基礎問題集
数学A 確率「期待値」の問題4 解説
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解説
方針・初手
期待値を直接「停止する回数ごとの確率」で求めるよりも、停止時刻 $T$ に対して
$$ E(T)=\sum_{k=1}^{n}P(T\geqq k)
$$
を用いるのが扱いやすい。これは「$k$ 回目のサイコロを投げる確率」を足し上げる考え方である。
解法1
まず、$1$ の目が出る確率を
$$ p=\frac{1}{6},\qquad q=\frac{5}{6}
$$
とおく。
(1)
$T$ を実際にサイコロを投げる回数とする。
$k$ 回目のサイコロを投げるためには、$1$ 回目から $k-1$ 回目までに $1$ の目が出ていないことが必要十分である。ただし $1\leqq k\leqq n$ である。
したがって
$$ P(T\geqq k)=q^{k-1}
$$
である。よって
$$ \begin{aligned} E(T) &=\sum_{k=1}^{n}P(T\geqq k)\\ &=\sum_{k=1}^{n}q^{k-1}\\ &=\sum_{j=0}^{n-1}q^j\\ &=\frac{1-q^n}{1-q}\\ &=6\left\{1-\left(\frac{5}{6}\right)^n\right\}. \end{aligned}
$$
したがって、求める期待値は
$$ 6\left\{1-\left(\frac{5}{6}\right)^n\right\}
$$
である。
(2)
$T$ を実際にサイコロを投げる回数とする。
$k$ 回目のサイコロを投げるためには、$k-1$ 回目までに出た $1$ の目の回数が $0$ 回または $1$ 回であることが必要十分である。ただし $1\leqq k\leqq n$ である。
$k-1$ 回のうち $1$ の目が $0$ 回出る確率は
$$ q^{k-1}
$$
である。
また、$k-1$ 回のうち $1$ の目がちょうど $1$ 回出る確率は
$$ (k-1)pq^{k-2}
$$
である。ただし $k=1$ のときこの項は $0$ とみなせばよい。
したがって
$$ P(T\geqq k)=q^{k-1}+(k-1)pq^{k-2}
$$
である。よって
$$ \begin{aligned} E(T) &=\sum_{k=1}^{n}P(T\geqq k)\\ &=\sum_{k=1}^{n}\left\{q^{k-1}+(k-1)pq^{k-2}\right\}\\ &=\sum_{j=0}^{n-1}q^j+p\sum_{j=1}^{n-1}jq^{j-1}. \end{aligned}
$$
ここで
$$ \sum_{j=0}^{n-1}q^j=\frac{1-q^n}{1-q}=6(1-q^n)
$$
である。また、
$$ \begin{aligned} \sum_{j=1}^{m}jq^{j-1} &= \frac{1-(m+1)q^m+mq^{m+1}}{(1-q)^2} \end{aligned} $$
を $m=n-1$ として用いると、
$$ \begin{aligned} \sum_{j=1}^{n-1}jq^{j-1} &= \frac{1-nq^{n-1}+(n-1)q^n}{(1-q)^2}. \end{aligned} $$
いま $p=1-q=\frac{1}{6}$ であるから、
$$ \begin{aligned} p\sum_{j=1}^{n-1}jq^{j-1} &=\frac{1}{6}\cdot \frac{1-nq^{n-1}+(n-1)q^n}{(1/6)^2}\\ &=6{1-nq^{n-1}+(n-1)q^n}. \end{aligned}
$$
したがって
$$ \begin{aligned} E(T) &=6(1-q^n)+6{1-nq^{n-1}+(n-1)q^n}\\ &=12-6nq^{n-1}+6(n-2)q^n. \end{aligned}
$$
ここで $q=\frac{5}{6}$ を代入して整理すると、
$$ \begin{aligned} E(T) &=12-6n\left(\frac{5}{6}\right)^{n-1} +6(n-2)\left(\frac{5}{6}\right)^n\\ &=12-(n+10)\left(\frac{5}{6}\right)^{n-1}. \end{aligned}
$$
したがって、求める期待値は
$$ 12-(n+10)\left(\frac{5}{6}\right)^{n-1}
$$
である。
解説
この問題では、停止時刻の期待値を
$$ E(T)=\sum_{k\geqq 1}P(T\geqq k)
$$
で求めるのが本質である。
(1) では「$k$ 回目を投げる」とは、それ以前にまだ $1$ が出ていないことを意味する。
(2) では「$k$ 回目を投げる」とは、それ以前に $1$ が $2$ 回出ていないこと、すなわち $1$ の出た回数が $0$ 回または $1$ 回であることを意味する。
停止する回で場合分けして確率を作ることもできるが、最後の $n$ 回目で強制終了する条件があるため、$P(T\geqq k)$ を足す方法の方が条件漏れが少ない。
答え
**(1)**
$$ 6\left\{1-\left(\frac{5}{6}\right)^n\right\}
$$
**(2)**
$$ 12-(n+10)\left(\frac{5}{6}\right)^{n-1}
$$