基礎問題集
数学3 積分法「体積」の問題129 解説
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解説
方針・初手
正八面体 $T$ は
$$ |x|+|y|+|z|\le 1
$$
で表される。まず,辺の中点までの距離から球 $S$ の半径を求め,$T$ と $S$ の体積を出す。
そのうえで
$$ a+b=\operatorname{Vol}(T),\qquad a+c=\operatorname{Vol}(S)
$$
を用いて,$b$ と $c$,さらに $a,b,c$ の大小を比較する。
解法1
正八面体 $T$ の 1 つの辺として,たとえば $(1,0,0)$ と $(0,1,0)$ を結ぶ辺を考える。その中点は
$$ \left(\frac12,\frac12,0\right)
$$
であるから,球 $S$ の半径 $r$ は
$$ r=\sqrt{\left(\frac12\right)^2+\left(\frac12\right)^2}=\frac{1}{\sqrt2}
$$
である。
したがって
$$ S:\ x^2+y^2+z^2\le \frac12
$$
である。
(1) $b$ と $c$ の比較
正八面体 $T$ は,8 個の合同な四面体
$$ x\ge 0,\ y\ge 0,\ z\ge 0,\ x+y+z\le 1
$$
に分けられる。1 個の体積は $\dfrac16$ なので,
$$ \operatorname{Vol}(T)=8\cdot \frac16=\frac43
$$
である。
一方,球 $S$ の体積は
$$ \operatorname{Vol}(S)=\frac43\pi\left(\frac{1}{\sqrt2}\right)^3 =\frac{2\pi}{3\sqrt2}
$$
である。
ここで
$$ a+b=\operatorname{Vol}(T),\qquad a+c=\operatorname{Vol}(S)
$$
より,
$$ c-b=\operatorname{Vol}(S)-\operatorname{Vol}(T) =\frac{2\pi}{3\sqrt2}-\frac43
$$
となる。
さらに
$$ \frac{2\pi}{3\sqrt2}-\frac43>0 \iff \pi>2\sqrt2
$$
であり,$\pi>2\sqrt2$ は成り立つ。よって
$$ c>b
$$
である。
(2) $a,b,c$ の大小比較
原点から $T$ の各面までの距離は,たとえば面 $x+y+z=1$ までの距離を考えれば
$$ \frac{1}{\sqrt{1^2+1^2+1^2}}=\frac{1}{\sqrt3}
$$
である。したがって,原点中心・半径 $\dfrac1{\sqrt3}$ の球は $T$ に内接する。
しかも
$$ \frac1{\sqrt3}<\frac1{\sqrt2}
$$
であるから,この内接球は $S$ にも含まれる。よってこの内接球は $A$ に含まれるので,
$$ a>\frac43\pi\left(\frac1{\sqrt3}\right)^3 =\frac{4\pi}{9\sqrt3}
$$
である。
まず,$a$ と $b$ を比べる。
$$ \frac{4\pi}{9\sqrt3}>\frac23 \iff 2\pi>3\sqrt3
$$
であり,$2\pi>3\sqrt3$ は成り立つから,
$$ a>\frac23
$$
となる。ところが
$$ a+b=\frac43
$$
であるから,$a>\dfrac23$ より
$$ a>b
$$
である。
次に,$a$ と $c$ を比べる。
$$ \frac{4\pi}{9\sqrt3}>\frac{1}{2}\operatorname{Vol}(S) =\frac{\pi}{3\sqrt2}
$$
は
$$ \frac{4}{9\sqrt3}>\frac{1}{3\sqrt2} \iff 4\sqrt2>3\sqrt3
$$
に同値であり,これは成り立つ。よって
$$ a>\frac12\operatorname{Vol}(S)
$$
である。
しかも
$$ a+c=\operatorname{Vol}(S)
$$
であるから,
$$ a>c
$$
となる。
以上より
$$ a>c>b
$$
である。
解説
この問題では,$a,b,c$ を直接積分で求める必要はない。
重要なのは,
$$ a+b=\operatorname{Vol}(T),\qquad a+c=\operatorname{Vol}(S)
$$
という関係と,$T$ の内接球がそのまま $A$ の中に入ることに気づくことである。
(1) では全体の体積差を見るだけで $c>b$ が分かる。 (2) では $A$ の中に確実に入る球を使って $a$ の下限を作れば,$a>b,\ a>c$ が順に従う。
答え
**(1)**
$$ c>b
$$
**(2)**
大きい順に並べると
$$ a>c>b
$$
である。