基礎問題集
数学3 積分法「定積分・面積」の問題16 解説
数学3の積分法「定積分・面積」にある問題16の基礎問題と解説ページです。問題と保存済み解説を公開し、ログイン後はAI質問と学習履歴も利用できます。
MathGrAIl の基礎問題集にある公開問題ページです。ログイン前でも問題と保存済み解説を確認でき、ログイン後はAI質問と学習履歴の保存を利用できます。
- 基礎問題の問題画像と保存済み解説を公開
- ログイン後にAI質問で復習
- ログイン後に学習履歴を保存
解説
方針・初手
(1) は、積分
$$ I=\int_{-2}^{2}\frac{f(x)}{1+e^{-x}},dx
$$
に対して $x\mapsto -x$ の置換を行うのが初手である。すると分母が $1+e^{-x}$ から $1+e^x$ に変わり、しかも $f(x)=f(-x)$ を使えるので、元の式と足し合わせると大きく簡単になる。
(2) は $f(x)=x\sin x$ が偶関数であることに着目する。すると (1) と同じ考え方がそのまま使え、あとは通常の積分計算になる。
解法1
**(1)**
$$ I=\int_{-2}^{2}\frac{f(x)}{1+e^{-x}},dx
$$
とおく。
ここで $x=-t$ とおくと $dx=-dt$ であり、積分区間は $x=-2\to t=2,\ x=2\to t=-2$ となるから、
$$ \begin{aligned} I &=\int_{2}^{-2}\frac{f(-t)}{1+e^t}(-dt) \\ &=\int_{-2}^{2}\frac{f(-t)}{1+e^t},dt. \end{aligned}
$$
仮定 $f(-t)=f(t)$ より、
$$ I=\int_{-2}^{2}\frac{f(t)}{1+e^t},dt.
$$
積分変数はダミーなので、これを
$$ I=\int_{-2}^{2}\frac{f(x)}{1+e^x},dx
$$
と書いてよい。
したがって、2つの表示を足し合わせると、
$$ \begin{aligned} 2I &=\int_{-2}^{2}f(x)\left(\frac{1}{1+e^{-x}}+\frac{1}{1+e^x}\right),dx. \end{aligned}
$$
ここで
$$ \frac{1}{1+e^{-x}}+\frac{1}{1+e^x} =\frac{e^x}{1+e^x}+\frac{1}{1+e^x} =1
$$
であるから、
$$ 2I=\int_{-2}^{2}f(x),dx.
$$
さらに $f(x)$ は偶関数なので、
$$ \int_{-2}^{2}f(x),dx=2\int_{0}^{2}f(x),dx.
$$
よって、
$$ 2I=2\int_{0}^{2}f(x),dx
$$
すなわち
$$ \int_{-2}^{2}\frac{f(x)}{1+e^{-x}},dx=\int_{0}^{2}f(x),dx.
$$
これで示された。
**(2)**
被積分関数の分子にある
$$ f(x)=x\sin x
$$
について調べると、
$$ f(-x)=(-x)\sin(-x)=x\sin x=f(x)
$$
となるので、$f(x)=x\sin x$ は偶関数である。
したがって、(1) と全く同じ議論により、上端を $2$ から $\dfrac{\pi}{2}$ に替えれば、
$$ \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}\frac{x\sin x}{1+e^{-x}},dx =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}x\sin x,dx
$$
である。
あとは右辺を計算すればよい。部分積分を用いると、
$$ \int x\sin x,dx=-x\cos x+\sin x
$$
だから、
$$ \begin{aligned} \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}x\sin x,dx &=\left[-x\cos x+\sin x\right]_{0}^{\frac{\pi}{2}} \\ &=\left(-\frac{\pi}{2}\cos\frac{\pi}{2}+\sin\frac{\pi}{2}\right)-\left(0+\sin0\right) \\ &=1. \end{aligned}
$$
よって、
$$ \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}\frac{x\sin x}{1+e^{-x}},dx=1.
$$
解説
この問題の核心は、対称区間 $[-a,a]$ 上で偶関数を積分するときに、$x\mapsto -x$ の置換が非常に有効である点にある。
特に
$$ \frac{1}{1+e^{-x}}+\frac{1}{1+e^x}=1
$$
という関係が決定的であり、偶関数 $f(x)$ と組み合わせることで重み付き積分が普通の積分に変わる。
(2) では、最初に $x\sin x$ が偶関数であることを見抜けるかが重要である。ここを見落とすと、指数関数を含む複雑な積分を無理に直接計算しようとして遠回りになる。
答え
**(1)**
$$ \int_{-2}^{2}\frac{f(x)}{1+e^{-x}},dx=\int_{0}^{2}f(x),dx
$$
**(2)**
$$ \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}\frac{x\sin x}{1+e^{-x}},dx=1
$$