基礎問題集
数学3 積分法「定積分・面積」の問題160 解説
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解説
方針・初手
直線 $y=mx$ と曲線 $y=f(x)$ の共有点は、方程式
$$ mx=xe^{1-x}
$$
を解けばよい。原点 $x=0$ は常に共有点であるため、原点以外の共有点を調べるには $x\ne 0$ として両辺を $x$ で割る。
面積は、原点以外の共有点の $x$ 座標を $a$ とおき、区間の向きに注意して積分で求める。
解法1
関数は
$$ f(x)=xe^{1-x}
$$
である。
まず導関数を求める。
$$ f'(x)=e^{1-x}+x(-e^{1-x})=(1-x)e^{1-x}
$$
ここで $e^{1-x}>0$ であるから、$f'(x)$ の符号は $1-x$ の符号で決まる。
したがって、
$$ \begin{cases} f'(x)>0 & (x<1),\\ f'(x)=0 & (x=1),\\ f'(x)<0 & (x>1) \end{cases}
$$
である。よって $f(x)$ は $x=1$ で極大値をとり、
$$ f(1)=1\cdot e^0=1
$$
である。
したがって、極大値は $1$、極小値は存在しない。
次にグラフの概形を調べる。
$$ f(0)=0
$$
より、曲線は原点を通る。また、$x\to \infty$ のとき、$t=x-1$ とおくと $t\to \infty$ であり、
$$ f(x)=xe^{1-x} =x e^{-(x-1)} =(t+1)e^{-t} =te^{-t}+e^{-t}
$$
である。問題文で与えられた
$$ \lim_{t\to\infty}te^{-t}=0
$$
と、$\lim_{t\to\infty}e^{-t}=0$ より、
$$ \lim_{x\to\infty}f(x)=0
$$
である。したがって、$x\to\infty$ で $x$ 軸に近づく。
また、
$$ f''(x)=\frac{d}{dx}{(1-x)e^{1-x}} =(x-2)e^{1-x}
$$
であるから、$x=2$ で変曲点をもつ。
以上より、グラフは原点を通り、$x<1$ で増加、$x>1$ で減少し、点 $(1,1)$ で極大値をとる。さらに $x\to\infty$ で $x$ 軸に近づく。
次に、直線 $y=mx$ と曲線 $y=f(x)$ の共有点を調べる。
共有点の $x$ 座標は
$$ mx=xe^{1-x}
$$
を満たす。$x=0$ は常に解であり、これは原点に対応する。
原点以外の共有点をもつには $x\ne 0$ の解が存在すればよい。$x\ne 0$ として両辺を $x$ で割ると、
$$ m=e^{1-x}
$$
となる。右辺は正であるから、まず $m>0$ が必要である。
$m>0$ のとき、
$$ \log m=1-x
$$
より、
$$ x=1-\log m
$$
である。この点が原点以外であるためには、
$$ 1-\log m\ne 0
$$
すなわち
$$ m\ne e
$$
が必要である。
したがって、原点以外に共有点をもつ条件は
$$ m>0,\quad m\ne e
$$
である。
次に、この条件のもとで面積を求める。原点以外の共有点の $x$ 座標を
$$ a=1-\log m
$$
とおく。このとき
$$ m=e^{1-a}
$$
である。
直線と曲線で囲まれる部分は、$x=0$ と $x=a$ の間にできる。
差を計算すると、
$$ f(x)-mx=x(e^{1-x}-m)
$$
である。
**(i)**
$0<m<e$ のとき
このとき $\log m<1$ より $a>0$ である。区間 $0<x<a$ では
$$ e^{1-x}>e^{1-a}=m
$$
であるから、
$$ f(x)-mx>0
$$
である。よって面積 $S$ は
$$ S=\int_0^a {xe^{1-x}-mx},dx
$$
である。
ここで、
$$ \int xe^{1-x},dx=-(x+1)e^{1-x}
$$
より、
$$ \begin{aligned} S &=\left[-(x+1)e^{1-x}-\frac{m}{2}x^2\right]_0^a\\ &=\left\{-(a+1)e^{1-a}-\frac{m}{2}a^2\right\}-(-e) \end{aligned}
$$
ここで $e^{1-a}=m$ であるから、
$$ S=e-m\left(a+1+\frac{a^2}{2}\right)
$$
となる。
$a=1-\log m$ を代入すると、
$$ \begin{aligned} a+1+\frac{a^2}{2} &= \frac{(\log m)^2}{2}-2\log m+\frac{5}{2} \end{aligned} $$
である。したがって、
$$ S=e-m\left\{\frac{(\log m)^2}{2}-2\log m+\frac{5}{2}\right\}
$$
である。
**(ii)**
$m>e$ のとき
このとき $\log m>1$ より $a<0$ である。区間 $a<x<0$ では
$$ e^{1-x}<e^{1-a}=m
$$
かつ $x<0$ であるから、
$$ x(e^{1-x}-m)>0
$$
である。したがって、この場合も曲線 $y=f(x)$ が直線 $y=mx$ より上にあり、面積 $S$ は
$$ S=\int_a^0 {xe^{1-x}-mx},dx
$$
である。
よって、
$$ \begin{aligned} S &=\left[-(x+1)e^{1-x}-\frac{m}{2}x^2\right]_a^0\\ &=-e-\left\{-(a+1)e^{1-a}-\frac{m}{2}a^2\right\}\\ &=m\left(a+1+\frac{a^2}{2}\right)-e \end{aligned}
$$
である。
$a=1-\log m$ を代入して、
$$ S=m\left\{\frac{(\log m)^2}{2}-2\log m+\frac{5}{2}\right\}-e
$$
となる。
以上より、面積は
$$ S= \begin{cases} \displaystyle e-m\left\{\frac{(\log m)^2}{2}-2\log m+\frac{5}{2}\right\} & (0<m<e),\\[8pt] \displaystyle m\left\{\frac{(\log m)^2}{2}-2\log m+\frac{5}{2}\right\}-e & (m>e) \end{cases}
$$
である。
解説
この問題では、原点が常に共有点になることに注意する必要がある。共有点の方程式
$$ mx=xe^{1-x}
$$
では、すぐに $x$ で割ると $x=0$ の解を失う。したがって、まず $x=0$ を確認し、その後で $x\ne 0$ として割るのが正しい処理である。
また、$m>0$ だけでは不十分である。$m=e$ のとき、原点以外の共有点の候補
$$ x=1-\log m
$$
が $0$ になってしまうため、原点以外の共有点は存在しない。この条件漏れが最も起こりやすい。
面積計算では、原点以外の共有点の $x$ 座標 $a=1-\log m$ の符号によって積分区間が変わる。$0<m<e$ なら $a>0$、$m>e$ なら $a<0$ であり、それぞれの場合分けして絶対値を外すのが安全である。
答え
**(1)**
極大値は
$$ 1
$$
であり、そのとき
$$ x=1
$$
である。極小値は存在しない。
**(2)**
グラフは原点を通り、$x<1$ で増加、$x>1$ で減少し、点 $(1,1)$ で極大値をとる。また、
$$ \lim_{x\to\infty}f(x)=0
$$
であるから、$x\to\infty$ で $x$ 軸に近づく。
**(3)**
原点以外に共有点をもつ条件は
$$ m>0,\quad m\ne e
$$
である。
**(4)**
直線 $y=mx$ と曲線 $y=f(x)$ で囲まれた部分の面積は
$$ S= \begin{cases} \displaystyle e-m\left\{\frac{(\log m)^2}{2}-2\log m+\frac{5}{2}\right\} & (0<m<e),\\[8pt] \displaystyle m\left\{\frac{(\log m)^2}{2}-2\log m+\frac{5}{2}\right\}-e & (m>e) \end{cases}
$$
である。