i}$ は単調増加で上に有界ではない。ゆえに
$$ x_i\to +\infty $$
である。
以上より,${x_i}$ は
$$ -1\leqq x_1\leqq 1 $$
のときに限って収束し,その極限値は $1$ である。それ以外,すなわち
$$ x_1<-1 \quad \text{または} \quad x_1>1 $$
のときは $+\infty$ に発散する。
解説
この問題の核心は
$$ x_{i+1}-x_i=\frac{(x_i-1)^2}{2} $$
という変形である。これにより,単調増加性と和の形の恒等式 (3) が一気に得られる。
また,収束判定では「単調かつ有界なら収束」「収束するとすれば極限値は不動点である」という標準手法を使う。不動点が $1$ しかないので,収束する場合の極限値は最初から $1$ に絞られる。
初項が $[-1,1]$ の中にあるときは,数列がその区間内に保たれて上から $1$ に押さえられるので収束する。一方で初項がその外にあると,すぐに $1$ より上に出て,以後は増加し続けて有限値には落ち着けない。
答え
**(1)**
$$ x_{i+1}-x_i=\frac{(x_i-1)^2}{2}\geqq 0 $$
より,すべての自然数 $i$ に対して $x_{i+1}\geqq x_i$ である。
**(2)**
$|x_1|\leqq 1$ なら,すべての自然数 $i$ に対して $|x_i|\leqq 1$,特に $x_i\leqq 1$ である。
**(3)**
$$ x_{n+1}-x_1=\frac12\sum_{i=1}^n (x_i-1)^2 $$
が成り立つ。
**(4)**
$|x_1|\leqq 1$ のとき,
$$ x_{n+1}-x_1\geqq \frac n2 (x_n-1)^2 $$
が成り立つ。
**(5)**
$$ -1\leqq x_1\leqq 1 $$
のとき数列 ${x_i}$ は収束し,
$$ \lim_{i\to\infty}x_i=1 $$
である。
一方,
$$ x_1<-1 \quad \text{または} \quad x_1>1 $$
のときは
$$ x_i\to +\infty $$
となり,発散する。