基礎問題集
数学3 積分法「接線・極限との複合」の問題47 解説
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解説
方針・初手
関数
$$ f(x)=\frac{e^x}{1+e^x}
$$
は $e^x>0$ を用いて極限と微分を調べる。特に
$$ f(x)=\frac{1}{1+e^{-x}}
$$
とも書けるので、$x\to\infty$ と $x\to-\infty$ の極限が見やすい。また、面積 $S(t)$ は水平線 $y=\alpha$ と曲線 $y=f(x)$ の差を $x=0$ から $x=t$ まで積分すればよい。
解法1
まず極限を求める。
$$ f(x)=\frac{e^x}{1+e^x}=\frac{1}{1+e^{-x}}
$$
であるから、$x\to\infty$ のとき $e^{-x}\to0$ より
$$ \lim_{x\to\infty}f(x)=1
$$
である。また、$x\to-\infty$ のとき $e^x\to0$ より
$$ \lim_{x\to-\infty}f(x)=0
$$
である。
次に増減と凹凸を調べる。微分すると
$$ f'(x)=\frac{e^x(1+e^x)-e^x\cdot e^x}{(1+e^x)^2} =\frac{e^x}{(1+e^x)^2}
$$
となる。$e^x>0$ かつ $(1+e^x)^2>0$ であるから、すべての実数 $x$ に対して
$$ f'(x)>0
$$
である。したがって、$y=f(x)$ は全区間で単調増加する。
さらに二階微分を求める。
$$ \begin{aligned} f''(x) &=\frac{d}{dx}\left\{e^x(1+e^x)^{-2}\right\} \\ &=e^x(1+e^x)^{-2}-2e^{2x}(1+e^x)^{-3} \\ &=\frac{e^x(1+e^x)-2e^{2x}}{(1+e^x)^3} \\ &=\frac{e^x(1-e^x)}{(1+e^x)^3} \end{aligned}
$$
分母と $e^x$ は常に正であるから、$f''(x)$ の符号は $1-e^x$ の符号で決まる。
**(i)**
$x<0$ のとき、$e^x<1$ より
$$ f''(x)>0
$$
である。したがって、グラフは下に凸である。
**(ii)**
$x=0$ のとき、$e^x=1$ より
$$ f''(0)=0
$$
である。
**(iii)**
$x>0$ のとき、$e^x>1$ より
$$ f''(x)<0
$$
である。したがって、グラフは上に凸である。
よって、$x=0$ で凹凸が変化する。したがって変曲点は
$$ \left(0,f(0)\right)=\left(0,\frac{1}{2}\right)
$$
である。
以上より、グラフは $x\to-\infty$ で $y=0$ に近づき、$x\to\infty$ で $y=1$ に近づく。さらに全体として単調増加し、点 $\left(0,\dfrac12\right)$ を通り、そこで下に凸から上に凸へ変わる。
次に面積 $S(t)$ を求める。すでに
$$ \alpha=\lim_{x\to\infty}f(x)=1
$$
である。$t>0$ において、曲線 $y=f(x)$、直線 $x=0$、$x=t$、$y=1$ で囲まれる図形の面積は
$$ S(t)=\int_0^t {1-f(x)},dx
$$
である。
ここで
$$ 1-f(x)=1-\frac{e^x}{1+e^x} =\frac{1}{1+e^x}
$$
だから、
$$ S(t)=\int_0^t \frac{1}{1+e^x},dx
$$
である。原始関数として
$$ \int \frac{1}{1+e^x},dx =x-\log(1+e^x)+C
$$
を用いると、
$$ \begin{aligned} S(t) &=\left[x-\log(1+e^x)\right]_0^t \\ &=t-\log(1+e^t)-{0-\log2} \\ &=t-\log(1+e^t)+\log2 \end{aligned}
$$
となる。したがって
$$ S(t)=\log2+t-\log(1+e^t)
$$
である。
最後に $t\to\infty$ の極限を求める。式を変形すると
$$ \begin{aligned} S(t) &=\log2+t-\log(1+e^t) \\ &=\log2+t-\log{e^t(1+e^{-t})} \\ &=\log2+t-{t+\log(1+e^{-t})} \\ &=\log2-\log(1+e^{-t}) \end{aligned}
$$
である。$t\to\infty$ のとき $e^{-t}\to0$ だから、
$$ \lim_{t\to\infty}S(t)=\log2-\log1=\log2
$$
である。
解説
この問題の中心は、ロジスティック型の関数
$$ \frac{e^x}{1+e^x}
$$
を、極限では
$$ \frac{1}{1+e^{-x}}
$$
と見直し、微分では商の微分で処理する点である。
増減は $f'(x)$ の符号だけで決まり、今回は $f'(x)>0$ が全実数で成り立つので単調増加である。凹凸は $f''(x)$ の符号で調べ、$x=0$ を境に符号が変わるため、変曲点は $\left(0,\dfrac12\right)$ となる。
面積では、上側が水平線 $y=\alpha=1$、下側が曲線 $y=f(x)$ であることを確認してから
$$ S(t)=\int_0^t {1-f(x)},dx
$$
と立式することが重要である。面積を求める段階で $\alpha$ を $1$ と確定しておかないと、積分の上下関係を誤りやすい。
答え
**(1)**
$$ \lim_{x\to\infty}f(x)=1,\qquad \lim_{x\to-\infty}f(x)=0
$$
**(2)**
$y=f(x)$ は全実数で単調増加する。
$$ f'(x)=\frac{e^x}{(1+e^x)^2}>0
$$
また、
$$ f''(x)=\frac{e^x(1-e^x)}{(1+e^x)^3}
$$
より、$x<0$ で下に凸、$x>0$ で上に凸である。変曲点は
$$ \left(0,\frac12\right)
$$
である。グラフは $y=0$ と $y=1$ を水平漸近線にもつ単調増加曲線である。
**(3)**
$$ \alpha=1
$$
であり、
$$ S(t)=\log2+t-\log(1+e^t)
$$
**(4)**
$$ \lim_{t\to\infty}S(t)=\log2
$$