基礎問題集
数学3 積分法「その他応用」の問題16 解説
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解説
方針・初手
水量の時間変化は
$$ \frac{dV}{dt}=\text{流入の速さ}-\text{流出の速さ}
$$
で表せる。
したがって、各場合で流入・流出をそのまま式に落とし、1階線形微分方程式として解けばよい。 (1) は変数分離形、(2) は定数係数1階線形微分方程式である。 (3) は (2) で得た解をそのまま用いればよい。
解法1
**(1)**
排水の速さが $aV(t)$ であるから、水量の減少は
$$ \frac{dV}{dt}=-aV
$$
で表される。初期条件は
$$ V(0)=V_0
$$
である。
これは変数分離形であるから、
$$ \frac{dV}{V}=-a,dt
$$
となる。両辺を積分して
$$ \log V=-at+C
$$
を得る。よって
$$ V=Ce^{-at}
$$
と書ける。初期条件 $V(0)=V_0$ を用いると $C=V_0$ であるから、
$$ V(t)=V_0e^{-at}
$$
となる。
---
**(2)**
給水の速さは $b(P-V(t))$、排水の速さは $aV(t)$ であるから、水量の変化は
$$ \frac{dV}{dt}=b(P-V)-aV
$$
すなわち
$$ \frac{dV}{dt}=bP-(a+b)V
$$
である。初期条件は
$$ V(0)=0
$$
である。
したがって、
$$ \frac{dV}{dt}+(a+b)V=bP
$$
を解けばよい。
定数解を $V=C$ として求めると、
$$ (a+b)C=bP
$$
より
$$ C=\frac{bP}{a+b}
$$
である。そこで
$$ V=\frac{bP}{a+b}+u
$$
とおくと、$u$ は
$$ \frac{du}{dt}+(a+b)u=0
$$
を満たす。よって
$$ u=Ke^{-(a+b)t}
$$
であるから、
$$ V(t)=\frac{bP}{a+b}+Ke^{-(a+b)t}
$$
となる。初期条件 $V(0)=0$ を代入すると
$$ 0=\frac{bP}{a+b}+K
$$
より
$$ K=-\frac{bP}{a+b}
$$
である。したがって、
$$ V(t)=\frac{bP}{a+b}\left(1-e^{-(a+b)t}\right)
$$
を得る。
---
**(3)**
(2) の結果より、
$$ V(t)=\frac{bP}{a+b}\left(1-e^{-(a+b)t}\right)
$$
であるから、
$$ Q=\lim_{t\to\infty}V(t)=\frac{bP}{a+b}
$$
となる。
次に、水量が $\dfrac{Q}{2}$ になる時刻 $t_{1/2}$ を求める。
$$ V(t_{1/2})=\frac{Q}{2}
$$
より、
$$ \begin{aligned} \frac{bP}{a+b}\left(1-e^{-(a+b)t_{1/2}}\right) &= \frac{1}{2}\cdot \frac{bP}{a+b} \end{aligned} $$
である。$\dfrac{bP}{a+b}>0$ なので両辺をこれで割ると、
$$ 1-e^{-(a+b)t_{1/2}}=\frac{1}{2}
$$
すなわち
$$ e^{-(a+b)t_{1/2}}=\frac{1}{2}
$$
となる。よって、
$$ -(a+b)t_{1/2}=\log \frac{1}{2}=-\log 2
$$
であるから、
$$ t_{1/2}=\frac{\log 2}{a+b}
$$
を得る。
解説
この問題の本質は、水槽内の水量変化を「流入量−流出量」で微分方程式に直すことである。
(1) は水量そのものに比例して減少するので指数関数的減衰になり、(2) では給水が一定ではなく $P-V$ に比例して弱まるため、最終的にある一定値へ近づく形になる。
(3) の $Q$ は平衡状態の水量であり、実際に (2) の微分方程式で $\dfrac{dV}{dt}=0$ とおくと
$$ bP-(a+b)V=0
$$
から
$$ V=\frac{bP}{a+b}
$$
となって、極限値と一致する。 また、$\dfrac{Q}{2}$ に達する時刻が対数で表れるのは、解が指数関数型であるためである。
答え
**(1)**
微分方程式は
$$ \frac{dV}{dt}=-aV,\qquad V(0)=V_0
$$
であり、その解は
$$ V(t)=V_0e^{-at}
$$
である。
**(2)**
微分方程式は
$$ \frac{dV}{dt}=b(P-V)-aV=bP-(a+b)V,\qquad V(0)=0
$$
であり、その解は
$$ V(t)=\frac{bP}{a+b}\left(1-e^{-(a+b)t}\right)
$$
である。
**(3)**
$$ Q=\lim_{t\to\infty}V(t)=\frac{bP}{a+b}
$$
であり、水量が $\dfrac{Q}{2}$ になる時刻は
$$ t_{1/2}=\frac{\log 2}{a+b}
$$
である。