基礎問題集
数学3 極限「数列・極限」の問題59 解説
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解説
方針・初手
まず
$$ g(x)=f(x)-x=\log(x+1)+1-x $$
とおく。方程式 $f(x)=x$ は $g(x)=0$ と同値であるから,$g$ の単調性を調べれば (1) が処理できる。
また,(2) は $\alpha=f(\alpha)$ を用いて
$$ \alpha-f(x)=f(\alpha)-f(x) $$
と変形し,平均値の定理を使えばよい。さらに $f'(x)$ が減少関数であることを使うと (3) の評価につながる。
解法1
(1) 方程式 $f(x)=x$ が $x>0$ でただ1つの解をもつことを示す。
$$ g(x)=\log(x+1)+1-x \qquad (x>-1) $$
とおくと,
$$ g'(x)=\frac{1}{(x+1)\ln 10}-1 $$
である。ここで $x>0$ なら $x+1>1$ であるから
$$ \frac{1}{(x+1)\ln 10}<\frac{1}{\ln 10}<1 $$
となり,
$$ g'(x)<0 \qquad (x>0) $$
である。したがって $g(x)$ は $x>0$ で単調減少である。
一方,
$$ g(0)=\log 1+1=1>0 $$
であり,
$$ g(10)=\log 11+1-10=\log 11-9<2-9<0 $$
である。よって中間値の定理により,$0<x<10$ に $g(x)=0$ を満たす実数が存在する。
さらに $g$ は $x>0$ で単調減少であるから,そのような解はただ1つである。
よって,方程式 $f(x)=x$ は $x>0$ の範囲でただ1つの解をもち,これを $\alpha$ とおける。
**(2)**
$0<x<\alpha$ のとき
$$ 0<\frac{\alpha-f(x)}{\alpha-x}<f'(x) $$
を示す。
$\alpha$ は $f(\alpha)=\alpha$ を満たすから,
$$ \frac{\alpha-f(x)}{\alpha-x} =\frac{f(\alpha)-f(x)}{\alpha-x} $$
である。
ここで $f'(x)$ を調べると,
$$ f'(x)=\frac{1}{(x+1)\ln 10}, \qquad f''(x)=-\frac{1}{(x+1)^2\ln 10}<0 \quad (x>0) $$
より,$f'(x)$ は $x>0$ で正かつ単調減少である。
いま $0<x<\alpha$ なので,平均値の定理により,ある $\xi$ が $x<\xi<\alpha$ を満たして
$$ \frac{f(\alpha)-f(x)}{\alpha-x}=f'(\xi) $$
となる。したがって
$$ \frac{\alpha-f(x)}{\alpha-x}=f'(\xi)>0 $$
である。また,$f'$ は減少関数であり $\xi>x$ であるから
$$ f'(\xi)<f'(x) $$
となる。よって
$$ 0<\frac{\alpha-f(x)}{\alpha-x}<f'(x) $$
が成り立つ。
(3) 数列 ${x_n}$ を
$$ x_1=1,\qquad x_{n+1}=f(x_n)\quad (n=1,2,3,\dots) $$
で定める。このとき
$$ \alpha-x_{n+1}<\frac12(\alpha-x_n) $$
を示す。
まず,$\alpha>1$ であることを示す。実際,
$$ g(1)=f(1)-1=\log 2>0 $$
であり,$g$ は $x>0$ で単調減少であるから,$g(\alpha)=0$ を満たす解 $\alpha$ は
$$ \alpha>1 $$
である。したがって
$$ 0<x_1=1<\alpha $$
である。
ここで,$0<x_n<\alpha$ と仮定する。このとき (2) に $x=x_n$ を代入すると,
$$ 0<\frac{\alpha-f(x_n)}{\alpha-x_n}<f'(x_n) $$
すなわち
$$ 0<\frac{\alpha-x_{n+1}}{\alpha-x_n}<f'(x_n) $$
を得る。よって
$$ \alpha-x_{n+1}<f'(x_n)(\alpha-x_n) $$
である。
さらに $x_n>0$ であるから,
$$ f'(x_n)=\frac{1}{(x_n+1)\ln 10}<\frac{1}{\ln 10}<\frac12 $$
となる。したがって
$$ \alpha-x_{n+1}<\frac12(\alpha-x_n) $$
を得る。
また,左辺が正であることから $\alpha-x_{n+1}>0$,すなわち $x_{n+1}<\alpha$ である。さらに $x_n>0$ なら $x_n+1>1$ なので $\log(x_n+1)>0$ であり,
$$ x_{n+1}=f(x_n)=\log(x_n+1)+1>1>0 $$
である。よって $0<x_{n+1}<\alpha$ も成り立つ。
以上より帰納法によって,すべての自然数 $n$ に対して
$$ \alpha-x_{n+1}<\frac12(\alpha-x_n) $$
が成り立つ。
**(4)**
$\displaystyle \lim_{n\to\infty}x_n=\alpha$ を示す。
(3) より,すべての $n$ に対して
$$ 0<\alpha-x_{n+1}<\frac12(\alpha-x_n) $$
であるから,これを繰り返し用いると
$$ 0<\alpha-x_n<\left(\frac12\right)^{n-1}(\alpha-x_1) =\left(\frac12\right)^{n-1}(\alpha-1) $$
を得る。
右辺は $n\to\infty$ で $0$ に収束するので,はさみうちの原理により
$$ \alpha-x_n\to 0 $$
である。したがって
$$ x_n\to \alpha $$
となる。
解説
この問題の中心は,不動点 $\alpha$ を
$$ f(\alpha)=\alpha $$
で定め,$f(x)-x$ の符号と単調性を使って $\alpha$ の位置を押さえることである。
(2) は平均値の定理を使う典型問題であり,単に式変形するのではなく
$$ \alpha-f(x)=f(\alpha)-f(x) $$
と見抜くことが重要である。さらに $f''(x)<0$ から $f'$ が減少するので,平均変化率を $f'(x)$ で上から抑えられる。
(3) ではその評価を反復的に用いることで,誤差 $\alpha-x_n$ が毎回 $1/2$ 未満に縮むことを示している。したがって (4) は等比級数的な収束評価に帰着される。
答え
**(1)**
方程式 $f(x)=x$ は $x>0$ でただ1つの解をもつ。
**(2)**
$0<x<\alpha$ ならば
$$ 0<\frac{\alpha-f(x)}{\alpha-x}<f'(x) $$
が成り立つ。
**(3)**
すべての自然数 $n$ に対して
$$ \alpha-x_{n+1}<\frac12(\alpha-x_n) $$
が成り立つ。
**(4)**
$$ \lim_{n\to\infty}x_n=\alpha $$
である。