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数学3 積分法「接線・極限との複合」の問題53 解説

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数学3積分法接線・極限との複合問題53
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数学3 積分法 接線・極限との複合 問題53の問題画像
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解説

方針・初手

法線そのものを求めるだけでなく、「その法線を軸として直線 $x=t$ を対称移動する」ことに注意する。したがって、まず直線 $x=t$ の方向ベクトルを法線方向に関して反射し、得られる直線 $\ell$ の傾きを求める。

その後、$g(x)$ を双曲線関数の形で見れば、$\ell$ が $y=g(x)$ の接線であることが自然に見える。

解法1

$f(x)=e^x$ より、曲線 $y=f(x)$ の点 $(t,e^t)$ における接線の傾きは $e^t$ である。したがって、法線の傾きは

$$ -e^{-t}

$$

である。

法線の方向ベクトルとして

$$ \boldsymbol{n}=(1,-e^{-t})

$$

をとる。直線 $x=t$ の方向ベクトルは

$$ \boldsymbol{v}=(0,1)

$$

である。

$\boldsymbol{v}$ を方向 $\boldsymbol{n}$ に関して反射したベクトルを求める。$a=e^{-t}$ とおくと、$\boldsymbol{n}=(1,-a)$ であるから、反射後の方向ベクトルは

$$ \begin{aligned} 2\frac{\boldsymbol{v}\cdot \boldsymbol{n}}{\boldsymbol{n}\cdot \boldsymbol{n}}\boldsymbol{n}-\boldsymbol{v} &= 2\frac{-a}{1+a^2}(1,-a)-(0,1) \end{aligned} $$

である。よって

$$ \left(-\frac{2a}{1+a^2},\frac{a^2-1}{1+a^2}\right)

$$

を方向ベクトルにもつ。

したがって、反射後の直線 $\ell$ の傾きは

$$ \begin{aligned} \frac{\dfrac{a^2-1}{1+a^2}}{-\dfrac{2a}{1+a^2}} &= \frac{1-a^2}{2a} \end{aligned} $$

である。ここで $a=e^{-t}$ より、

$$ \begin{aligned} \frac{1-e^{-2t}}{2e^{-t}} &= \frac{e^t-e^{-t}}{2} \end{aligned} $$

である。したがって、$\ell$ の傾きは

$$ \sinh t=\frac{e^t-e^{-t}}{2}

$$

である。

また、直線 $x=t$ は点 $(t,e^t)$ を通り、反射の軸である法線もこの点を通るので、反射後の直線 $\ell$ も点 $(t,e^t)$ を通る。よって

$$ \ell:\ y-e^t=\frac{e^t-e^{-t}}{2}(x-t)

$$

である。

次に、

$$ g(x)=\frac{e^{x+1}+e^{-x-1}}{2}

$$

であるから、

$$ g(x)=\cosh(x+1)

$$

と書ける。したがって

$$ g'(x)=\sinh(x+1)

$$

である。

$x=t-1$ における $g(x)$ の値と微分係数は

$$ g(t-1)=\cosh t,\qquad g'(t-1)=\sinh t

$$

である。したがって、曲線 $y=g(x)$ の $x=t-1$ における接線は

$$ y-\cosh t=\sinh t{x-(t-1)}

$$

である。

これを変形すると、

$$ \begin{aligned} y &=\cosh t+\sinh t(x-t+1)\\ &=(\cosh t+\sinh t)+\sinh t(x-t)\\ &=e^t+\sinh t(x-t) \end{aligned}

$$

となる。これは先ほど求めた $\ell$ の方程式と一致する。したがって、$\ell$ は曲線 $y=g(x)$ に接し、その接点の $x$ 座標は

$$ t-1

$$

である。

次に、接点を $P$ とする。$P$ の $x$ 座標は $t-1$ であるから、$P$ を通り $y$ 軸に平行な直線は

$$ x=t-1

$$

である。

$\ell$ と $y=f(x)$ は点 $(t,e^t)$ を共有するので、求める面積 $S(t)$ は、区間 $t-1\leq x\leq t$ において、直線 $\ell$ と曲線 $y=e^x$ に挟まれた部分の面積である。

この区間で

$$ \ell(x)=e^t+\sinh t(x-t)

$$

である。よって

$$ S(t)=\int_{t-1}^{t}{\ell(x)-e^x},dx

$$

である。

実際、$u=t-x$ とおくと $0\leq u\leq 1$ であり、

$$ \begin{aligned} \ell(x)-e^x &= e^t-u\sinh t-e^{t-u} \end{aligned} $$

となる。さらに

$$ \begin{aligned} e^t-u\sinh t-e^{t-u} &= e^t\left(1-e^{-u}-\frac{u}{2}\right)+\frac{u}{2}e^{-t} \end{aligned} $$

である。$0\leq u\leq 1$ において

$$ 1-e^{-u}-\frac{u}{2}\geq 0

$$

であるから、$\ell(x)\geq e^x$ である。したがって上の積分で面積を表せる。

計算すると、

$$ \begin{aligned} S(t) &=\int_{t-1}^{t}\left\{e^t+\sinh t(x-t)-e^x\right\},dx\\ &=e^t+\sinh t\int_{t-1}^{t}(x-t),dx-\left(e^t-e^{t-1}\right)\\ &=e^t-\frac{1}{2}\sinh t-e^t+e^{t-1}\\ &=e^{t-1}-\frac{1}{2}\sinh t \end{aligned}

$$

となる。ここで

$$ \sinh t=\frac{e^t-e^{-t}}{2}

$$

より、

$$ \begin{aligned} S(t) &=e^{t-1}-\frac{1}{4}(e^t-e^{-t})\\ &=\left(\frac{1}{e}-\frac{1}{4}\right)e^t+\frac{1}{4}e^{-t} \end{aligned}

$$

である。

ここで

$$ \frac{1}{e}-\frac{1}{4}>0

$$

であるから、相加平均・相乗平均の関係より

$$ \begin{aligned} S(t) &=\left(\frac{1}{e}-\frac{1}{4}\right)e^t+\frac{1}{4}e^{-t}\\ &\geq 2\sqrt{\left(\frac{1}{e}-\frac{1}{4}\right)e^t\cdot \frac{1}{4}e^{-t}}\\ &=2\sqrt{\frac{1}{4}\left(\frac{1}{e}-\frac{1}{4}\right)}\\ &=\sqrt{\frac{1}{e}-\frac{1}{4}} \end{aligned}

$$

となる。

等号成立条件は

$$ \left(\frac{1}{e}-\frac{1}{4}\right)e^t=\frac{1}{4}e^{-t}

$$

であり、これは

$$ e^{2t}=\frac{e}{4-e}

$$

を満たす $t$ に対して成り立つ。したがって、$S(t)$ の最小値は

$$ \begin{aligned} \sqrt{\frac{1}{e}-\frac{1}{4}} &= \sqrt{\frac{4-e}{4e}} \end{aligned} $$

である。

解説

この問題の要点は、「法線を求める問題」ではなく、「法線を軸として直線 $x=t$ を反射する問題」である点にある。直線の反射では、点ではなく方向ベクトルを反射して傾きを求めるのが安全である。

また、$g(x)$ は

$$ g(x)=\cosh(x+1)

$$

と見れば、導関数が

$$ g'(x)=\sinh(x+1)

$$

となる。$\ell$ の傾きが $\sinh t$ であることから、接点の $x$ 座標が $t-1$ になることがすぐに分かる。

面積では、囲まれる区間が $t-1\leq x\leq t$ であることを正しく押さえる必要がある。あとは直線 $\ell$ と $y=e^x$ の差を積分し、得られた $S(t)$ を $Ae^t+Be^{-t}$ の形に直して最小値を求めればよい。

答え

**(1)**

$$ \ell:\ y-e^t=\frac{e^t-e^{-t}}{2}(x-t)

$$

**(2)**

$\ell$ は曲線 $y=g(x)$ に接し、その接点の $x$ 座標は

$$ t-1

$$

である。

**(3)**

$$ S(t)=\left(\frac{1}{e}-\frac{1}{4}\right)e^t+\frac{1}{4}e^{-t}

$$

であり、最小値は

$$ \sqrt{\frac{4-e}{4e}}

$$

である。

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