基礎問題集
数学3 積分法「定積分・面積」の問題276 解説
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解説
方針・初手
$f(t),g(t)$ はそれぞれ $\cosh t,\sinh t$ であり、基本関係
$$ f'(t)=g(t),\quad g'(t)=f(t),\quad f(t)^2-g(t)^2=1
$$
を使う。
曲線 $C$ は $x=f(t), y=g(t)$ で表されるので、$t\geqq 0$ では $x$ は増加し、面積は
$$ \int y,dx
$$
の形で計算できる。
解法1
まず、$t\geqq 0$ において
$$ g(t)=\frac{e^t-e^{-t}}{2}\geqq 0
$$
であるから、$f'(t)=g(t)\geqq 0$ であり、$f(t)$ は増加関数である。
(1)
下側の不等式は
$$ f(t)-1=\frac{e^t+e^{-t}-2}{2} =\frac{(e^t-1)^2}{2e^t}\geqq 0
$$
より、
$$ 1\leqq f(t)
$$
である。
次に、上側の不等式を示す。関数
$$ H(t)=1+t^2-f(t)
$$
を考える。
このとき
$$ H(0)=0,\quad H'(t)=2t-g(t),\quad H''(t)=2-f(t)
$$
である。
$0\leqq t\leqq \log 2$ では、$f(t)$ が増加関数であることから
$$ f(t)\leqq f(\log 2) =\frac{2+\frac12}{2} =\frac54<2
$$
である。よって
$$ H''(t)=2-f(t)>0
$$
となる。
したがって $H'(t)$ は $0\leqq t\leqq \log 2$ で増加し、
$$ H'(0)=0
$$
だから
$$ H'(t)\geqq 0
$$
である。よって $H(t)$ も増加し、
$$ H(t)\geqq H(0)=0
$$
となる。
したがって
$$ 1+t^2-f(t)\geqq 0
$$
すなわち
$$ f(t)\leqq 1+t^2
$$
である。
以上より、$0\leqq t\leqq \log 2$ に対して
$$ 1\leqq f(t)\leqq 1+t^2
$$
が示された。
(2)
曲線 $C$ は $t=0$ のとき
$$ (x,y)=(f(0),g(0))=(1,0)
$$
を通る。また、$x=f(a)$ に対応する点は
$$ (x,y)=(f(a),g(a))
$$
である。
求める面積 $S(a)$ は、曲線 $C$、$x$ 軸、直線 $x=f(a)$ で囲まれる部分の面積なので、
$$ S(a)=\int_1^{f(a)} y,dx
$$
である。
媒介変数表示を用いると、$x=f(t)$ より
$$ dx=f'(t),dt=g(t),dt
$$
である。したがって
$$ S(a)=\int_0^a g(t)f'(t),dt =\int_0^a g(t)^2,dt
$$
となる。
ここで
$$ g(t)^2=\left(\frac{e^t-e^{-t}}{2}\right)^2 =\frac{e^{2t}-2+e^{-2t}}{4}
$$
だから、
$$ \begin{aligned} S(a) &=\int_0^a \frac{e^{2t}-2+e^{-2t}}{4},dt\\ &=\left[\frac{e^{2t}-e^{-2t}}{8}-\frac{t}{2}\right]_0^a\\ &=\frac{e^{2a}-e^{-2a}}{8}-\frac{a}{2} \end{aligned}
$$
である。
また、
$$ \begin{aligned} f(a)g(a) &= \frac{e^a+e^{-a}}{2}\cdot \frac{e^a-e^{-a}}{2} \\ \frac{e^{2a}-e^{-2a}}{4} \end{aligned} $$
であるから、
$$ S(a)=\frac{f(a)g(a)-a}{2}
$$
とも表せる。
(3)
$0<a\leqq \dfrac{\log 2}{2}$ とする。
$0\leqq t\leqq a$ ならば
$$ 0\leqq 2t\leqq 2a\leqq \log 2
$$
である。よって、(1)を $2t$ に対して用いると、
$$ f(2t)\leqq 1+(2t)^2
$$
である。
一方、
$$ f(2t)=f(t)^2+g(t)^2
$$
であり、さらに $f(t)^2-g(t)^2=1$ より
$$ f(2t)=1+2g(t)^2
$$
となる。
したがって
$$ 1+2g(t)^2\leqq 1+4t^2
$$
より、
$$ g(t)^2\leqq 2t^2
$$
である。
これを $S(a)=\displaystyle\int_0^a g(t)^2,dt$ に用いると、
$$ S(a)\leqq \int_0^a 2t^2,dt =\frac{2}{3}a^3
$$
となる。
よって、
$$ S(a)\leqq \frac{2}{3}a^3
$$
が示された。
解説
この問題の中心は、$f(t),g(t)$ を双曲線関数として扱うことである。特に
$$ f'(t)=g(t),\quad f(t)^2-g(t)^2=1,\quad f(2t)=1+2g(t)^2
$$
の3つが重要である。
(1)では $1+t^2-f(t)$ を直接調べることで、$f(t)$ の上からの評価を得る。(3)ではその評価を $2t$ に適用し、$g(t)^2$ を $2t^2$ で上から押さえるのが要点である。
面積計算では、媒介変数表示のまま
$$ S(a)=\int y,dx
$$
を使うと、$dx=f'(t),dt=g(t),dt$ となり、自然に
$$ S(a)=\int_0^a g(t)^2,dt
$$
へ変形できる。
答え
**(1)**
$$ 0\leqq t\leqq \log 2
$$
に対して、
$$ 1\leqq f(t)\leqq 1+t^2
$$
である。
**(2)**
$$ S(a)=\int_0^a g(t)^2,dt =\frac{e^{2a}-e^{-2a}}{8}-\frac{a}{2}
$$
すなわち
$$ S(a)=\frac{f(a)g(a)-a}{2}
$$
である。
**(3)**
$$ 0<a\leqq \frac{\log 2}{2}
$$
に対して、
$$ S(a)\leqq \frac{2}{3}a^3
$$
である。