基礎問題集
数学3 積分法「定積分・面積」の問題80 解説
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解説
方針・初手
区間 $[a,b]$ 上では $(x-a)(b-x)\geqq 0$ であるから,絶対値は実質的に不要である。まず $t=b-a$ とおき,$y=x-a$ と変数変換して積分を $t$ だけの式に直す。
その後,(2) の不等式を $x=y(t-y)$ に適用し,$S(t)$ を上下から評価する。
解法1
$t=b-a$ とおく。$a<b$ より $t>0$ である。
**(1)**
$x\in[a,b]$ では
$$ x-a\geqq 0,\qquad b-x\geqq 0
$$
であるから,
$$ 1+(x-a)(b-x)\geqq 1>0
$$
となり,
$$ f(x)=\log{1+(x-a)(b-x)}
$$
である。
ここで
$$ y=x-a
$$
とおくと,$x=a$ のとき $y=0$,$x=b$ のとき $y=b-a=t$ であり,また
$$ b-x=b-(a+y)=t-y
$$
である。したがって
$$ \begin{aligned} \int_a^b f(x),dx &= \int_0^t \log{1+y(t-y)},dy \end{aligned} $$
となる。
右辺は $a,b$ を直接含まず,$t=b-a$ のみによって決まる。よって,$a,b$ が変化しても $t$ が一定ならば,積分
$$ \int_a^b f(x),dx
$$
の値は一定である。
**(2)**
まず右側の不等式を示す。
$$ g(x)=x-\log(1+x)
$$
とおく。$x\geqq 0$ に対して
$$ g'(x)=1-\frac{1}{1+x}=\frac{x}{1+x}\geqq 0
$$
である。よって $g(x)$ は $x\geqq 0$ で単調増加であり,$g(0)=0$ だから
$$ g(x)\geqq 0
$$
である。したがって
$$ \log(1+x)\leqq x
$$
が成り立つ。
次に左側の不等式を示す。
$$ h(x)=\log(1+x)-x+\frac{x^2}{2}
$$
とおく。$x\geqq 0$ に対して
$$ \begin{aligned} h'(x)=\frac{1}{1+x}-1+x &= \frac{x^2}{1+x}\geqq 0 \end{aligned} $$
である。よって $h(x)$ は $x\geqq 0$ で単調増加であり,$h(0)=0$ だから
$$ h(x)\geqq 0
$$
である。したがって
$$ \log(1+x)\geqq x-\frac{x^2}{2}
$$
が成り立つ。
以上より,$x\geqq 0$ に対して
$$ x-\frac{x^2}{2}\leqq \log(1+x)\leqq x
$$
である。
**(3)**
(1) より
$$ S(t)=\int_0^t \log{1+y(t-y)},dy
$$
である。
$0\leqq y\leqq t$ では
$$ y(t-y)\geqq 0
$$
であるから,(2) の不等式を $x=y(t-y)$ に適用できる。よって
$$ y(t-y)-\frac{{y(t-y)}^2}{2} \leqq \log{1+y(t-y)} \leqq y(t-y)
$$
である。
これを $0$ から $t$ まで積分すると,
$$ \int_0^t y(t-y),dy-\frac{1}{2}\int_0^t y^2(t-y)^2,dy \leqq S(t) \leqq \int_0^t y(t-y),dy
$$
となる。
まず
$$ \begin{aligned} \int_0^t y(t-y),dy &= \int_0^t (ty-y^2),dy \\ \frac{t^3}{2}-\frac{t^3}{3} \\ \frac{t^3}{6} \end{aligned} $$
である。
また,
$$ \begin{aligned} \int_0^t y^2(t-y)^2,dy &= \int_0^t (t^2y^2-2ty^3+y^4),dy\\ &= t^2\cdot\frac{t^3}{3} -2t\cdot\frac{t^4}{4} +\frac{t^5}{5}\\ &= \frac{t^5}{3}-\frac{t^5}{2}+\frac{t^5}{5}\\ &= \frac{t^5}{30} \end{aligned}
$$
である。
したがって
$$ \frac{t^3}{6}-\frac{t^5}{60} \leqq S(t) \leqq \frac{t^3}{6}
$$
である。$t>0$ なので $t^3$ で割ると,
$$ \frac{1}{6}-\frac{t^2}{60} \leqq \frac{S(t)}{t^3} \leqq \frac{1}{6}
$$
となる。
$t\to 0$ とすると,左辺も右辺も $\dfrac{1}{6}$ に近づく。はさみうちの原理より,
$$ \begin{aligned} \lim_{t\to 0}\frac{S(t)}{t^3} &= \frac{1}{6} \end{aligned} $$
である。
解説
この問題の中心は,区間 $[a,b]$ を長さ $t=b-a$ の区間 $[0,t]$ に移す変数変換である。これにより,$a,b$ の位置には依存せず,区間の長さ $t$ だけが本質であることが見える。
(3) では,$\log(1+u)$ の近似
$$ \log(1+u)=u+O(u^2)
$$
を直接使う代わりに,(2) の不等式で厳密に評価するのが安全である。ここで $u=y(t-y)$ とすれば,主項は
$$ \int_0^t y(t-y),dy=\frac{t^3}{6}
$$
になり,誤差項は $t^5$ のオーダーに抑えられるため,$t^3$ で割った極限には影響しない。
答え
**(1)**
$$ \begin{aligned} \int_a^b f(x),dx &= \int_0^t \log{1+y(t-y)},dy \end{aligned} $$
となるので,$t=b-a$ が一定ならば積分値は一定である。
**(2)**
$x\geqq 0$ に対して
$$ x-\frac{x^2}{2}\leqq \log(1+x)\leqq x
$$
が成り立つ。
**(3)**
$$ \begin{aligned} \lim_{t\to 0}\frac{S(t)}{t^3} &= \frac{1}{6} \end{aligned} $$