基礎問題集
数学3 積分法「定積分・面積」の問題201 解説
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解説
方針・初手
まず与式の両辺を $x \to +0$ として $b$ を求め,次に両辺を $x$ で微分して $a$ を求める。
その後,
$$ g(t)=t^2-1+\cos t
$$
を用いて,微分後の式を
$$ g(f(x))=x
$$
の形に直す。ここで $g$ が $t \geqq 0$ で単調増加であることを使う。
解法1
与式は $x>0$ で
$$ \int_0^x {f(t)}^2,dt+\int_0^x \cos(f(t)),dt =\frac{1}{2}x^2+ax+b
$$
である。
$f$ は連続であるから,左辺は $x\to +0$ のとき $0$ に近づく。したがって右辺の極限も $0$ でなければならないので,
$$ b=0
$$
である。
次に,両辺を $x$ で微分する。積分区間の上端が $x$ であり,被積分関数は連続なので,微分して
$$ {f(x)}^2+\cos(f(x))=x+a
$$
を得る。
ここで $x\to +0$ とすると,$f(0)=0$ かつ $f$ は連続であるから
$$ {f(x)}^2+\cos(f(x))\to 0^2+\cos 0=1
$$
である。一方,右辺は $a$ に近づく。よって
$$ a=1
$$
である。
したがって
$$ {f(x)}^2+\cos(f(x))=x+1
$$
すなわち
$$ {f(x)}^2-1+\cos(f(x))=x
$$
が成り立つ。
次に
$$ g(t)=t^2-1+\cos t
$$
とおく。このとき
$$ g'(t)=2t-\sin t
$$
である。
$t\geqq 0$ では $\sin t\leqq t$ が成り立つから,
$$ g'(t)=2t-\sin t\geqq 2t-t=t\geqq 0
$$
である。さらに $t>0$ なら
$$ g'(t)\geqq t>0
$$
であるから,$g(t)$ は $t\geqq 0$ で狭義単調増加である。
また,
$$ g(0)=0^2-1+\cos 0=0
$$
であり,
$$ \lim_{t\to\infty}g(t)=\infty
$$
である。よって任意の正の実数 $x$ に対して,方程式
$$ y^2-1+\cos y=x
$$
を満たす正の実数 $y$ がただ $1$ つ存在する。
特に $x=4\pi^2$ のとき,
$$ g(2\pi)=(2\pi)^2-1+\cos 2\pi=4\pi^2
$$
であるから,求める正の実数 $y$ は
$$ y=2\pi
$$
である。
最後に
$$ \int_0^{4\pi^2} f(x),dx
$$
について考える。
上で得た式より
$$ g(f(x))=x
$$
である。また $g(t)$ は偶関数であるから,$x>0$ に対して
$$ |f(x)|=y
$$
となる。ただし $y$ は
$$ g(y)=x,\qquad y>0
$$
を満たすただ $1$ つの正の実数である。
ここで $x>0$ では $f(x)\neq 0$ である。もし $f(x)=0$ なら
$$ g(f(x))=g(0)=0
$$
となり,$x>0$ に反する。
したがって $f(x)$ は区間 $x>0$ で符号を変えることができない。よって,ある $\varepsilon=\pm 1$ を用いて
$$ f(x)=\varepsilon y
$$
と表せる。
正の解 $y$ を用いて $x=g(y)$ とおくと,
$$ x=y^2-1+\cos y
$$
であり,
$$ dx=(2y-\sin y),dy
$$
である。
$x=0$ のとき $y=0$,$x=4\pi^2$ のとき $y=2\pi$ であるから,
$$ \begin{aligned} \int_0^{4\pi^2} y,dx &= \int_0^{2\pi} y(2y-\sin y),dy \end{aligned} $$
である。これを計算すると,
$$ \begin{aligned} \int_0^{2\pi} y(2y-\sin y),dy &=\int_0^{2\pi} 2y^2,dy-\int_0^{2\pi} y\sin y,dy \\ &=\left[\frac{2}{3}y^3\right]_0^{2\pi} -\left[-y\cos y+\sin y\right]_0^{2\pi} \\ &=\frac{16}{3}\pi^3-(-2\pi) \\ &=\frac{16}{3}\pi^3+2\pi \end{aligned}
$$
となる。
したがって
$$ \begin{aligned} \int_0^{4\pi^2} f(x),dx &= \varepsilon\left(\frac{16}{3}\pi^3+2\pi\right) \qquad (\varepsilon=\pm 1) \end{aligned} $$
である。
なお,問題文の条件だけでは $f(x)>0$ か $f(x)<0$ かを決められない。実際,正の解を $y(x)$ とすると,$f(x)=y(x)$ も $f(x)=-y(x)$ も同じ積分方程式を満たす。したがって,追加条件なしでは積分値は一意に定まらない。
解説
この問題の中心は,積分方程式を微分して
$$ f(x)^2-1+\cos(f(x))=x
$$
の形に落とすことである。
その後は
$$ g(t)=t^2-1+\cos t
$$
の単調性を調べれば,$f(x)$ の絶対値が $x$ によって一意に決まることが分かる。
ただし,$g(t)$ は偶関数であるため,$f(x)$ の符号までは決まらない。この点を見落とすと,(4) で本来一意に決まらない値を一つに断定してしまう。問題文に $f(x)>0$ などの追加条件がない限り,(4) の値は正負の $2$ 通りである。
答え
**(1)**
$$ a=1,\qquad b=0
$$
**(2)**
$$ g'(t)=2t-\sin t
$$
であり,$t\geqq 0$ では $\sin t\leqq t$ より
$$ g'(t)\geqq t\geqq 0
$$
である。したがって $g(t)=t^2-1+\cos t$ は $t\geqq 0$ で増加する。
**(3)**
正の実数 $x$ に対して,方程式
$$ y^2-1+\cos y=x
$$
を満たす正の実数 $y$ はただ $1$ つ存在する。
また,$x=4\pi^2$ のとき
$$ y=2\pi
$$
である。
**(4)**
問題文の条件だけでは一意に定まらない。
$$ \begin{aligned} \int_0^{4\pi^2} f(x),dx &= \pm\left(\frac{16}{3}\pi^3+2\pi\right) \end{aligned} $$
である。追加条件として $f(x)>0\ (x>0)$ があるなら,
$$ \begin{aligned} \int_0^{4\pi^2} f(x),dx &= \frac{16}{3}\pi^3+2\pi \end{aligned} $$
である。