基礎問題集
数学3 積分法「定積分・面積」の問題72 解説
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解説
方針・初手
円 $C$ の中心を $O$,円板 $D$ の中心を $Q$ とする。 点 $P$ の軌跡は,半径 $10$ の円の内側を半径 $3$ の円が滑らずに転がるときの内サイクロイドである。
まず,円板 $D$ の中心 $Q$ の位置と,円板の回転角を用いて点 $P$ の座標を媒介変数表示する。 そのうえで,
- 点 $P$ が再び円 $C$ の円周に来る時刻
- その間にできる曲線と円弧で囲まれる部分の面積
を求めればよい。
解法1
最初に,点 $P$ が円 $C$ に接している点を $A$ とし,$OA$ を $x$ 軸の正の向きにとる。
時刻に対応する媒介変数を $\theta$ とし,$\angle AOQ=\theta$ とする。 円板 $D$ の中心 $Q$ は半径 $10-3=7$ の円上を動くから,
$$ Q=(7\cos\theta,\ 7\sin\theta)
$$
である。
点 $P$ の媒介変数表示
円板 $D$ は滑らずに転がるので,円 $C$ の円周上で進んだ長さと,円板 $D$ の円周上で回転した長さは等しい。
円 $C$ 側で進んだ弧の長さは
$$ 10\theta
$$
である。 したがって,円板 $D$ は中心角
$$ \frac{10\theta}{3}
$$
だけ回転する。
このとき,接点は常に $OQ$ の延長上にあるから,ベクトル $\overrightarrow{QP}$ の向きは,初期位置から見て
$$ \theta-\frac{10\theta}{3}=-\frac{7\theta}{3}
$$
となる。よって,
$$ \begin{aligned} \overrightarrow{QP} &= \left(3\cos\frac{7\theta}{3},\ -3\sin\frac{7\theta}{3}\right) \end{aligned} $$
である。
したがって,点 $P$ の座標は
$$ \begin{aligned} x&=7\cos\theta+3\cos\frac{7\theta}{3},\\ y&=7\sin\theta-3\sin\frac{7\theta}{3} \end{aligned}
$$
となる。
点 $P$ が再び円 $C$ の円周に来るとき
点 $P$ が円 $C$ の円周上にある条件は
$$ x^2+y^2=10^2
$$
である。上の式を代入すると,
$$ \begin{aligned} x^2+y^2 &=49+9+42\left(\cos\theta\cos\frac{7\theta}{3}-\sin\theta\sin\frac{7\theta}{3}\right)\\ &=58+42\cos\frac{10\theta}{3} \end{aligned}
$$
となる。したがって,
$$ 58+42\cos\frac{10\theta}{3}=100
$$
より,
$$ \cos\frac{10\theta}{3}=1
$$
である。最初の $\theta=0$ を除く最小の正の解は
$$ \frac{10\theta}{3}=2\pi \quad\Rightarrow\quad \theta=\frac{3\pi}{5}
$$
である。
よって,点 $P$ は $\theta=0$ で $A$ にあり,$\theta=\dfrac{3\pi}{5}$ で再び円 $C$ の円周上の点 $B$ に達する。 この間,軌跡は円 $C$ の内部にあり,円弧 $AB$ と合わせて円 $C$ を 2 つに分ける。
曲線 $AB$ と半径 $OA,OB$ で囲まれる部分の面積
媒介変数表示された曲線に対して,原点 $O$ と曲線とで囲まれる面積は
$$ \frac12\int (x,dy-y,dx)
$$
で与えられる。したがって,
$$ S_0=\frac12\int_0^{3\pi/5}\left(x\frac{dy}{d\theta}-y\frac{dx}{d\theta}\right)d\theta
$$
である。
ここで,
$$ \begin{aligned} \frac{dx}{d\theta}&=-7\sin\theta-7\sin\frac{7\theta}{3},\\ \frac{dy}{d\theta}&=7\cos\theta-7\cos\frac{7\theta}{3} \end{aligned}
$$
だから,
$$ \begin{aligned} x\frac{dy}{d\theta}-y\frac{dx}{d\theta} &=28-28\cos\frac{10\theta}{3}\\ &=56\sin^2\frac{5\theta}{3} \end{aligned}
$$
となる。よって,
$$ \begin{aligned} S_0 &=\frac12\int_0^{3\pi/5}56\sin^2\frac{5\theta}{3},d\theta\\ &=28\int_0^{3\pi/5}\sin^2\frac{5\theta}{3},d\theta \end{aligned}
$$
ここで
$$ u=\frac{5\theta}{3}
$$
とおくと,
$$ d\theta=\frac35,du
$$
であり,$\theta=0$ のとき $u=0$,$\theta=\dfrac{3\pi}{5}$ のとき $u=\pi$ だから,
$$ \begin{aligned} S_0 &=28\cdot\frac35\int_0^\pi \sin^2u,du\\ &=\frac{84}{5}\cdot\frac{\pi}{2}\\ &=\frac{42\pi}{5} \end{aligned}
$$
となる。
求める 2 つの部分の面積
扇形 $AOB$ の中心角は
$$ \frac{3\pi}{5}
$$
だから,その面積は
$$ \frac12\cdot 10^2\cdot \frac{3\pi}{5}=30\pi
$$
である。
したがって,円弧 $AB$ と軌跡で囲まれる小さい方の部分の面積は
$$ 30\pi-\frac{42\pi}{5} =\frac{108\pi}{5}
$$
である。
円 $C$ 全体の面積は
$$ 100\pi
$$
だから,大きい方の部分の面積は
$$ 100\pi-\frac{108\pi}{5} =\frac{392\pi}{5}
$$
である。
解説
この問題の要点は,点 $P$ の軌跡そのものを直接追うのではなく,
- 円板 $D$ の中心 $Q$ の運動
- 滑らない条件から決まる円板の回転角
を分けて考えることである。
半径が $10$ と $3$ なので,中心 $Q$ は半径 $7$ の円を動く。さらに,滑らない条件から回転角は $\dfrac{10\theta}{3}$ と決まる。これにより,点 $P$ の座標が自然に書ける。
面積は,扇形の面積から「曲線と半径で囲まれる部分」を引くのが最も整理しやすい。 この後者は,媒介変数表示された曲線の面積公式を使うと計算が一直線になる。
答え
小さい方の部分の面積は
$$ \frac{108\pi}{5}
$$
大きい方の部分の面積は
$$ \frac{392\pi}{5}
$$
である。