基礎問題集
数学3 積分法「定積分・面積」の問題14 解説
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解説
方針・初手
部分和を
$$ S_n=\log(1+x)+\log(1+x^2)+\cdots+\log(1+x^{2^n})
$$
とおく。対数の和は積の対数に直せるので,
$$ (1-x)(1+x)(1+x^2)\cdots(1+x^{2^n})
$$
の形をまとめればよい。これは差の平方の繰り返しで整理できる。
解法1
部分和 $S_n$ を考えると,
$$ S_n=\log{(1+x)(1+x^2)\cdots(1+x^{2^n})}
$$
である。
ここで
$$ (1-x)(1+x)=1-x^2,
$$
さらに
$$ (1-x^2)(1+x^2)=1-x^4,
$$
というように順に掛けていくと,
$$ (1-x)(1+x)(1+x^2)\cdots(1+x^{2^n})=1-x^{2^{n+1}}
$$
となる。したがって $x\ne 1$ で
$$ (1+x)(1+x^2)\cdots(1+x^{2^n}) =\frac{1-x^{2^{n+1}}}{1-x}
$$
であるから,
$$ S_n=\log\frac{1-x^{2^{n+1}}}{1-x}
$$
を得る。
(1) 収束する $x$ の範囲
まず,各項が定義されるためには特に最初の項 $\log(1+x)$ が必要なので,
$$ 1+x>0
$$
すなわち
$$ x>-1
$$
でなければならない。
次に,$-1<x<1$ なら $|x|<1$ だから
$$ x^{2^{n+1}}\to 0 \qquad (n\to\infty)
$$
となる。よって
$$ S_n\to \log\frac{1}{1-x}=-\log(1-x)
$$
であり,級数は収束する。
一方,$x=1$ では
$$ S_n=(n+1)\log 2
$$
となって発散する。
また,$x>1$ では一般項 $\log(1+x^{2^n})$ が $0$ に近づかないので,級数は収束しない。
さらに $x\le -1$ では $\log(1+x)$ が定義されない。
したがって,収束する範囲は
$$ -1<x<1
$$
である。
このとき和は
$$ f(x)=\lim_{n\to\infty}S_n=-\log(1-x)
$$
となる。
(2) $y=f(x)$ のグラフ
(1) より
$$ y=f(x)=-\log(1-x)\qquad (-1<x<1)
$$
である。したがって,グラフは対数関数 $y=-\log(1-x)$ の $-1<x<1$ における部分である。
特徴を挙げると,
- $x=0$ のとき $y=0$ なので,原点 $(0,0)$ を通る。
- $x\to -1+0$ のとき
$$ y\to -\log 2
$$
となるので,左端では点 $(-1,-\log 2)$ に近づくが,$x=-1$ は定義域に含まれない。
- $x\to 1-0$ のとき
$$ y\to +\infty
$$
となるので,直線 $x=1$ が鉛直漸近線である。
- $-1<x<1$ で単調増加する。
よって,$(-1,-\log 2)$ に近い位置から始まり,$(0,0)$ を通って,$x=1$ に近づくにつれて上へ発散する右上がりの曲線である。
(3) $f'(x)$ の不定積分
不定積分は,もとの関数 $f(x)$ に積分定数を加えたものであるから,
$$ \int f'(x),dx=f(x)+C
$$
である。(1) の範囲では
$$ f(x)=-\log(1-x)
$$
だから,
$$ \int f'(x),dx=-\log(1-x)+C
$$
となる。
解説
この問題の要点は,対数の和を積に直し,
$$ (1-x)(1+x)(1+x^2)\cdots(1+x^{2^n})=1-x^{2^{n+1}}
$$
という積の整理を見抜くことである。これにより部分和が明示でき,収束範囲も和の式も同時に求まる。
特に,収束判定では「一般項が $0$ に近づくかどうか」と「そもそも対数が定義されるかどうか」の両方を確認する必要がある。
答え
**(1)**
この無限級数が収束するのは
$$ -1<x<1
$$
である。
**(2)**
その範囲で
$$ y=f(x)=-\log(1-x)\qquad (-1<x<1)
$$
であり,$(0,0)$ を通り,$x\to -1+0$ で $y\to -\log 2$,$x\to 1-0$ で $y\to +\infty$ となる増加曲線である。
**(3)**
$$ \int f'(x),dx=-\log(1-x)+C
$$
である。