基礎問題集
数学3 積分法「定積分・面積」の問題200 解説
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解説
方針・初手
$S_n$ は,$y=0,1,\dots,n$ のそれぞれについて,条件 $|x|^m\le y$ をみたす整数 $x$ の個数を足し合わせたものとみるのが自然である。
そこでまず,$0\le |x|^m\le k$ をみたす整数 $x$ の個数 $N_k$ を正確に書き下し,その評価を得る。すると
$$ S_n=1+\sum_{k=1}^n N_k
$$
と表せるので,(2),(3) はこの式から処理できる。
解法1
(1) $N_k$ の評価
$0\le |x|^m\le k$ は,$|x|\le k^{1/m}$ と同値である。
したがって,この条件をみたす整数 $x$ は
$$ -\lfloor k^{1/m}\rfloor,\ -\lfloor k^{1/m}\rfloor+1,\ \dots,\ \lfloor k^{1/m}\rfloor
$$
であり,その個数は
$$ N_k=2\lfloor k^{1/m}\rfloor+1
$$
である。
ここで一般に
$$ t-1\le \lfloor t\rfloor \le t
$$
が成り立つから,$t=k^{1/m}$ とおけば
$$ k^{1/m}-1\le \lfloor k^{1/m}\rfloor \le k^{1/m}
$$
である。両辺を $2$ 倍して $1$ を加えると
$$ 2k^{1/m}-1\le 2\lfloor k^{1/m}\rfloor+1\le 2k^{1/m}+1
$$
となる。ゆえに
$$ 2k^{1/m}-1\le N_k\le 2k^{1/m}+1
$$
が示された。
(2) $\left|S_n-1-2\sum_{k=1}^n k^{1/m}\right|\le n$ の証明
$S_n$ は,$y=0,1,\dots,n$ ごとに,条件 $|x|^m\le y$ をみたす整数 $x$ の個数を数えた総和であるから,
$$ S_n=\sum_{y=0}^n #{x\in \mathbb{Z}\mid |x|^m\le y}
$$
である。ここで $y=0$ のときは $x=0$ のみなので個数は $1$,また $y=k\ (k\ge 1)$ のときの個数は $N_k$ である。したがって
$$ S_n=1+\sum_{k=1}^n N_k
$$
を得る。
よって
$$ S_n-1-2\sum_{k=1}^n k^{1/m} =\sum_{k=1}^n \left(N_k-2k^{1/m}\right)
$$
であり,三角不等式より
$$ \left|S_n-1-2\sum_{k=1}^n k^{1/m}\right| \le \sum_{k=1}^n \left|N_k-2k^{1/m}\right|
$$
となる。
さらに (1) より,各 $k$ について
$$ -1\le N_k-2k^{1/m}\le 1
$$
すなわち
$$ \left|N_k-2k^{1/m}\right|\le 1
$$
であるから,
$$ \left|S_n-1-2\sum_{k=1}^n k^{1/m}\right| \le \sum_{k=1}^n 1=n
$$
が成り立つ。
(3) $\displaystyle \lim_{n\to\infty}\frac{S_n}{n^{1+\frac1m}}$ の計算
(2) より
$$ \left| \frac{S_n}{n^{1+\frac1m}} -\frac{1+2\sum_{k=1}^n k^{1/m}}{n^{1+\frac1m}} \right| \le \frac{n}{n^{1+\frac1m}} =\frac{1}{n^{1/m}} \to 0 \qquad (n\to\infty)
$$
である。したがって,$\dfrac{S_n}{n^{1+\frac1m}}$ と $\dfrac{1+2\sum_{k=1}^n k^{1/m}}{n^{1+\frac1m}}$ は同じ極限をもつ。
ここで
$$ \frac{1}{n^{1+\frac1m}}\sum_{k=1}^n k^{1/m} =\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n \left(\frac{k}{n}\right)^{1/m}
$$
であるから,右辺はリーマン和として
$$ \frac{1}{n}\sum_{k=1}^n \left(\frac{k}{n}\right)^{1/m} \to \int_0^1 x^{1/m},dx =\left[\frac{m}{m+1}x^{1+\frac1m}\right]_0^1 =\frac{m}{m+1}
$$
となる。
また
$$ \frac{1}{n^{1+\frac1m}}\to 0
$$
であるから,
$$ \frac{1+2\sum_{k=1}^n k^{1/m}}{n^{1+\frac1m}} \to 2\cdot \frac{m}{m+1} =\frac{2m}{m+1}
$$
を得る。よって
$$ \lim_{n\to\infty}\frac{S_n}{n^{1+\frac1m}} =\frac{2m}{m+1}
$$
である。
解説
この問題の本質は,$S_n$ を直接数えようとせず,
$$ S_n=1+\sum_{k=1}^n N_k
$$
と「$y$ を固定して $x$ の個数を足す」形に直すことにある。
すると $N_k$ は $|x|\le k^{1/m}$ をみたす整数の個数なので,$\lfloor k^{1/m}\rfloor$ を用いて正確に表せる。そこから $N_k$ が $2k^{1/m}$ に非常に近いことが分かり,和全体も $\sum k^{1/m}$ に近いと評価できる。
最後は
$$ \frac{1}{n}\sum_{k=1}^n \left(\frac{k}{n}\right)^{1/m}
$$
をリーマン和とみるのが典型処理である。
答え
**(1)**
$$ N_k=2\lfloor k^{1/m}\rfloor+1
$$
したがって
$$ 2k^{1/m}-1\le N_k\le 2k^{1/m}+1
$$
である。
**(2)**
$$ \left|S_n-1-2\sum_{k=1}^n k^{1/m}\right|\le n
$$
である。
**(3)**
$$ \lim_{n\to\infty}\frac{S_n}{n^{1+\frac1m}} =\frac{2m}{m+1}
$$
である。