基礎問題集
数学3 積分法「定積分・面積」の問題246 解説
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解説
方針・初手
(1)は
$$ a_n=\frac{1}{n}\cdot \frac{2}{n}\cdots \frac{n}{n}
$$
と積の形で見ると、小さい因子が多数含まれていることから $0$ に近づくことが示せる。
(2)は隣り合う項の比をそのまま計算すればよい。
(3)は $n$ 乗根が付いているので、対数をとって和に直し、リーマン和として極限を求めるのが自然である。
解法1
**(1)**
$a_n$ は
$$ a_n=\prod_{j=1}^{n}\frac{j}{n}
$$
である。
この積のうち、$j=1,2,\dots,\lfloor n/2\rfloor$ に対しては
$$ \frac{j}{n}\leqq \frac{1}{2}
$$
であり、残りの因子はすべて $1$ 以下である。したがって
$$ 0<a_n\leqq \left(\frac{1}{2}\right)^{\lfloor n/2\rfloor}
$$
となる。
右辺は $n\to\infty$ のとき $0$ に収束するから、はさみうちの原理より
$$ \lim_{n\to\infty}a_n=0
$$
である。
**(2)**
直接計算すると、
$$ \begin{aligned} \frac{a_n}{a_{n+1}} &= \frac{\dfrac{n!}{n^n}}{\dfrac{(n+1)!}{(n+1)^{n+1}}} \\ &= \frac{n!(n+1)^{n+1}}{n^n(n+1)!} \\ &= \frac{(n+1)^n}{n^n} \\ &= \left(1+\frac{1}{n}\right)^n \end{aligned}
$$
である。
よって、よく知られた極限
$$ \lim_{n\to\infty}\left(1+\frac{1}{n}\right)^n=e
$$
より、
$$ \lim_{n\to\infty}\frac{a_n}{a_{n+1}}=e
$$
である。
**(3)**
$k\geqq 2$ を固定する。求める極限を
$$ L_n=\left(\frac{a_{kn}}{a_n}\right)^{1/n}
$$
とおく。$a_n>0$ であるから、対数をとってよい。
まず、
$$ \frac{a_{kn}}{a_n} = \frac{\dfrac{(kn)!}{(kn)^{kn}}}{\dfrac{n!}{n^n}} = \frac{(kn)!}{n!}\cdot \frac{n^n}{(kn)^{kn}}
$$
であるから、
$$ \log L_n = \frac{1}{n}\log\frac{a_{kn}}{a_n} = \frac{1}{n} \left( \log\frac{(kn)!}{n!} +n\log n-kn\log(kn) \right)
$$
となる。ここで
$$ \log\frac{(kn)!}{n!} = \sum_{j=n+1}^{kn}\log j
$$
であるから、
$$ \log L_n = \frac{1}{n}\sum_{j=n+1}^{kn}\log\frac{j}{n} -k\log k
$$
と変形できる。
ここで
$$ \frac{1}{n}\sum_{j=n+1}^{kn}\log\frac{j}{n} = \sum_{j=n+1}^{kn}\log\frac{j}{n}\cdot \frac{1}{n}
$$
は、区間 $[1,k]$ における $\log x$ のリーマン和である。したがって
$$ \lim_{n\to\infty} \frac{1}{n}\sum_{j=n+1}^{kn}\log\frac{j}{n} = \int_{1}^{k}\log x\,dx
$$
である。
この積分を計算すると、
$$ \int_{1}^{k}\log x\,dx = \left[x\log x-x\right]_{1}^{k} = k\log k-k+1
$$
であるから、
$$ \lim_{n\to\infty}\log L_n = (k\log k-k+1)-k\log k = 1-k
$$
となる。よって指数をとれば、
$$ \lim_{n\to\infty}L_n=e^{1-k}
$$
すなわち
$$ \lim_{n\to\infty}\left(\frac{a_{kn}}{a_n}\right)^{1/n}=e^{1-k}
$$
である。
解説
この問題の要点は、階乗をそのまま扱うのではなく、数列の形を見やすく変形することである。
(1)では $a_n$ を積の形に直すと、少なくとも半分の因子が $\dfrac12$ 以下であることが分かり、一気に $0$ への収束が示せる。
(2)は典型的な比の計算であり、$\left(1+\dfrac1n\right)^n$ に帰着できるかどうかがポイントである。
(3)は $n$ 乗根が付いているので、対数をとって「和を $n$ で割った形」に直すのが本質である。そこからリーマン和に見抜ければ、極限は積分で処理できる。
答え
**(1)**
$$ \lim_{n\to\infty}a_n=0
$$
**(2)**
$$ \lim_{n\to\infty}\frac{a_n}{a_{n+1}}=e
$$
**(3)**
$$ \lim_{n\to\infty}\left(\frac{a_{kn}}{a_n}\right)^{1/n}=e^{1-k}
$$